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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター3 ワーウルフゲーム 
38/41

第33話 デコイトラップ


最後は一丁締めで次々と同級生は店の外へ

安斎は二次会には行かずに帰ろうとしたとき


「安斎君ちょっと待って!!」


振り向くと香芝が一人の女性の背中を摩りながらやって来た


「今日は来てくれてありがとうね安斎君 皆との蟠りは解れた?」


「あぁ…… まぁ昔よりは過去を嫌いにならなくなったかも」


「良かったぁ!! 確か安斎君の事務所って【棘岬町おどろみさきまち】だったよね?

その…… 正月明けに例の嫌な事件があった……?」


「あぁ…… 例の大量毒殺事件のな」


「安斎君のところに調査の依頼とか来たの?」


「いや…… あれはもう犯人が分かってた状態だし 探偵の必要は無かったな」


「なるほどね…… それで頼まれて欲しいんだけど」


背中を摩って貰ってる女性はペコリと頭を下げた


「確か…… 俺の絡んだ事件をよく知っていた……」


南原琴乃なんばらことのです……」



「南原ちゃんも棘岬町に住んでるから一緒に連れてって欲しいの……

見ての通り大分酔っちゃったみたいで……」



苦しそうな顔を見せられれば無下にあしらえなかった


「良いよ…… 俺を信用してくれるなら」


「ありがとう安斎君!!」


南原を引き取り 店の前で全員と別れた

彼女は常に口を押さえてノソノソと歩いてる為

安斎も心配して後ろを付いて行く


「すみません…… そこの公園で休んでもいいですか?」


「あっあぁ…… あれここって……」


辿り着いた場所は以前 人買のトロリーと出逢った郷愁の広場という公園だった

よくよく見渡せばあの頃よりも遊具は少なく あるのは鉄棒と滑り台だけ

近くのベンチに南原を座らせた安斎は暫く周囲を見渡している


「随分と変わっちまったなぁ……」


「……ここに思い入れがあるの?」


「昔よく遊んでたよ 家にも帰りたくなかったし」


「……ごめんなさい」


「いやもういいって…… 過去の事は水に流して生きてきたんだ……」


「いやそっちじゃなくて……」


「ん?」


入り口や周囲の茂みより 鈍器を構えた輩が大量に湧き出した


「……何だこいつら?」


「よぉ安斎賢也ぁ…… 泳がしてやってんのに同年代の女とデートかよぉ? 妬けるなぁ……」


「……お前は?」


一見カタギに見えるが 死んだ目をしつつ口角を上げてる仕上がった表情

周囲に比べて頭一つ飛び出る高身長で細身の身体 片手には拳銃を携えている辺り間違いない


「俺は四ノ海の下っ端A 安久谷橘平ってもんだ

お前の所為で俺は海外旅行叶わずトンボ返りだぁふざけんなよぉ?

そういえばお前に伝えなきゃいけなかったなぁ…… トロリーはもうこの世にいねぇぞ?」


「何……?」


「元々あのアマもカタギに戻れるなんて思っちゃいなかったのさ

俺の目の前でお前と通話していたんだからなぁ……」


「あの時か…… 用があるのは俺だよな? 南原は帰してやってくれ」


「大丈夫だ…… そいつは俺が金で雇った女だから」



「……ごめんなさい賢也君」



南原はそのまま輩共の間を通り抜けて逃げて行く

一応他人を怪我させちゃいけない縛りからは抜け出せたが


「今は簡単な仕事と吹き込めば金次第で誰でも引き受けてくれる……

社会不況と政府不信って良いよなぁ…… このままでいて欲しいもんだ

闇バイトが無くならない素晴らしいロジックだよな?」


「人を簡単に殺せる大義をぜひ聞きたいね……」


「良い女だったぜぇアイツは…… てか俺に質問してんじゃねぇよ?

お前を追う理由は単純明快に始末したいからだよ

闇の住人との接触と あとは例の港にもいたんだってなぁ?」


「チッ…… やっぱバレてるかぁ……」


「何の為に五人組監督官を配置してると思ってんだぁ?

いざって時に秒で顔の特徴を言えるように仕込んでるっつうの……

まぁ恨むならトロリーにするんだな 俺らの調査はアイツのしくじりから始まってんだからよ」


「恨みはしねぇよ…… 大人数で囲めば俺がチビるとでも思ったのか?」


「ほぉ……」


安斎の背後にいたチンピラが野球バットで殴り掛かる

握っているグリップのとこで受け止める安斎は相手の勢いを殺した

次々と襲ってくる輩は密度の高いギュウギュウ詰めになり

遠くにいる安久谷は一服している


「捕まえたかぁ? 最悪死んでても構いやしねぇぞ?」


一旦全員が散り散りに離れたが そこに安斎の姿はなかった


「おいどういうことだ袴田ぁ?!」


「ヘイッ!! まんまと逃げられました!!」


「言われなくても分かってんだよバカタレ!!」


安久谷はふと滑り台の方を見る

滑り台は下に積まれた砂の山に設置され

よく見ると四方に出入り口がある土管が埋まっていた


「子供騙しな……」


彼が土管の中をライトで照らすが誰もいない 試しに袴田を中に入れさせると


「……何だこりゃ?」


「どうしたぁ?」


「抜け道がありましたぁ!! マンホールです ……臭っせぇ!!」


「そこから逃げたって言いたいのかぁ? ……ったく面倒くせぇなぁ撤収だぁ!!」


全員が速やかにそこから移動 持って来た鈍器はバックなどに入れて一般人に扮する

安久谷と袴田は黒い外車に乗って消えてしまった




誰もいなくなった公園 茂みから這いずって出て来たのは安斎だ

よく見れば背中には足跡だらけ


「痛ってぇ…… 虫ケラみてぇに踏みやがってチクショウ……

だが気をしっかり持ってればチンピラの地ならしも訳ねぇってな……」


安斎のところに輩が集まる瞬間 彼は地ベタに這いつくばった

そしてGの如くカサカサと前進して 踏まれながらも茂みに潜ったのである


「手は最優先に守ったから無事…… 胴体はまぁ軽症だな」


全方向からの襲撃故に 一方向からやって来る敵の数は少なかった

ストレッチしながら滑り台に近付く安斎は目の前の遊具に感謝する


ーーよく俺も覚えてたなぁ…… 滑り台の下にある【地獄へ続く道】

ここの下水があまりに臭いもんでそう名付けられてたっけ



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