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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター1 東海林妖 
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第2話 楽校の七不思議 


彼は安斎賢也

ひょんな事から探偵に憧れ 中学を中退してから探偵事務所を立ち上げる

資金と建物は彼が居座っていたマンションの大家が支出

受け取った金のほとんどは探偵業を独学で学んだことによりスッカラカン

設立数年後に唯一の従業員柴塚を迎え 現在に至る




北陰市 暁風楽校門前


守衛が睨みを利かせている

ここ最近の児童の行方不明が原因だろう

しかし事前に芽神と連絡を取り合い 彼女が迎えに来ることで信頼を得る手筈である


「お待たせしました安斎さん」


「……じゃぁお邪魔しますよっと」


芽神が守衛に説明し 来賓用のネームプレートを受け取る安斎

校舎は円形建造物ロタンダと呼ばれる古い木造景観

玄関を潜れば不思議とノスタルジーに包まれる匂いが在る


「まずは楽長先生に会って貰います」


「……まさか数日付き合えって言うんじゃないだろうな?」


「そのまさかですよ

一日で全部の怪異に会える訳ないじゃないですか…… 願い叶い放題ですよ」


「はぁ……」


「外部講師ということでお願いします」


楽長室のドアをノックする芽神

ノックはあくまで礼儀 室内にいる人間の許可は必要無く

引き戸を開けて芽神は入って行った


「楽長先生!! 外部講師を連れて来ました!!」


「いやいや本当に一日で連れてくるとはビックリですよ芽神さん」


「では私はこれで! 失礼します!」


彼女は安斎に目で入れと合図し 教室の方へと戻って行く

気怠い感じで楽長室に入室する安斎の表情で 楽長は何かをお察しした


「どうやら無理矢理連れて来られたみたいですね」


「ハハハ…… おっしゃる通りです」


手を差し向けられ 革のソファーに座る安斎

コーヒーを淹れてる楽長は二人分のコップを持って対に座った


「しかしまぁフリースクールってワードは最近耳にしますが 随分立派な建物を用意出来るもんすね?」


「校舎は丸かったでしょ? 1950年代のブームの名残で

残存している数少ない建造物だったんです 前は図書館でしたが

私の様な民間が数十名集まって買い取りました

そして19年前にフリースクールを開業したんです」


「次の年で二十周年ですか…… 歴史がありますね」


「ありがとうございます…… ですが

訳ありの不登校生や問題生徒は時代毎にその質も変わっていきます

フリースクールは教職に空きが無い教員の受け皿でもありました

しかし不本意な職場は時として不祥事が起こり得ます」


「確かここって子供の自由を尊重する形態でしたっけ?

一人一人に居心地の良いスケジュールを作って それに支援者せんせい達が尽くすでしたっけ?」


「尽くすって言い方には語弊がありますが……

現在在校生は六十二人います 勿論皆が皆 素直な子ばかりではありません」


「大変なんすねぇ……」


「あのぉ…… そろそろ本題に行ってもよろしいですか?」


安斎はコーヒーを一口啜り 芽神が事務所に依頼してきた件を話す


「依頼内容までは守秘義務があるのでお話出来ません

しかしそちらの学生さんがポンと十万円を渡してきた事には看過し難いですね

聞けば親御さんがいないという話でしたので こういった事実だけ楽長に話しておきます」 


「いやいや…… 芽神さんがそんな行動に出ていたとは

彼女は寮生活なので外出する際は外出届が必要なんですが……

どうやら無断で外に出たみたいですね

いや…… 別にうちの学生が何時出掛ける事に関して そこまで厳しくはしていないんですが」


「因みに噂に聞いたのですが ここには七つの何かをすることによって屋上に龍が出るとか?」


「えぇっ?! ……あぁいや子供達の噂が変な方向で変わっているのかな」


「…………」


「〝東海林妖しょうじょう様に御嘆願〟ですね?」


「東海林妖??」


「実は私が産まれる前から存在する 北陰市に語り継がれる伝説なんです

しかし暁風楽校が開業して幾許もない頃 突如七不思議として新たな噂が流れ始めました」


「まぁ学校だし七不思議で盛り上がるのも別におかしくはねぇ」


「……それで安斎さん 外部講師の件ですが」


「得意科目は無いですが 探偵目線の講義なら毅然に出来ますよ?」


「それは有り難い申し出です 先に出た教員不足には頭を抱えてまして……」


楽長に隣の職員室を案内された

昼食の時間という事でほとんどの教師は帰ってきている


「えぇ皆さん!! 唐突で大変申し訳ありませんが外部講師を迎え入れました!!」


「ホントに唐突でしたね 書類審査くらいしてもよろしいのでは?」


「教員不足は普通の学校の比ではありません安斎さん

教育過程カリキュラムのマニュアル化を撤廃したフリースクールのスタイルは

独自の生徒達の社会進出を手助けするために柔軟にならなければなりません

ですが自分の遍歴に柔軟性を意識して相手と向き合うことはかなりの神経を使うのです」


「辞めていく人間のほとんどはその適正が不足していたという事ですね?」


「えぇ…… ですからタフな人間は一人でも多い方が助かります」


小言で会話する楽長と安斎

すると一人の教師が安斎に握手を求める


「深刻な問題を抱える生徒が各人いる環境を支援してくれる方は

同じ志を持つ者として尊敬しています 私は中西君尾なかにしきみおです」


「あぁ…… 激励痛み入ります」


トントン拍子に新たな職が決まってしまった安斎であったが

芽神の思惑通り これでいつでも暁風楽校に出入りできるようになった



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