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高校入学2日目から、転生魔王がうざい  作者: 林海
第四章 魔界での旅立ち
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第17話 歩け歩け


「とりあえず勇者、お前はMREを食え。これからまだまだ道は続くし、深奥の魔界の魔族は単なる海の生き物より怖いぞ。知恵が回るし、魔法も使う。単なる巨体で物理攻撃してくる敵など、序の口に過ぎない。

 どのような意味でも、自分から隙を作るな」

 ……ぐっ。

 元魔王の言葉、正論すぎて反論できない。


「そうよ。待ち伏せしているところに踏み込んでしまうにしても、今のは罠とも言えない。だけど、知恵が回る敵は、もっときちんとした罠を張るわ。その罠に気がつくか、気がつかなかったら自力で食い破るか、そのどちらかができなければ全滅よ」

 ……うるさいやい、賢者。

 言われなくても、そんなことはわかっているってば。


「とにもかくにも、余は魔素を節約せねばならぬ。次の魔法陣で跳躍できなければコトゆえ、もはや今日は魔法は使えぬ。賢者よ、あとは任せよう」

「わかった。だけど、深奥の魔界の魔族が出たら、さすがに私の魔法だけでは戦いきれないかもしれない」

「それはもう仕方ないだろう。その際には余も魔法を使う」

 あー、もう、責任を感じちゃうな。

 私のせいで、1日行程が延びてしまうかもしれないんだ。


 考えてみたら、核爆弾の問題だけじゃない。日本に帰って学校に行く日も、1日延びることになっちゃうんだ。

 まさか留年にはならないだろうけど、数学とか、ついて行けなくなるかもしれないよね。私、いろいろと覚悟を決めたよ。


「深奥の魔界の魔族が出たら、私が聖剣タップファーカイトを振るう。私が相手をやっつけるから……」

「まぁ、待て勇者。敵はただ殺せばいいというものではない。まず、寝返って味方になるなら歓迎だ。さらに我々にとって、敵の情報はまだまだ不足しているのが実情だ。まずは、聞き出せるなら聞き出す方が先だ。

 勇者の聖剣タップファーカイトは、容赦がなさすぎて使い所が難しい」

 ……なんなんだよぅ、それ。


「じゃあ、私がなにもしていなかったように言うのはやめてよね。私、聖剣タップファーカイト抜きで戦うなんてこと、できないんだから」

「自分から罠に飛び込んでいくようなことさえしなければ、誰もなにも言わんよ」

 ぐっ。

 ケイディってば、またずいぶんと効果的に私の言葉を封じてくれるわね。


「とりあえず時間がない。さっさと歩け歩け。戦士と武闘家は、水分の補給を忘れるな。必要に応じて糖分も、だ。チョコレートは余分に持ってきている」

「……クリコとか大正とか、林永のが美味しいんだけどな」

 武闘家がつぶやく。

 んだんだ。日本のが美味しい。ケイディの国の軍仕様のチョコレートはイマイチなんだよね。


「日本製、あるぞ」

「えっ!?」

「軍仕様のチョコレートは、作戦行動中に溶けないために味が犠牲になっているが、ほら、ロボット犬は冷蔵庫積んでいるからな」

「……核爆弾と同梱かぁ」

 橙香のつぶやきには、なんか複雑で切実なものがあった。だけど、なにをどう言いたいのか、本人にもよくわかっていないのだろうな。


「私もチョコ、食べたい」

「勇者は腰を抜かしていただけだろ。それよりまずはMRE(メシ)を食えよ」

 宇尾くん、なによ、その言い方は?

 まぁ、たしかにそうなんだけど……。


「……わかったわよ。次は聖剣タップファーカイトをきちんと振り回すから、チョコをくだせぇ」

「それ以前に、不用意に敵に近づかないようにっ!」

 ……ちきしょー。

 憶えていろよ、賢者めぇ。

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