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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター3 ワーウルフゲーム 
33/41

第28話 唾棄を浴びる流儀


「改めて…… トアル探偵事務所の安斎賢也です」


「同じく柴塚久留美です 三日前の午前1時頃にこちらの所長が寺田さんのご遺体を発見しました

私達が知りたいのは寺田さんの生前の動向です 26日はここに通勤していたんですよね?」


名刺を差し出す安斎と柴塚 楽長は被害者死亡の前日の事を話してくれた


「警察にも話しましたがそうです…… 普段と何も変わらない業務をしていてくれました

朝は私と一緒に教材を取りに ほら安斎先生と芽神さんと一緒にした奴です

その後は登校があるので校門前で守衛の仕事を昼の11時までですね

そこから昼ご飯まで一時間 本棚の修繕と生徒が野菜の世話をする花壇の土の整理

以前に猫の死体を埋めたと言っていたので 掘り返して別の場所に埋め直したんです

そのとき同行したのは確か 猫の持ち主の河上香里奈さんだったかな

昼食を職員室で食べたのを見かけ その後はまた守衛に戻り

放課後まで守衛室からは出ていないと思いますよ トイレと敷地内一周の見回りを省いてね」


「その後のことで分かることは?」


「寺田さんは堅物で口数が少ない人だったからねぇ

雑談とかも興味が無い人だったので 生徒が帰ればその後にさっさと帰っちゃうんですよ

勿論教員の誰かに一言入れてから校門を出ます

26日はそうですねぇ…… 日下部先生に言ってたかな?」


「普段変わったところは無かったと…… 分かりましたありがとうございます

一応校内の人達に協力をして貰いたいんですが 許可をくれますか?」


「あまり追い込んだ脅迫まがいでなければ大丈夫だと思います」


「「 ありがとうございます 」」


楽長室から出れば なんと妻夫木と日野が出待ちしていた


「さぁ安斎先生!! 犯人を捕まえに行きましょう!!」


「俺達先生の許可を貰って探偵倶楽部を作ったんです!! 容疑者を何名か絞っておきました!!」



「おっ…… おぅ??」



日野がメモ帳を取り出す

そして容疑者数名を読み上げた


「まずは理数担当の玄田先生ですね!!

積んだ砂を固めるには含浸シーラーという物を使うんですね

寺田さんが砂壁に埋められていたのは聞きました

砂壁を砕いてもう一度作るにはそういった専門分野の知識と計算が出来る人だと思うんですよね


次に主に工作担当の前田先生ですね!!

休日によくDIYしている自慢を聞きますので有力候補です

もしかしたら玄田先生と共謀してる可能性があります


最後に英語担当の桐島先生!!

寺田さんが実は陰で桐島先生に好意を寄せていたらしいんです

ですが桐島先生って実は彼氏持ちだったんですね

寺田さんは寡黙で有名でしたから そういった情報を得ずにアプローチしていたんじゃないかと推理

彼は57歳なのでかなり年の差がありましたが 知っている人の中で応援してる人もいました

しかし桐島先生としてはそんな行動が鬱陶しく思って……」


「「 ………… 」」


「どうですか安斎先生!! ……もしかしたら全員が結託してる可能性も」


「実は俺達…… もう犯人の目星がついてるんだ」


「えっ?!」


日野と妻夫木は唾を飲み 次に出る安斎のセリフに注目する


「お前等がお世話になっている寮母さん 門脇さんだよ」


「「 それは無いっす!! 」」


二人が同時に声を上げる 思わず楽長室から楽長が顔を出すほどだった


「門脇さんは俺達の為に毎日忙しいんすよ?!

人殺す暇なんて無いです!! 26日のアリバイはあります!!」


「ジョンの言う通りです!! 何故先生は門脇さんだと思うんですか?!」



「あぁ悪ぃ冗談だよ…… だが人が疑われるってこういう事だ」



安斎の珍しく真面目なトーンに柴塚は目を見開いて聞いていた


「そもそもさぁ…… 何で教師限定なんだジョン?」


「それは……」


「お前は確か高校でイジメに遭ってここに来たんだったな?

人に指を差されたり陰口を言われることがどういう事か分かってる筈だ」


「っ……」


「アラン…… お前は授業をサボって

パソコン室でずっとネットをイジってたのを教師に怒られ続けたんだってな?」


「……はい」


「でも調べていたのはお前がなりたい探偵についての進路探しだったそうだな?」


「っ…… そうです!!」



「探偵ってのは人を疑ってなんぼだから否定はしにくい

だが人を疑うことで生まれる亀裂は半端じゃない 下手すりゃぁ修復不可能だ

相手が犯人だろうが教師だろうが 誰だろうが人間である限り変わらねぇ

そして そこに生まれる疑心は空気感染して思いも寄らぬ崩壊が始まる

お前達はそれをコントロール出来るのか? 誰もが誰かを信用出来なくなったとき

その元凶を作ったお前等はどうする? 正直に謝罪出来るか?

ネットみてぇに炎上させるだけさせて逃げるか? どっちだ?」



安斎の説教は強烈なものだったのか 二人は黙ってしまった

隅で見守っている楽長と柴塚は気が気でない


「ジョンとアランが生徒の中の誰かを容疑者にしなかったのは…… 大体理解出来る

だがだからといって教師に何してもいいは 俺は違うと思うぞ?」


「「 っ…… 」」


「現実の探偵の仕事は 関連だけの動機や殺害方法だけで絞り込んでも証拠不足なんだ

地道な足跡を見つけ 限りなく細い真実の隙間をこじ開けなきゃなんねぇんだよ

悪戯に人を傷付けない為にも その人間を疑うに値する確証を得て初めて走り始めるんだ」


「「 ……すみませんでした 」」


素直に謝る二人

探偵に憧れる彼等に対してリスペクトを薄めたのではないかと

このご時世に説教という形で 自分の仕事の本質を伝える安斎は少し悲しかった



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