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高校入学2日目から、転生魔王がうざい  作者: 林海
第五章 魔界での旅の日々
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第23話 追加実験


 なだらかな下り坂ってのは、スピードが乗るね。山を降りるのに、気をつけていないと小走りになってしまう。

 私の聖剣タップファーカイトの一振りで300mくらいは整地できるから、それを15回繰り返したら山の木々が生えているところまで下れて、道は尾根筋から降りて曲がりくねって聖剣タップファーカイトを振ることはできなくなった。さすがにここで同じ整地をしたら、自然破壊以外のなにものでもないからね。


 で、次の魔法陣まで40kmと聞いていたけど、ぐいぐいと距離を稼いでしまって、一気に疲れが来た。

「そろそろ、頼むから、休憩、しよ」

 悔しいけど、真っ先にバテたのは私。だって、私の背中にはフランがしがみついていて、結構な重さだったんだよ。なんか、フラン、元魔王か私のどっちかにくっつくんだよね。

 で、ずーーっと下り坂だと膝にクるんだね。知らなかったよ。


「そうだな。雪のないところまで降りるのに3時間はかかるかと思っていたが、50分で降りてしまった。休憩しても問題なかろう」

 あ、ありがとう、元魔王。アンタ、たまには話せるヒトなんだね。


「水分補給はしておかないとな。

 また、茶を淹れてやろう」

 うん、ケイディ、アンタ、優しい。


「聖剣タップファーカイト、新旧どっちを使ったの?

 大丈夫? 疲れてない?」

 賢者までが私を下に置かない。


「ねぇ、なんでみんな私に優しいの?

 なんか含んでない?」

 私の問いに、みんなは一瞬顔を見合わせて、そろって首を横に振った。

 ……絶対、嘘ついているよね。


「お湯を沸かすのに、落ちている木の枝を切りたい。

 勇者、頼めるか?」

 白々しいのよ、ケイディ。

 私、聖剣タップファーカイトは聖なる武器なのよ。やなこった。


「で、なにを含んでいるのよ?」

 じーいっとケイディの目を見続けてやって、でもさすがは諜報機関の人間、ボロが出ない。なのでターゲットを賢者に変えた。

 じーいっ、じーいっ、じーいっ……。


 そしたら賢者、ついに音を上げた。

「聖剣タップファーカイトに使用限界があるか、ケイディの国の軍事基地での実験結果に加えて知りたかったのよ。破壊力がありすぎるせいで、聖剣タップファーカイトの耐久試験はできていないんだから」

 あ、そんなこと考えていたんだ。それで、疲れてない? とか聞いたんだな。


「ぜんぜん平気。

 聖剣タップファーカイトは魔素の力で斬っているわけじゃないから、使い減りしないよ。賢者、それは知っていたよね?」

 私の確認に、賢者は頷いた。

「知っていたよ。

 だけど、無制限に使えるエネルギーは存在しないから、どこかに限界は必ずあるはず。まして今は、聖剣が2本になったんだから。

 戦いの場で使用限界を知るのは、リスクが高すぎるでしょ」

 まぁ、それはそうだけど。


「でもさ、その実験、別に私に内緒にする必要はないじゃん」

 ……な、なによっ?

 その露骨に疑わしいって顔は?


「実験対象に、実験しているって伝えたら実験にならないでしょ。

 それに、内緒にせずにどれくらい聖剣タップファーカイトを繰り返し使えるか実験しようとしたら、アンタ、限界が来る前にめんどくさくなって、疲れたとか言ってやめちゃうでしょ?

 だって、山を下るのに楽だからと上機嫌で聖剣タップファーカイトを振っていたけど、山を下りた途端使い渋っているじゃない」

 う。

 うるさいな。

 薪ぐらい、すぐに粉砕してやるわっ。


みんな、勇者の性格がわかっているのですw

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