#07 寿司とキャッチボール
☆月島月華
教室のカーテンの隙間から七月の陽光が射手おり、そこの温度だけ上げていた。
昼休み、わたしはサンドイッチを頬張りながらタブレットに映る課題アニメを眺めている。今朝、二週間後に迫った全国高等学校こえしば大会地区予選の課題アニメが発表された。
一回戦、二回戦は同じ課題アニメを交互に演じて競い合うソロ形式。三回戦、つまり地区代表を決める決勝戦は対話劇を同時に演じるデュアル形式だ。
ソロ課題10作品と、デュアル課題五作品、合計十五作品をわたしたちは演じることになる。
十五と言っても、五人チームで競い合う団体戦なので一人ひとりは多くて三作品を演じるだけだ。台本を覚える作業なら30分もあれば終わってしまう。
わたしは午前の授業の間に全ての課題アニメの台本を頭に入れて、これから課題アニメの感情を探す作業にシフトする。
大会前、課題アニメが発表されてから役作りをしていく日々は好きだった。
自分じゃない何者かを探す日々はまさしく冒険で、何者かが具体的になっていきわたしの目の前に現れた時、わたしは少しだけわたしになれる。
こうした繰り返しで出来たのが今のわたしだ。
高校生になっても、そして大人になってからもわたしは演じ続けることで生かされていく。
サンドイッチの最後の一口を飲み込むと、ふと紀子は課題アニメとどう向き合っているのか気になった。
わたしはタブレットから顔を上げて同じ教室にいるはずの紀子を探す。しかし、彼女の姿は見当たらない。
わたしは席から立ち上がり、近くにいたクラスメイトに声をかける。
「あのさ、紀子知らない?」
一つの机を囲んでお弁当を食べてい二人組の女の子の一人がゴフッと咽せてから口にする。
「げっ、月華様!?」
「は?」
「いえ、えっと‥‥月島さんから話しかけられたの初めだったから驚いて」
二人は同時にうんうんと頷く。わたしは居心地の悪さを覚えながら言い返す。
「別に用がなかったら話しかけないし」
「そうですよね、ははは‥‥。あっ、中田さんなら食堂にいると思います」
「あ、そう」
わたしはタブレットを手に持ち教室をあとにした。
女の子の高笑いが響く食堂の一番隅っこの席に紀子とこあらがいた。
紀子は真剣な様子でタブレットとスマホを、こあらも真剣な様子でタブレットとスコアブックを。二人は隣同士に座り、それぞれの世界に浸っていた。
わたしは苛立ちを覚えながら、二人の後ろにまわり、紀子の肩を叩いた。
「紀子、一個ずれて」
紀子はビクッと顔を上げて「あ、月華さん」と口にして一つ隣の席に移動した。
わたしは空いた席に座り、左にこあら、右に紀子に挟まれて腰を落ち着かせた。
「突然、どうしたんですか」
紀子が油絵の名画のような瞳をパチクリさせて言った。充血気味の白目は乾燥するぐらい真剣に課題アニメと向き合っている証拠だった。
「別に‥‥ってか、なんでこあらと一緒なのよ」
長い後ろ髪をおさめたパーカーを揺らしながら紀子が答える。
「こあらさんと一緒にいるの楽なんです。ずっと野球観てるんで話さなくていいですし」
「なにそれ。だったら、わたしも誘いなさいよ」
わたしは紀子を睨みつけた。
「いえいえ、集中してる月華さんに話しかけるなんてとんでもないです」
紀子が目を逸らして小さな声で言った。
「ってか、なんか酸っぱい匂いするんだけど」
わたしはすぐに匂いの発生源を突き止めた。それは、こあらのお弁当箱に詰められたお寿司だった。
「なんでこいつは学校に寿司持ってきてんのよ」
わたしはこあらの肩を小突いて言った。
「‥‥‥おーん」
「こあらさんの家って『松野寿司』っていってこの辺だと結構有名なお寿司屋さんらしいですよ」
紀子が丁寧なアクセントで教えてくれる。
「だからって子供に寿司持たせる、普通?」
「美味しそうですよ、お寿司」
紀子にそう言われて、わたしはまだ手のついていないお寿司を見つめる。ごくりと喉が鳴った。
「‥‥‥こあら、ちょっと寿司ちょうだい」
「おーん」
わたしは定番のマグロの握りを手で掴み、そのまま口に挟んだ。
醤油で漬けられたマグロは味がしっかりとついていて、冷たくなったシャリにまで味が染み込み口の中で甘みが広がった。
「なにこれ、うっま」
わたしはあまりの美味しさにサーモン、イカ、ホタテ、玉子と順番に食べる。
「寿司ってこんなに美味しいんだ‥‥回転寿司とかスーパーパック寿司とか偽物じゃん!」
「ちょっと、月華さん。食べ過ぎ‥‥」
紀子がわたしの制服の袖を軽く掴む。
「紀子も食べてみなさいよ‥‥あ、ごめん。稲荷しか残ってないわ」
わたしは上唇に残った魚の脂を舐めとり、紀子に謝罪した。
「月華さん‥‥食い尽くし系女子じゃないんですから‥‥‥」
紀子が瞳を細めて意味不明なことを言った。
「おぉ? 稲荷しか入ってないやん!」
こあらが自分の弁当箱を指差して吠えた。
「ごめんごめん、美味しかったんだからしょうがないでしょ」
「どうしてくれんの、これ?」
「ごめんって」
こあらが稲荷を口に放り込み、もぐもぐしながらわたしを睨みつけてくる。
「学校に寿司持ってくるあんたも悪いでしょ」
わたしはどうせキレられるなら稲荷も食べておけばよかったと思った。
「ちょっと、二人とも落ち着いてください。こあらさん、わたしの弁当分けてあげますから。月華さんも逆ギレしないでくださいよ」
紀子がまだ手のついていない自分の弁当箱を蓋を開けてこあらに差し出した。
「おーん」
こあらは素直に弁当を受け取り、フンっとそっぽ向いた。
わたしはそんなこあらの仕草にイラッとしたが、紀子が袖を引っ張ってきてふるふると首を横に振ったので我慢する。
「でも、寿司ってそんなに好きじゃなかったけどこあらのは衝撃的だったわ」
生魚はどちらかと言えば苦手だったが、こあらの寿司はわたしの価値観を大きく変えた。
「こあら、わたしにも寿司握らせてよ」
わたしは再びこあらの肩を小突いて言った。
こあらはガツガツと弁当を食べ終えてから口にする。
「なんでや!」
「あ‥‥‥わたしの弁当」
紀子の素っ頓狂な声がして、わたしとこあらは時を止める。
「ノッリ、美味かったやで」
こあらが申し訳なさそうに空っぽの弁当箱を紀子に返却する。
「‥‥‥母も喜ぶと思います」
わたしはポンっと手を叩き「そういうことか」と口にする。
「わたしがこあらの弁当を食べて、こあらが紀子の弁当を食べたんだったら、紀子にはわたしからあげればいいんだ」
「いえいえ、そんなの悪いですよ」
紀子は謙遜しながらも、期待を込めた瞳をこちらに向けた。
「はいこれ‥‥のど飴。スッキリするやつ‥‥一個しかないけど」
わたしは紀子の手に無理やりのど飴を握らせた。
「え?」
「しょうがないでしょ。わたしもう食べちゃったんだもん」
紀子はのど飴の袋を開けて、ゆっくりと口に運んだ。
「‥‥‥お気遣い頂きありがとうございます」
「どういたしまして。放課後、こあらんちに行くから。寿司握らせてよね」
こあらが眉間にシワを寄せて軽蔑してくる。
「‥‥‥おーん」
「逃げても無駄よ。スマホで調べて絶対に行く」
「‥‥‥ツッキ、うせやろお前マジか」
その日の放課後、練習が終わって真っ先に帰ろうとしたこあらを捕まえて、無理やり連行したのは言うまでない。
☆月島月華
商店街の一角にある松野寿司の引き戸をガラガラと開ける。カウンターとテーブルのある大衆居酒屋のような雰囲気の寿司屋がこあらの家だった。
学校指定のジャージ姿のわたしとこあらは明らかに場違いで、わたしは早速来たことを後悔した。
満席の客の視線がわたしとこあらに集まる。
「こあらちゃん、おかえり!」
ネクタイを頭に巻いた酔っ払いの中年が声をあげる。
「おーん」
こあらは答えになっていない返事をして、ズカズカと店の奥へと歩いていく。わたしは居心地の悪さを覚えた。適当に一回寿司を握らせてもらったら帰ろうと考えながらこあらのあとに続く。
店の隅のカウンターの席が二人分空いていて、こあらは当たり前のようにそこに座った。わたしもそれに習い、隣に腰を落ち着かせる。
厨房には二人の板前がいて、日焼けした彫りの深い顔の中年男性の方がわたしを訝しげに睨んでくる。
こあらは店の入り口側に設置されたテレビを見つめ「今日も一点差で負けてるんご‥‥」と絶望の表情を浮かべた。
「‥‥‥何か?」
わたしは彫りの深い男に言った、うんと不機嫌な声色で。
「おぉ? いや、別に何かって‥‥‥なんでい、その、こあらとどういう関係だ?」
調理白衣姿の男は明らかに動揺していた。
「部活が一緒なだけ」
わたしは素直に答えた。男の声を聞いてすぐにこあらの父親であると確信した。それぐらい、こあらと男の声の響きがそっくりだった。わたしは寿司を握らせてもらわないといけないので、今だけ不機嫌をやめる。
「大将、つまみ追加ちょうだい」
客の一人が声をあげて、こあらの父親が「はいよー」と返事をする。まだ、何か言いたげな様子だったが嘆息を捨て、まな板のうえで魚を捌く。
わたしはこあらの肩を小突いてささやく。
「ねえ、寿司握らせてって頼んでよ。一回やったら覚えられるからさ」
「無理、忙しいんご」
こあらがテレビの野球中継を見つめたまま言った。
店内はほどよい熱気と高揚感で満たされており、わたしが寿司を握れるような状況じゃないことは安易に想像できた。
わたしが帰ろうか悩んでいると、小柄で小太りなエプロン姿の女がやってくる。
「こあら、友達連れてくるなら連絡しなさい」
女はそう言ってから、わたしの顔を確認する。
「ごめんなさいね、この娘が友達を連れてくるなんて初めてだったから。良かったら、ご飯食べていく? えっと‥‥」
「月島です、月島月華」
「月華ちゃんね。おしぼりどうぞ」
こあらの母親から差し出されたおしぼりはほんのり温かく、ちょっぴり照れ臭った。
「‥‥‥いただきます」
またあの寿司が食べられるなら断る理由なんてあるはずもなかった。
わたしはこあらのほっぺを指でツンツンして言った。
「こあらって友達いないんだ」
こあらはわたしの指をつかんで反対方向にゴリッと曲げる。わたしは「痛っ!」と叫んだ。
「あははっ、こあらと仲良くしてあげてね」
こあらの母親はそう笑って離れていった。
「‥‥‥しゃーない、仲良くしてやるか」
わたしはうんうんと頷きながら言った。そしたら、こあらに肩を小突かれた。
でてきたのは寿司じゃなくて海鮮丼だった。わたしは寿司が食べれると思っていたので、海鮮丼がだされた時は心底ガックシきたもんだが、一口食べたら寿司のことなんか忘れて海鮮丼の虜になった。
「うっま! こあら、こんなの毎日食べてんの? だから、太ってんのよ」
わたしはガツガツ海鮮丼を口に運びながら、こあらの下っ腹をつまんだ。
「やめっ」
こあらが肘で押し返してくる。
「たてに伸びへんねやったら、横に伸ばすしかないって『たいらげーむ』が言ってたんご」
「はあ? ゲーム配信者の言うことなんか聞いてんの?」
「‥‥‥んごぉ」
こあらは何か言いかけたが、めんどくさくなったのか適当な返事をした。
それから、海鮮丼を食べ終えるとこあらは立ち上がってわたしの肩を叩いた。
「キャッチボールしよや」
寿司屋はまだまだ落ち着く様子がない。わたしは食後の運動がてら、こあらの誘いに乗った。
こあらに連れられて松野寿司から少し離れたドラえもんに出てくるような空き地にわたしたちはやってきた。
電柱の街灯がちょうど空き地の真ん中を照らしていて、夜にも関わらず野球ボールを見失わずに済みそうだ。
こあらが軟式球を投げてくる。わたしはグローブのポケットで捕球する。そして、投げ返す。
夢のような夜だった。
わたしが街灯を頼りにキャッチボールをしているなんて、現実感のないふわふわした絨毯の上にいるみたいだ。
「こあらって怪我してるんでしょ? なんで、野球続けてんの?」
わたしはボールを投げ返して言った。
「‥‥‥落ちつかんから」
こあらがボールを投げ返してくる。
「どういう意味?」
「やきうしてない自分は落ちつかへん、そんだけや」
「わたしも声の芝居やってないと落ちつかない」
「なあ、こえしばってどこがおもろいん?」
「誰かを演じてる時だけわたしになれるじゃん」
「それのどこがおもろいねん!」
「野球より面白いでしょ!」
「やきうの方がおもろいわ!」
わたしとこあらは中日ドラゴンズの悪口を言いながらキャッチボールを続けた。
しばらくして、サンダルを履いたこあらの母親が呼吸を乱しながら空き地にやってきた。
「あんたらこんな時間まで何してんの?」
小柄で小太りなこあら母が信じられない光景を見るかのように言った。
「今何時?」
わたしが訊ねると、こあらは「十一時前」と欠伸をしながら答えた。
四時間もキャッチボールをしてたのか。途中、こあらがゆっくりと曲がるカーブを投げてきて、それからカーブのことで盛り上がってしまい時間感覚がなくなっていた。
明日、わたしのスローカーブを紀子に見せてやろう、なんて考えていると、こあら母が呆れたように口にする。
「月華ちゃん、送ってくから支度して」
「わたし、自転車」
「お父さんが軽トラで運んでくれるから」
わたしは「あっ」と声に出して、こあら母にこう口にする。
「寿司、握らせて欲しいんだけど」
「はあ? 寿司?」
こあら母がキョトンと言った。こあらはわたしからグローブを奪いとって「おーん」と唸る。
「一回、近くで見せてもらえれば寿司ぐらい握れるようになると思うんで」
こあら母はわたしの言葉を聞いてフフッって嫌味なく笑う。
「じゃあ、うちでバイトしてみない? 週末だけでいいから」
「バイトってお金もらえるんですか?」
「うん、最初は試用期間850円になりまーす」
「それって高いの? 安いの?」
「この辺だと普通かな‥‥‥なんと、まかない付きでーす」
「まかないって今日の海鮮丼?」
「お寿司の時もあるし、天ぷらもあります」
わたしはゴクリと生唾を飲み込んで即答する。
「やってみたい、アルバイト」
それから、夜の商店街を歩きながらアルバイトの詳細を話し合った。
とりあえず、こえしば部の地区大会が終わってから試しに数日働いてみることになった。
松野寿司まで戻ってくると、店はすでにシャッターが閉まっていてその前に軽トラが停まっていた。
軽トラの運転席からこあら父が呆れたように口にする。
「お前ら、こんな時間までキャッチボールやってたのか?」
こあらは「眠いんご」と呟き、そのまま店の裏手に歩いていった。
わたしは軽トラの助手席に乗り込み欠伸をする。
「ねえちゃん、家は?」
「ドラッグストアの近く」
「そんな遠くないな」
軽トラがエンジンを鳴らし、日焼けした肌色のこあら父がギアを入れる。
車窓の外にいるこあら母が「家の人に連絡した?」と言ってきて、わたしは「してないです」と返した。
「心配してるからすぐに連絡なさい」
軽トラが走りだし、商店街を抜けて交差点の信号で停車する。
通学バックに入ったスマホを確認すると、お母さんから十件以上の着信があった。
わたしは『今から帰る』とだけメールを送った。
信号が青に変わり、軽トラが再び走り出す。ギアが変わるたびに車内は大きく揺れて、それがなんだか新鮮で楽しかった。
「あのよぉ‥‥‥うちのは、学校ではどうだ?」
こあら父がハンドルを持つ手をソワソワさせながら言った。
「うちのって何?」
「うちのっつったら、あれだよ、あれ」
「あれって何?」
「あれっつったらそりゃあ‥‥‥娘だよ」
「あー、こあら? 別に普通だけど」
軽トラがガガガッとしちゃいけない音を鳴らしてエンジンが止まる。わたしの体は前に乗り出されてシートベルトが胸に食い込んだ。
「痛っ‥‥‥何これ、事故?」
こあら父が車のキーを回してエンジンを点火させる。
「わりいわりい。エンストしちまってよ‥‥‥それで、こあらは学校でどうだ?」
軽トラが再び走り出し、速度を上げていく。
「こあらは普通だって、普通に元気」
「ば、ばっきゃろう! こあらが普通なわけないだろ!」
こあら父がそう叫ぶと軽トラが大きくバウンドする。今度は停止しなかった。
「あー、そういうこと? あいつ変人だもんね」
「変人って‥‥‥いや、否定はできんが。だからよ、学校で一人でいるんじゃないかって」
「今日はわたしと紀子とこあらの三人でご飯食べたし、部活は紀子が面倒見てるし、お姉ちゃんが担任してるし一人ではないんじゃない? なんかあったら紀子がなんとかするし」
今度のギアチェンジはスムーズに決まった。
「そ、そうか‥‥‥ふーん、まあ、ならいいんだが」
こあら父の煮え切らない声を聞いて、わたしは唐突に父親という生物はこんな風に娘を心配するんだって思った。
わたしは父親を知らない。わたしが物心をついてすぐいなくなってしまった。
わたしが父親について知っていることは、まだ生きてはいるらしいことぐらいだった。
「ドラッグストラについたぞ」
「そっちの道」
「おう」
軽トラがわたしの家に到着する。家の外でお母さんが待っていて、わたしを見つけるなり大きく肩を落とした。
わたしは軽トラから降りて、お母さんにこう口にする。
「ご飯食べてきた。あ、地区大会が終わったらバイトするから」
切れ長の目をしたお母さんがいつも以上にキツイ顔して「はあ!?」と呻き声をあげる。
わたしはこれ以上、誰とも話したくない気分だった。誰とも話さず、今日の出来事を忘れてしまわないように夢に沈めてしまいたい。そんな一日だった。
「シャワー浴びて寝る」
わたしはそれだけ言って家の玄関に向かった。
「おい、自転車は?」
こあら父が軽トラの荷台から自転車を降ろしながら言った。
「適当に置いといて」
お母さんのツンケンした声が聞こえたがわたしは無視して家の中に入った。
───早く誰かを演じたい!
わたしはこんな日があったらいつもそう思う。
先月、肋骨が一本なくなりました。命に関わることではなかったのですが、大きな手術をしたのは初めてで強烈な体験になりました。現在、リハビリは順調でこうして小説をやれるぐらいになってきました。
何を想像して芝居をするか。台本を覚えるだけの声の芝居は情報密度が少なく薄っぺらく聞こえます。そういうの、見てる人には意外にバレます。じゃあ、何を想像して芝居すればいいのか。簡単です。自分が体験した特別な一日を想像しながら芝居してみましょう。手術を体験した今の僕なら、不治の病で死にかけの役を演じることができるはず。