八体目 正当化
ダンダン
宇佐美は 車体を叩き
「長尾 バスを出すんだ!!」
長尾は宇佐美の合図でバスを発進させる。
「おい宇佐美 首尾は上手く行ったのか?」
「あぁぁぁそうだな・・・」
「そうか ・・それで彼等は戦力になりそうなのか?」
「たいしたものだ 十分な戦力になったよ・・・」
「十分な戦力になったよって どう言う意味だ宇佐美?」
長尾は 笑いながら ルームミラーで後ろを見ると
宇佐美は 女性に銃口を向けているのが見えた。
キィーーーーっ!!
「宇佐美・・・貴様何を考えている・・・」
長尾は車を止め後ろを見る。
「長尾・・・お前こそ何をやってる
危うく引き金を引くところだったじゃねぇか・・・」
宇佐美は 長尾を睨みつける。
「あっ・・・
はぁーーーーッ!!」
倒れていた 運転手の山下が目を覚ます。
「ここは・・・」
山下は 見慣れない男を見て目を見開く。
「君達は誰だ・・・・」
山下は 驚き身体を起こす。
「ふっ・・私は 山形駐屯地の元自衛官
宇佐美って言うものです
そして バスを運転しているのが長尾
元とつけたのは もう山形駐屯地が 奴らに壊滅されてないからだよ。」
「それで・・・君達はこのバスで何をしている・・・」
山下が尋ねる。
「そうだね・・・我々は今
安全なブルーフォレストという
場所に向かっている最中だよ
あのまま あの場所にいたら
君達は間違いなく奴等の仲間入りして
彷徨ってたところさ。
別に命の恩人だと思わなくてもいい
助け合うのは当たり前の事だからね。
君達も見たんだろう あの大群を・・・」
宇佐美は ニヤリと笑う。
「だから 私達と君達で協力して
この地獄から抜け出そう。」
宇佐美は 自分の手を取り友好的に話をする。
『無理よ!!
貴方達は信用出来ない。』
滝川 慶次のマネージャー斎藤が
宇佐美を睨みつけ カイリも朱雀に同調し頷く
「斎藤さん・・・一体どうしたんだい。」
『この宇佐美って男は 黒川さんと滝川さんを騙して・・
ゾンビの中に置き去りにしたの・・・』
マネージャーの斎藤はその場に崩れ落ち号泣する。
「彼女の言う事は・・本当なのか・・・」
運転手の山下が 宇佐美に聞く
「あぁぁぁ・・・彼女の言う通りだ・・・・
だが
秩序を守るに為には仕方が無かった・・・」
宇佐美は山下を見る。
「秩序・・・だと・・・」
「そうだ
秩序だ・・
そうだよな 長尾!!
お前もさっき言ったよな
ハミ出し者は 輪を乱すと・・・
だから 私は
君の為に 災いを無くしてやったのさぁ・・
我々が生き残る為に・・・・ 」
「私の為・・・」
山下は 宇佐美を見る。
「どんな理由があろうが 今は争うべきでは無く
手を取り合わねば 我々はこの世界を生きられない・・
だがしかし 貴方は 些細な事で殴られたと聞きました。」
「だからと言って 排除する行為は
やり過ぎだと思うが。」
「我々は このバスをジャックしようと
思えば簡単に制圧出来る武力を持っています。」
宇佐美はライフルや拳銃を見せる。
「では なぜそうしない・・」
山下は問う。
「それをやったら 奴等と何が違う?」
「現に今 君達は我々のバスを
ジャックしているでは無いか!!」
「この状況下では否定出来ないな・・
だが これは仕方がない事でもある。
あのままあの場所に居たら
我々は奴らの大群に呑み込まれていた・・」
「だからって彼等を犠牲にする事は無かった・・」
山下は 宇佐美を睨みつけた。
「それは違うな!!
我々が悪い訳じゃあない
最初に騙したのは 彼奴らだ。
私が武器や食料の事を聞いた時 刀の事を言わなかった。
刀の事を隠すと言う事は
我々に襲い掛かるつもりだった・・
そう思われても仕方ない・・・
このご時世ではな・・
だから殺られる前に 殺った。
それに 我々には 武器があり
ブルーフォレストにまで行く食料もある。
もし 君達が協力してくれるなら 食料を提供する。」
宇佐美は 山下に相談を持ちかける。
「残念だけど・・・君達を信じる事は出来ない・・・」
山下は頭を振る。
宇佐美は 銃を上下に振り
「どうして・・・・!?」
「さっきから言っている・・・
平気で人を騙す奴等とは協力出来ない・・・」
山下が言い終わらないうちに
宇佐美は銃口を山下の額に押し当てた。
「穏便に済ませたかったが・・・」
「あのーーーッ!!
どうして そんなにブルーフォレストって
所にこだわるのですか?
そこは 本当に安全な場所なんですか?」
AD佑が質問する。
「もしかしたら ブルーフォレストが
楽園だと勘違いしていないか?
違う違う・・・
ブルーフォレストは あるものを守る為の
最後の砦でだ
あるものって何かわかるか?」
佑は首を傾げる。
「質問を変える では青森県の先にあるのは?」
「えぇっ
あっ・・・・
北海道・・・!?」
「その通りだ
ブルーフォレストは
旧名北海道・・・
つまり蝦夷国を守る
いいや
人類を守る最後の城壁と言ってもいい場所
そして唯一 蝦夷国へ行く事許された国」
宇佐美は言った。
「どの道
俺達が生きる術は
ブルーフォレストに向かうしかない・・・
だけど 知りたくないか・・・
他の都市は壊滅しているのに
ブルーフォレストと蝦夷国が残った訳を・・・」
宇佐美は皆を見ながら言う。
「俺は知りたい・・・
世界がこうなった理由を・・
だから ブルーフォレストに行く
それで・・・
君達はどうする・・・確かに移動手段はある・・
だが・・見たところ
食料や武器は持っていないようだな・・・
ここから ブルーフォレストまでかなり遠い
そこまで 何もなく辿りつければいいが・・
武器や食料
それに 燃料
どれも欠けても無理だろうな・・・
宇佐美は頭を振る。
まぁ 君達が 我々と行きたくないと言うなら
我々は ここで降りるが・・」
宇佐美は持ってきた大きなリュクサックを肩で背負う。
「君達だって ただではすむまい?」
「我々なら大丈夫・・・
車を拾って何とか生き延びるさぁ
それより 逃げるなら早く逃げた方がいい
奴ら大群が 仙台を落とす前に・・・
仙台を落とされたら 我々は完全に逃げ場を失う
絶望的だ。」
宇佐美は真顔で言った。




