魔獣
2028年10月31日
ハロウィンナイトに事件が起きた。
「こちらγチーム 」
「クリアしたのか?
「いえまだです本部長・・・」
ーーーーーー これ以上犠牲者が出る前に
S地区にいるすべての者を射殺しろ!!
γチームの隊長が目を見開く。
「生存者も・・・ですか・・?」
ーーーーーー聞こえなかったか?
私はすべての者と言ったはずだ。
「本当に宜しいのですか・・・・」
γチームの隊長が聞き返す。
ーーーーーー宜しいも何も・・・
これ以上の感染拡大を防ぐための防衛処置だ。
それに お偉い先生様は とっくに逃げ出している
本部長は皮肉を込め言った。
「αチーム了解」
「βチーム了解
「γチーム・・・了解しました・・・」
ーーーー苦しい決断だが・・・
諸君の健闘を祈る。
通信はきれた。
『隊長・・・・どうにかならないのですか!!』
γチームの熱血漢 宮原が隊長に詰め寄る。
「宮原・・お前が市民を救えない苛立ちがある様に
私も お前以上に苦しい!!
わだじば・・・・お前達に鬼になって市民を殲滅しろ!!
と
命令を下さなければならない立場だからだ・・・」
γチームの隊長は
目を大きく見開き
白目部分は赤く染め
下唇を強く噛み締める
「私は 鬼になり・・・
これ以上の犠牲者を出す前に
奴等を殲滅する・・・・・」
隊長は苦渋の決断をくだした。
『ですが・・・・隊長・・』
ドゴッ
『ウグッ!!』
宮原は ライフルで腹部を殴られ 膝から地面に崩れ落ちる。
「宮原見ろ ・・・・
見ろ宮原・・・・
2時間だ・・・
2時間も満たない時間で・・S地区がこの有様だ。
私達が止めなで 誰が食い止める」
うずくまる宮原の胸倉を掴み持ち上げると
惨劇のS地区の現実を宮原に突きつける。
「お前の考えは正しい・・・それが本来あるべき姿だ。
だが・・現実は違う!!」
隊長は首を振る。
「正直・・無理だ・・・
この混乱の状況下で 生存者と奴等を見分けるなんて・
不可能だ・・
宮原を掴む隊長の手が震える。
「助けて・・くれ・・・ッ」
その時
一人の男が必死の形相でγチームの方に向かって走って来た。
宮原・・これが・・・今のこの世界の答えだ。」
隊長は こちらに向かって来た男性に銃口を向ける。
パーン!!
そして…銃弾は男の額を撃ち抜いた…
男性は バナナの皮で滑るコントの様に
宮原の目の前で豪快に 背中から地面に落下した。
『隊長・・彼は・・・』
「そうだ・・・生存者かもしれないし・・・
噛まれて 奴等の仲間かもしれない・・
これが現実だ・・・宮原・・・」
シユーーーーーーーーーーーーーッ
宮原は目を見開く
「どうした宮原・・・・」
スチャッ!!
隊長を見ていた宮原の視線が上にと向けられた。
隊長は 宮原の視線を追い後ろを振り返る
「なっ・・・!?」
見た事の無い生物が チームを見下していた。
ピクッ
隊長は 生物の筋肉の動きを見て咄嗟に
「危ない宮原……ッ!!」
宮原の胸の当たりを蹴り飛ばした。
次の瞬間
ザシュッ・・・・・・
生物の腕が 空を切り裂きながら
凄い速さで宮原の前を通過して行った。
その際 高い防御力を誇る
特殊アーマーが いとも簡単に引き裂かれていた。
隊長が蹴ってくれなかったら俺は今ごろ・・・
隊長の機転で宮原は
アーマーの破損だけですんでいた・・・・
『隊長・・・・・・・・!?』
宮原が声をあげながら隊長に駆け寄ると
プシューーーーーッ・・・・
宮原の目の前を赤い血飛沫が噴水の様に吹き出した。
それに次ぐように 他の隊員からも血飛沫が上がる。
切り裂かれたであろう箇所が少しずつズレていき
輪切りになった肉塊が崩れ落ちた。
宮原以外の隊員も同じく輪切りになり崩れ落ちた。
切り裂いた状態で動きを止める生物の巨大な手
その先には鋭く尖った爪
その爪には肉片と血で赤く染まっていた。
『た・・・・いちょう・・・・
・ぅぅぅぅうううおぉぉぉぉ・・・・』
宮原の中で蠢く恐怖
その恐怖は どす黒い怒りによって塗り潰されて行く
声にならない声をあげ・・・・
持っていたライフル銃を異形の生物に向ける
怒りと恐怖が入り交じった感情とともに銃弾を吐き出した。
ズダダダダダ・・・・・・・
銃声は S地区の建物に反響し響き渡った。
ーーーーーーーーーーー開戦ッ!!ーーーー




