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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター3 ワーウルフゲーム 
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第32話 佐田光子


「〝義を見て為ざるは勇なきなり〟という言葉があります

人として当然行うべき道を知りながら実行しないのは

その人に勇気がないからであるという意味合いですね

当時の俺はそんな感じでした…… 今やイジメは良くない事だとハッキリした時代ですが

昔は屈するだけで逃げの一手が気を楽にさせる唯一の手段でした

ご存知の通り俺の祖父は学生運動の指揮を執っていた活動家です

当時は皆さんの祖父母世代に多大な迷惑を掛けたとんでもない人でした

それを知らない子供の俺は 正直何で嫌われなきゃいけないのかとずっと思っていました」


「「「「「 ………… 」」」」」


「だけどそれが間違いでした 俺はただ生まれて来た人間です

声を…… 荒げて助けを求めるべきだったんです

そしたらここにいる誰かがその時に味方になってくれたかもしれない

誰かに声を掛けても そいつは敵かもしれない そんな気持ちで一杯でした

最後は現実から逃げる形で中退です その後は姿を消しました

……そうするべきじゃなかったんだと今は反省しています

その所為で皆さんにも気を遣わせてしまいました これは俺のミスです

なので今日は自分の過去は忘れて 精一杯楽しみたいと思います俺は……

皆さんもお付き合い下さい…… 乾杯!!!!」


「「「「「 ……乾杯!!!! 」」」」」


なんとか宴の熱を取り戻せた安斎は周りから拍手も貰った

その場に座る安斎のもとには徐々に人が集まってくる


「いやぁ…… あれを言えるなんて大したもんだよ賢也!! お前今何やってんだ?」


「探偵だ」


「探偵だってよおいぃ!! やっぱ推理とかすんのか?」


「アニメや漫画みたな推理ショーはしない 現実の探偵はもっと地味なんだ」


木戸と安斎を中心に自分の職業の事で盛り上がっていた


「私実は知ってるんだ!! 高校の時さ!!

近くの山で宗教団体が人を殺してたって事件があったでしょ?!

その難事件を見事に解決したのが賢也君って話なんだけど……?」


「あぁ…… そんな事もあったな」


「あとは三年前!! あそこの町の火女神社ひめじんじゃがある商店街で!!

行方不明の女子高生を見つけて助けて上げたのも賢也君なんでしょ?」


「……よく知ってるね?」


いくつも出て来る話題で酒が進む



「宗教団体は結局…… 祖父の仲間だった男でさ

なんと火葬場を利用して殺しと死体処理を請け負ってたんだ

そこに潜入した俺は実は偶然でな その実態を追っていた男と運良く合流したんだ

んで今は探偵事務所を立ち上げて…… その男の娘さんとやり繰りしてる」



「えぇっ?! 男女一つ屋根の下?! そこんところどうなの賢也君!!」


「歳はいくつなんだ?! まさか若い子連れ込んでんのか?! このスケベ野郎が!!」


「ちょっと木戸邪魔!! 長い時間一緒にいるんだからもう婚約してるとかかしら?!」


「どこまで進んでんだおい賢也教えろ?!」


寮での生徒と全く同じ展開になってしまった

それだけ周囲の皆もあの頃に戻っているんだろうと安斎は心地良かった

失った時間をゼンマイで少しずつ戻しては進んでいるかの様な




宴もたけなわの状態になる頃には それぞれ話す相手が固定し

安斎の所には不動の木戸と学級委員長だった香芝を含め 四・五人の状態で談笑していた


「そういえばガキ大将の樫村は来なかったのか? 当時はスクールカーストの王様だったろ?」


「あぁ…… 今は誰もアイツとは会っていない 黒い噂があってな」


「……ヤクザにでもなったか?」


「噂ではそうらしい 樫村の右腕だった川崎が吹いて回ってんだ

あの口振りじゃぁ川崎も樫村に何かされたんだろうなぁ すげぇ嫌悪してたわ」


木戸の悪友話で盛り上がっていると

他三人の女子陣が話題を変えてきた

その中の香芝が


「ねぇ安斎君!! ……小学校の時のことを覚えてる?」


「中学のときの記憶も危ないからなぁ……」


「実は安斎君の様に第二中を卒業していないもう一人の生徒も誘ったの」


「……そんな奴いたっけ?」


「私仲良かったからその子の当時の住所を知ってたんでね

覚えてない? 佐田光子さだみつこって名前なんだけど」


「いやぁ申し訳ない……」


「そっかぁ……!! いやぁ誰も覚えてないなぁ……」


「小学校の記憶なんて一個二個覚えてれば良い方だしな」


残り少ないビール瓶を持って安斎のコップに注いで上げる香芝


「実はその子ね…… 安斎君のこと好きだったんだよぉ?」


「そうなんだ……」


「うん…… でも叶わず転校しちゃった」



「あれ?! 佐田光子って亡くなったんじゃなかったっけ?」



木戸の一言で場が少し凍り付いた


「いやいや転校だって言ってんでしょ木戸!!」


「前に仲間内で話した時にも話題に出たんだけどよぉ……

確か神隠しなんて噂が出たくらいだ」


「単なる噂でしょ? 佐田ちゃんは転校…… あれそうだよね?

しかもその神隠しってあれでしょ? 北陰市に伝わる都市伝説の……」


「あぁ東海林妖しょうじょう様に御嘆願」



「何だって?!」



最近耳にした単語に安斎が強く反応した


「ビックリしたなぁ賢也……」


「あぁ悪い…… 最近それ絡みの調査をしたもんで」


「へぇ…… 妖怪に逢えたんか?」


「いや逢えなかったが…… そんなに有名なのかその都市伝説?」


「昔は誰かがいなくなればゴタンガンゴタンガンって意味も分からず叫んでたよなぁ……

そういえば東海林妖を広め始めたの佐田光子じゃなかったか香芝?」



「思い出してきた……

その変な都市伝説の所為で 佐田ちゃんが結局どうなったのかあやふやになったんだわ」



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