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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター3 ワーウルフゲーム 
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第34話 自責の念


すっかり辺りも冷え込む時間帯

最終バスを待っている南原は白い息を吐きながら突っ立っていた

身体は丸まっていて少し怯えている 両手に握られているのは安久谷から渡された現金だ

そんな場所に安斎は姿を現す


「えっ……?!!! 生きてたんだ……」


「お陰様でな」


「あの…… わたっ私その……」


「すまなかった!!」


先に謝罪したのは安斎


「元々俺が始めてる調査でアイツらに近付いたんだ……!!

安久谷達の狙いは俺…… 南原さんを巻き込んでしまった……」


「いっ…… いいんですよ…… 私も怖くて怖くて……」


よく見ると彼女の目は赤く腫れていた

今まで後悔していたであろう 証拠としては十分だ

南原は手に持っていた札束を側溝に投げ捨てる


「私は本当に賢也君を尊敬してたんです……!!

私も当時は同窓会にいなかった女子グループにイジめられていて……

でも私以上に酷い目に遭わされていた賢也君を見て安心していたんです

私なんてまだマシな方だ…… 底辺じゃないってずっと言い聞かせてたんです……」


「南原……」


「自分の考え方がクソだって自覚したのは遠い高校に入ってからでした

その時から中学を中退した賢也君は何をしてるんだろう 謝りに行こうかなと……

だけど自信が持てなかった クラスでは他人だったし……

そんな時 例の宗教団体が壊滅した話を聞いて 調べたら賢也君の情報を見つけたの」


「…………」


「あぁすごいなぁって…… クラスの底辺は私だったんだなぁって思って生きてきました……」


遠くから普通車がヘッドライトでこちらを照らしてくる


「ありがとね賢也君!! こんな私でも同窓会で一緒に話してくれて……

……でもまた自分の悪い所が出ちゃった 賢也君を売って本当にごめんね……!!」


対向車に向かって飛び出す南原

車も急ブレーキを掛けるが間に合う筈もなく

しかし安斎も跳び込んだ


跳んだ先は車体のボンネット

高さを予め予想した彼は南原に覆い被さり車と激突

スレスレでボンネットから屋根に向かって横に転がり

運良く自分がアスファルトに叩きつけられる形で落下した


「ハァハァ……」


南原は放心状態になって辺りを見回す

自分を抱き締めている安斎がピクリとも動かないことを認識すると


「賢也君……?! 賢也君……!!」


「……あぁ大丈夫だ 緊張で固まってるだけ」


ゆっくりと手を離す安斎は 道に手を置いて上体を起こす


「わっ…… 私……」


「本当に…… 悪かったな…… 南原…… 怖い思いさせてしまって……」


「……ちょっと優し過ぎるのが怖いよ賢也君」


奥の乗用車が憤りを露わにして近付いて来る


「おぅなに仲良くカップルで心中しようとしてんだおぃ!!

車ぶつけられた側の身も考えろよぉ!!」


「ハハ…… まぁあれはしゃぁねぇわな」


道の真ん中で安斎と南原は動けないので あちらから近付いて来てくれた


「おぅまずは救急車か救急車ぁ?! その後でちゃんと弁償代をぉ……って賢也じゃねぇか?!」


「あれ大家さん…… 随分久し振りっすね!!」


「暫く顔出さねぇと思ったら自殺とかやめてくれよぉ……!!

久留美ちゃんどうした久留美ちゃん?! あのコお前が死んだら悲しむぞぉ?!」


「いや自殺じゃないんで大丈夫っす ちょっと訳ありで……

アイツは事務所にいるんで心配ないっすよ」


「怪我してるじゃねぇのぅ…… 当たり所が悪かったら病院行くんだぞ?」


「怪我は別件で今の事故では大して負傷は無いです」


「……まったく奇跡じゃねぇかよぉあぁ心配したぁ~~

お前に出資した金まだ帰って来てねぇのに 殺したら俺が馬鹿じゃねぇかよ~~」


「ハハハ…… 相変わらずいくつになってもお元気で」


「取り敢えず二人共乗れ!! 危なっかしくて堪らんわ!!」




安斎が以前からお世話になっているマンションの大家さん

彼が無事に探偵業を営むことが出来る恩人と言っても正しい

一時間の道を走って棘岬町へ 最初は南原を帰宅させた


「ちょっと電話させて貰うぞ」


南原宅の前で安斎は松原に連絡を取る


『今度は何だぁ? また死体が出たか?』


「いえいえ実はですねぇ……」


『はぁ?!!! 四ノ海の連中とドンパチだと?!!!』


「まぁ穏便に逃げたんすけどね…… 安久谷橘平って奴は銃持ってました」


『……あぁヤバい 頭の整理が追いつかねぇ』


「まぁ私からの情報は全て松原さんに行くと思って覚悟して下さいよぉ~~

それでお願いしたいんですが 当分の間で南原家を警護してくれませんか?」


『あぁ…… 話の内容からして新しく事件化するのは間違いねぇ……

その流れでどのみち琴乃さんには事情聴取だ 任せておけ』


「因みに四季園蕾ちゃんの件はどうなったんですか?」


『残念だが捜査打ち切りだ……

四季園家の圧力もあるから正式には捜査本部員を丸々入れ替えで再捜査って感じだ』


「松原さんお払い箱ですか?」


『気にしてんだから口に出してんじゃねぇバカヤロウ!!

俺は他の事件を追うからじゃあな!!』


「待って下さい!! どうせならどこまで進んだか教えて下さいよ?!」


『結局誘拐犯グラスフロッグは見つからなかったよ

内蔵の一つも見せやしなかった…… お前からも四ノ海の情報を貰ってたからなぁ

海外の警察ともコンタクトを取ってみたりしてたが難航しそうだ

ただ海外の知り合い警官からある情報を聞いた 前に話した誘拐保険は覚えてるか?』


「あぁ四季園春次夫妻の()()()()()()って噂の?」


『どうもあれは本当らしい……

しかも当主である四季園春義公認だって話だ』


「それって…… つまりどうなんすか?」


『四季園一派は方々から金を掻き集めてるってことだ

ゴシップ記事とかでも親族達が余所で似たような行動に移っている

金持ちが大金掻き集めてるってことは 何かデカい事をしようとする前触れだ』



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