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高校入学2日目から、転生魔王がうざい  作者: 林海
第一章 冒険仲間と魔王との再会
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第7話 3日目の放課後1


 ただ……。

 1つ発見した。

 元魔王がいくら傍若無人に振る舞っても、身体は辺見くんなんだ。

 攻め口がないわけじゃない。


 そして、災い転じて福となすというのはあるかもしれない。

 これから辺見くんが暴走しても、石化、バーサク、カエルの3人は私寄りの証言をしてくれるはずだ。


 なんか、そう考えると私の心にもいくらか余裕が生まれてきた。

 橙香のおかげだな。

 勇者、戦士の与太話はどーでもいいけど、いい友達ができたのは事実かもしれない。


 結局、元魔王は5時間目が始まるときには戻ってきたけど、汗びっしょりで、唇は細かく震えていたし、その周りはなんか赤くなっていた。

 それを見て、私はお昼を食べそこなったことを許せるくらい、気持ちがせいせいしたんだ。



 で……。

 結局、元魔王の辺見くんは、懲りずに放課後にも私に話しかけてきた。未だ腫れが引いていない唇で。

 心のゆとりを取り戻した私は、少しだけなら許してやる気持ちになっていたので、彼の話を聞くことにした。もちろん、横には好奇心満々の橙香がいる。

 あっという間にみんな帰ってしまったから、元魔王も話しやすいだろう。


 とはいえ、元魔王を封じ込める呪文も私たちは手に入れている。昼までに比べたら私たち、かなり安全になったんじゃないだろうか?

 元魔王が偉そうにすると、橙香が「カレーパンの代金」とつぶやく。とたんに元魔王は辺見くんになって、「なんで僕がカレーパンの代金を払わなきゃならないんだ?」って反論するので、良い泥試合だ。

 でもって、僕って、それは元魔王じゃない辺見くんの一人称なのかな。ま、しかたない。元魔王は財布なんか持っていないだろうし、払うのは辺見くんだ。


 ……ただね、元魔王が語りだしたのは、シャレにならないことだった。妄想でなかったらだけど。でもって、妄想でない確率は1%もないんだろうけれど。

「魔界への扉が開こうとしている。

 魔の眷属がなだれ込んでくる。

 だから、魔の力を復活させ、我が眷属を守らねばならぬのだ」

「へー、よかったじゃん」

 へらへらと笑う私に、元魔王はさらに真面目な顔になった。どーも、オーバースペックだよな、この顔。きりっとしてカッコよく見える。石化、バーサク、カエルでなくても、見惚れる女子がいるかもしれない。


「勇者よ、お前は勘違いしている。

 世界は何層にも分かれている。

 今回口を開ける魔界は、人の世、我が魔界、次の魔界と並ぶ関係ぞ。

 我が魔界は人の世に最も近いゆえ、勇者が戦うこともできた。

 だが、人の世と我が魔界で隔てられている魔界は、戦いという形でさえも接することはできぬ。ただただ瘴気と魔の眷属だけが流れ込み、それを認識できぬままに人の世は滅びに向かうのだ。

 我が魔界であれば、その世界の魔王と戦うことができる。だが、我が魔力は失われており、この魔界からの侵入を防げないのだ」

 ……なんとなく、話の筋は通っているように思えるな。


 つまりさ、私が魔王退治をしたから、その魔王のいる世界から見ての魔界と戦えなくなったってことだよね。平たく言うと、ヤ◯ザを抑え込んだら、外国のマ◯ィアの侵入を抑えきれなくなったってことに似ているかもしれない。で、被害は一般市民が受けるけどそれでいいのか、と。

 うん、例えが極めて不穏当だけど、こういうことでいいんだよね?


 でも、こうなると話はややこしいな。

 私の立場は警察みたいなもんだ。

 外国のマ◯ィアの侵入を抑えるために、ヤ◯ザの武器所有を黙認するなんて、それはそれでできるはずがない。かといって、外国のマ◯ィアと戦えるだけの装備も予算もないって感じかな。

 さて、困ったな。


「なるほどね。

 言いたいことはわかった。

 でもね、私からしたらそれは辺見くんの妄想以外のなにものでもないし、それを覆すだけの証拠はないの?」

 一応、ちょっとだけ話に付き合ってみよう。

 私はそう思っていたんだ。

例えが不穏当なことをお詫び申し上げますw。

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