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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター2 ギャザリング
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第20話 交錯


椅子から立ち上がれない柴塚 少しでも動けば岳斗が何をしでかすか分からない


「長男坊は無能だから線としては無いわ!!

ならば下の弟妹達が怪しいとは思わない?」


「……実際に調べてみないと分かりません」


「えぇだから貴女のところの所長さんにお願いするんです」


「……何で私達なんですか?」


「ごめんなさいねぇ~~

ここにいる岳斗って男は随分と鼻が利くの

噂程度になっていた遊園地での過去の誘拐事件の真相を頭から調べてくれたわぁ

警察や他の探偵は赤坂家の事など対象外にしてたらしいじゃない?

だけど貴方の所長はそれとほぼ同時にやって来た 勘が鋭い子は大好きよぉ」


「っ……!!」


「おそらく劣悪な環境で育って来たんでしょうねぇ 想像も出来ないわぁ

子供の頃から残飯でも漁ってたのかしらぁ 野生の本能があるって羨ましいわぁ汚らわしいけど」


「馬鹿にすんじゃねぇよ!!!!」


柴塚は初めて席を立つ


「安斎所長は…… 賢也さんは私の父と母の仇を取ってくれた恩人です!!

あの人は汚点が前面に出てる普段はどうしようもない人ですが……!!!!

一本筋の通った人間の鑑の様な人です!! 馬鹿にすることは私が許しません!!!!」


「そう…… ドラマチックね じゃぁあとは頼んだわよ岳斗」



「デュヒヒ…… そういうことなんで柴塚ちゃん 大人しゅうしてなぁ……」



力でも護身術でも勝てないと踏んだ柴塚は往生する

口と手足を縛られ 岳斗にお姫様抱っこされてその部屋から姿を消した




時は遡り 一方で柴塚と別れた安斎は波止場にいた

停船している船舶はどれも大きい物ばかりだ


「こら新入りぃ!! サボってんじゃねぇぞぉ!!!!」


「うぃ~~っす」


海を見ながらの一服も虚しく

その筋の元ヤクザやら 世の中を悟ってしまった面をする若者

生気を抜かれた中年やらが仕事をする倉庫へと戻る


「仕事の途中で煙草吸うとか度胸あるっすね安斎さん」


「……だって休憩が五分しかねぇんだもん

普通煙草って七分くらいだろ? せめて十分は休ませて欲しいぜ」


他のバイト君から呆れられる安斎は渋々荷物を運ぶ

ここへ来た目的は 勘で人攫いの証拠を見つけに来たわけだが

今のところは至って普通の輸出品しか見つからない

人目を盗んで荷物の中身を見れば 日本で採集・狩猟・漁獲できる高級食材だらけ


ーー勘が外れたかなぁ……


四ノ海の人間が勿論ここに来る事はそう無い

上司と言えど自分達と大して変わらない役職だ

中間管理職の人間すら見当たらないので まともな情報を得るのは可能性薄であった


『違法行為はんたーい!!!!』


「「「「「 違法行為はんたーい!!!! 」」」」」


『闇バイトを許すなーー!!!!』


「「「「「 闇バイトを許すなーー!!!! 」」」」」


倉庫の外から聞こえる謎の集団 安斎は気になって外の様子を見に行くと


「おい何やってる!? 持ち場に戻れ!!」


「いやぁ仕事に集中出来ないんで何事かなとぉ……」


「お前は新入りかぁ…… ハァ…… アイツらはNPO団体だ

ここで闇バイトを雇って働かせてるのを どこからか嗅ぎつけてあの有様だ」


「そうなんですね~~」


「お前等が顔を出したらアイツらに花を持たせることになる

敷地を跨がせず お前等の存在を隠し通すことでここの事業は無敵でいられるんだ

分かったらさっさと持ち場に戻れ!!!!」


「イエッサー!!!!」


本当は全員警察に突き出してやりたかったが

それで終わらせるには些か謎に満ちる今回の闇バイト

誰にも見られてない空間の割には 普通の仕事内容だ

しかしその堅牢たる倉庫は ある一人の男によってこじ開けられた


『直ちに闇バイトをしている全員は自首しろぉ!!!!』


メガホンを持って濁った窓ガラスを割り 中に侵入してきたのは成人して幾許も無い若者だった


「なっ…… 何しとんじゃてめぇ!!!!」


監督官数名が出張って来てその若者を囲む

若者は動じず嘲笑を浮かべて後ろを見る 今まで外で叫んでいた連中は颯爽と撤収したのだった

自分は見捨てられたと理解した頃には 大量の汗が流れ出ている


「おぅ?! 何で窓を割ったんだぁ?」


「あぅ…… あの…… えと…… すみま…… すみませんでした……」


「おぅおぅさっきの威勢はどうしたんだぁ?!

片手のメガホンで随分イキってたじゃねぇかよぉ……?」


「その…… 俺…… 俺に手を出したら…… ぼ…… 暴対法……」


「俺達はヤクザじゃねぇぞぉ?」


「えっ…… あっ…… そうなんですねぇ……」


「まぁ兄ちゃん まずは窓ガラス弁償して貰うわぁ 親御さんに連絡して来て貰おうかぁ?」


「うぅ家にだけは勘弁して下さい……」


横にいる監督官が若者のメガホンを取り上げて頭をド突く


「ナマ言ってんじゃねぇクソガキぃ!!!!

好き勝手やって謝れば許されるとかぁ 都合の良い脳味噌してんじゃねぇぞゴラァ?!!!」


「うぅ……!! うぅ~~……!!!!」


半グレ丸出しの監督官達に詰められて泣くしかないその若者の正体を

遠くから見ている安斎だけが知っていた


ーーありゃぁ確か…… 実際にまだ会ってなかったが知っている

以前調査でお世話になった暁風楽校の社会人生徒 建守颯颯たてがみはやてだ……


一応外部講師としての仕事は終わっているが

どうも見捨てるという選択肢に後ろめたさがある彼は


「ハァ…… おいガキィ!! 世の中ナメ腐ってんじゃねぇゴラアンゴラアン?!」


「なっ…… おいお前どうした?!」


安斎が誰にも当たらない場所に物を投げてみせれば

監督官達の間をすり抜けて建守の首を鷲掴みにする


監督官アニキ…… ここは俺に任せてつかぁさい!!

間違いを犯したら償うは渡世の義理じゃボケコラァ!! さっさと親のところに案内せぇや!!」


「はっ…… はいぃ……!!」


そのまま建守と一緒に割れた窓の外へ出て行ってしまった



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