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高校入学2日目から、転生魔王がうざい  作者: 林海
第三章 魔界にて

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第21話 魔族の戦略


 オブザーバーってのは、「観察者、傍聴者、立会人」なんて意味なんだって。ケイディがこそっと教えてくれた。つまり、勇者パーティーに参加するし、助言もしてくれる。でも、私たちの行動に干渉したり、行動を決定する権利は持たないんだそうだ。

 つまり、私たちにとってはいいことばかりだけど、そのかわりに監視されるってことなんだろうね。


「上将ワイバーン『謀略のアウレール』、アンタが来る?」

 私の質問に、アウレールは長い首を横に振った。そして、魔王がその理由を話した。

「我が軍からしたら、勇者一行についていく者は遊兵となる。『謀略のアウレール』は我が軍一の知将にして勇猛、そんなもったいないことはできぬ」

 だって。

 まぁ、そりゃそうだ。


 私、将棋のルールは知らないけど、飛車角落ちって言葉ぐらいは知っている。で、実際の戦争を自ら飛車角落ちではできないよね。そんなことしたら、負けちゃうもん。

 魔王軍の人材枯渇は、マジ深刻。


「だけど、魔族から信用されていて私たちからもある程度は信用されて、戦場であっさり殺されない程度には自分の身が守れてなんて人、魔族の中にいる?」

 私の問いに、魔王は変わらず無邪気な顔で笑った。

 うーん、頭なでておこづかいあげたい。なんて可愛いんだろ、私。


「元魔王でいいじゃない。

 勇者が魔法を戻してくれれば、一軍の将の力量としても言うことないし、勇者が言った条件はみんな満たすよ」

 ……あ、なるほど。現魔王に言われてみればそのとおりだ。


「それに死んだ元魔王が転生して戻ってくるなんて、そもそも考えてない。だから、元魔王がその任に就いてくれたら、私たちは当初の戦略どおり戦える」

 なるほど。

 納得する私に、現魔王は続ける。


「だけど勇者、元魔王が魔法を使えないのをいいことに、いいようにいじめたんだって?

 それで、仕返しが怖くて魔法を返してあげられないんだって?」

 ぐさっ!


 私の心に、魔王の言葉が突き刺さった。きっと、これが魔王魔王している魔王に言われたんなら、私だって笑えたセリフだっただろう。「魔王同士がなにを傷を舐め合っているのよ。情けないわねっ」ってね。

 だけど、幼いときの私の顔で言われるとクるわぁ……。なんか、すごく悪どいことしてたような気になるよ。


「少なくとも余は、深奥の魔族を撃退するまでは勇者に復讐はせんよ」

 元魔王の辺見くんがそう口を開き、私は仕方なく頷いた。

 あーあ、私なり言いたいことはたくさんあるけど、もうどうしようもない。なんか私だけがイヤなヤツになったみたいで、ずずーんって落ち込んじゃったよ。


「で、『魔王軍の当初の戦略』ってのはどういうものなのだ?

 余はそれを妨害せぬよう、勇者パーティーに働きかける必要があろう」

 元魔王の辺見くんがそう言って、ケイディが興味津々って顔になった。作戦ってのは、魔族の思考ってのが赤裸々になるわけだから、ケイディの顔も理解できなくはない。


「ごく当たり前のことよ。ここから3日飛んだ先、ザフロスの渓谷に魔界からのゲードが開き、そこから敵の魔族が溢れ出してきている。我々はそのゲートを掌握し、ゲートの敵魔界側に橋頭堡を築く。敵を越境させないためだ。これで戦略目的は達成できる。そののち、こちら側に入り込んだ敵を殲滅し、後顧の憂いを断つ。橋頭堡さえできていれば、これは容易だろう。

 次の段階としては、敵側の圧力を考慮しながら橋頭堡の維持に努め、可能であれば敵首魁の掃討を図る」

 なーるほど。

 わかりやすい。


魔族とはゲームが成立しそうかな?

そう思ったケイディであるw

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