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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター8 ストレンジャーズ
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第102話 トリーザダンのどこまでも続く壁


元春が泣き止むの待つ安斎と岳斗は 徐々に一階が騒がしくなる声を拾う


「俺が忍び込んだのバレたか?」


「そりゃ無い筈なんやがな~~」


使用人の一人が慌てて元春の部屋の前でノックを打つ

安斎は部屋の隅に隠れ 心が不安定になっている部屋の主に代わって岳斗が出た


「あぁ岳斗さんもここに居たんですね 大変です!!

目を離した隙に椛様が何処かへ姿を消したようなんです!!」


「何やて?!」


「また危険な場所に行ったのではないかと奥様もダイニングで喚いております……」


「しゃぁない…… ワシらが捜すから落ち着かせときやぁ」


一旦扉を閉める岳斗は元春と話し合う


「どうしましょう……」


「どうもこうも無い 外に出て捜すんや……」


「でも妹が行くところは決まって危ない輩がいるんですよね?」


「アホぉ!! 危険な場所と分かってんなら身体を先に動かさんかい!!

身近で誰も頼れんかったんやろぉ?! 椛ちゃん助けたいんやろぉ?!」


「……はい だけどぉ」


「過去六回以上も危険な目に遭って そん中で殺されてたとしても不思議やないんやで?」


「……行きましょう! 俺も…… 俺も捜しに行きますので岳斗さん……

安斎さんも妹捜しにご協力下さい……!!」


「デュヒヒヒヒ!! おう!! ということでや安斎ちゃん!! 新しい依頼…… おろ?」


二人は部屋の中を見渡すが そこに安斎の姿は既に無く

窓に掛けられるカーテンだけが揺らいでいた




「もしもし!! 新しい依頼が入った 今すぐトリーザダンに集合だ」


『上がれって言いましたよね所長?! 私達もう酒入れてるんですけど?!!!』


「仕方ねぇだろ急展開だ!! 酒以上に水飲んでさっさと来い!!」


『だったら〝上げれ〟じゃなくて〝待機〟って言っといて下さいよ!!

そっちの状況判断で勝手に命令しといて何様なんですかぁ?!』


「口より身体を動かせ!! ただでさえ生活費ゼロから始める異国でのリスタートだぞ!?」


『元から大して金なんか無かったんですから やむを得ない感じ出さないで貰えますぅ?!』


走りながら電話する安斎は 前にも来たトリーザダンの連なる壁の前に到着

すると同じタイミングで柴塚達もその場に辿り着いた


「そもそも所長は見切り発車で動き過ぎなんですよ!!

計画性無いんですか?! あぁ無いですよねぇ!! 本能型の野生児ですもんねぇ?!」


「その直感で救われた場面もあっただろうがぁ!!

てめぇみてぇにモタモタ状況整理して動いてたんじゃ後手に回るって毎回言ってんだろうが!!」


「だからってオフモードになってる従業員を深夜に呼ぶとか

部下の健康を何だと思ってるんですか?! もう五缶開けたんですよ五缶!!」


「だからそんなに気が立ってんだなよく理解したわぁ!! その勢いで椛ちゃん捜してくれやぁ!!」


「酩酊状態で人捜すこっちの身にもなれっつってんだよ!!」



「……器用だなお前ら」



互いに到着するなりスマホの通話を切っても尚 続ける口喧嘩にフレバーは感心していた


「……んで 椛ちゃんがトリーザダンに来ているのは確かなんですか?」


「前にビアンカさんが見つけたのがここっていうんだから有力だろうが?」


「ハァ…… 寂しがってるかもしれない女の子に泥酔状態で会いたくないわぁ~~」


改めて何処までも伸びる煉瓦造りの壁は まるで刑務所を彷彿させる


「なぁ安斎…… これ…… 造りが新しいよな?」


「俺も思った 年内…… いやつい最近完成したのか?」


椛を捜しながら何処までも付いてくる巨大な壁は 夜ということもあり威圧を放っていた

一定の間隔で於かれている街頭を一つ一つ越えて行くと 一人スポットライトを浴びる女の子が


「椛ちゃん!!」


柴塚が駆け寄る フレバーも安堵して歩いて行くが安斎は立ち止まってた

今まで変わり映えの無い壁と違い 椛がいる場所には大きな扉が構えられている


「ここが入り口か……?」


柴塚とフレバーが蹲る椛に付き添う中 大きな扉に注目している安斎

そんな中 急いで後を追って来た岳斗や元春とも合流する


「椛……」


「兄さん……」


椛は下を向いていた しかしそんな少女の目線よりも下に頭を振り下ろし

地面に擦りながら元春は土下座を繰り返す


「守ってやれなくて悪かった……」


「…………」


「次からは俺が味方になれるから…… 家に帰ろう……」


「……ねぇ兄さん セックスって気持ちいいの?」


「えっ……」


「…………」



「あの…… 邪魔なんだけど?」



その場の六人は 急に現れる一人の少年に驚く

音も無く闇夜から姿を現し 異質な空気を放つその少年は扉の前に立てば

ノックを変なリズムで鳴らし 奥側にいる人間に声を掛ける


「僕なんだけど…… 開けてくれる?」


扉はノロく開け放たれ 中からガラの悪い人間が大所帯で彼を出迎えた


「……凪海なぎ様 お帰りなさいませ」


「何処に行かれてたんですか……?! 心配しましたよ……」



「お菓子とお面を買いに行ってただけなんだけど…… 異国だからいつも食べてる奴が無くてさ」



明らかに教養に乏しそうな輩がこぞって謙る 凪海は上半身だけ振り返ると


「昨日も会ったね青沼椛ちゃん」


「…………」


「お互いあまり迷惑掛けないようにしないとね」


光が灯らない薄ら笑いで中に入ろうとする少年を 安斎は呼び止めた


「お前…… 泉太郎じゃないよな?」


「……誰? それ?」


「……名前を聞いてもいいか?」


取り巻きが安斎に吠え始める中 凪海の一声で場は沈み


「礼儀正しい大人は好きだよ 僕は〝四ノ海凪海〟

四ノ海グループの()()()()の後継者だよ」


「そうか…… 頑張れよ!」


「へぇ…… 事情を知ってる人達なんだ…… うん!! 頑張るよ!!」


そう言い残して大きな扉は閉ざされた



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