五体目 困惑
「慶さん・・・バスに戻ろうか・・・」
コンビニから戻って来た
黒川の様子が少しおかしかった。
《どうしたんだい 黒川さん・・
コンビニで何かあったのかい?》
黒川の表情を見て何となく察していた。
「あぁーーッそうね・・・
兎に角・・バスに戻りましょう・・・
ここでは・・・」
ら黒川は 言葉を濁し 慶次とバスに向かう。
「佑ちゃん・早く開けなさい・・・」
黒川の言葉で扉が開く
三人がバスに入ると 佑は扉を閉めた。
《それで・・・黒川さん
コンビニで何があったんですか?》
慶次は 元気なく座席に座る黒川に声を掛ける。
「そうね ・・・それじゃあ・・・
まずはこれを読んでくれる」
黒川が差し出したのは 新聞と1冊の週刊誌だった。
慶次は 新聞を受け取り 新聞の記事を読み始める。
別段変わった記事は見つからない。
《黒川さん・・この新聞がどうかしたのか?》
「あっ・・えっ・・・・これって・・・・」
AD佑が 黒川の方を見る。
《どうした佑くん・・・》
「時代劇俳優T・Kと プロデューサーのK・Aの名コンビ
私生活でも名コンビ
叶わぬ 恋の逃避行から5年!
いまだ消息不明 」
佑は 写真付きの雑誌のページを皆に見せる。
「何か凄いゴシップネタだけど・・・
これって 滝川さんと黒川さんの事ですよね。」
AD佑が言う。
『こっちは 元アイドル
やっぴーよっぴーのしののん(22)またまた熱愛発覚
路上での熱い抱擁・・・・・
解散原因を招いた
元アイドルユニット やっぴーよっぴーのしののんが
"また熱愛"
元相棒の ソフィア・グレイスと明暗が別れるってさあ』
「えっ・・
嘘だろう・・純粋アイドルって言ってたじゃん・・
どう言う事だよ・・・・」
落胆するAD佑
わかりやすい性格であった・・・・
「それより慶さん
よく日にちを見てちょうだい・・・」
「日にち・・」
佑が 日にちを見ると
あぁぁぁ・・・・・・
「なんじゃあぁ・・これは・・・
2028年8月18日 つうか5年後じゃあん・
そうだよな・・まだしののんは17だし・・
うん・・・うん・・・
これはフェイクニュースに決まっている・・・」
佑は希望を見出す。
そして 2028年10月31日の
朝刊の記事によると
人気絶頂アイドル転落人生!!
解散から5年が経ち スキャンダル女王となった
しののんこと 篠田 のん容疑者が
薬物使用の疑いで逮捕されました。
「えっ・・・・・うそ・・・・」
黒川は眉間に皺を寄せ険しい表情になっていた。
「いいか皆 私は突拍子も無いことを言うが」
「もうどうしたんですか黒川さんまで
そんな事を言い出して
そう言うの信じない見たいに言ってませんでしたか?
「まあ聞きなよ佑ちゃん・・・・
これは あくまで
仮定の話さぁ
もしこの記事が本物としよう・・・
そうすると これまた厄介な問題が発生する・・
今が2028年 これを見る限り
私達がいた2023年より5年後だ。
だが
コンビニはしばらく使われた形跡がない・・・・」
『ええぇ・・
あたしも店内を見たけど
中は荒らされてて陳列棚とか倒れていて
埃や蜘蛛の巣だらけでした・・・』
マネージャーの斎藤も証言する。
《つまり・・・2028年以降
つまりこの朝刊の日付より後に
何かが起こった事になりますね・・》
「そう言う事よ・・・慶さん・」
黒川は真顔で言う。
《そうか・・
「どうしたの慶さん・・」
《それなら辻褄が合う
外のセット見たいな事故現場を見ました。
臭わなくても不思議ではないし
車内は埃っぽかった・・・》
「つまり・・・・」
「タイム・スリップした事になりますね。」
AD佑は平然と言ってのけた。
「で、これからどうしますか?
謎に未来に来てるし
ゾンビの大群にあうし・・・
僕的には
食料や水の確保
車の燃料確保
戦う武器確保と、
バスの強化も必要だね
あと・・・薬系ですかね・・・
因みに
どれを優先にします?」
誰も AD佑の言葉にはポカンとしていた。
「なんで皆さん そんなにアホ面をしてんですか?
これは生き抜く為のサバイバルですよ・・・」
佑は不思議そうに皆を見る。
「ちょっとちょっと待ちなさいよ・・
それで なんであんたはそんなに楽しそうなのさぁ・」
「僕 海外ドラマのW・ゾンビのファンで
たまに考えるんですよ ゾンビの世界の事
どうやったら生き残れるとか・・
でも 僕達はレアなシュチュエーションで
タイム・スリップした上に
ゾンビ騒動に巻き込まれてしまっている・・・
元の世界に帰れないなら
生きる為に戦うしかないじゃないですか・・・」
AD佑は言い切った。
「戦う・・・って・・・
我々は 警察でもなければ 自衛隊でもない・・
そんな事は出来る訳がない・・・」
運転手の山下は言うが
「それは無理です・・・逃げるのにも
僕が言ったすべての物が不足しています
とても逃げ切れませんよ
それに ・・・・
ここには カイリちゃんもいる。」
即座に AD佑が否定した。
「あのゾンビの大群を見ましたよね?
もし 2028年10月31日が最後の朝刊として
その数日後に ここが襲撃されたと仮定します。
黒川さんの話では コンビニは
しばらく使った形跡がないと言いました。」
「だから 何が言いたいんだ。」
山下が苛立つ
「つまり 数年経ってゾンビがさまよってるって事は
警察や自衛隊はもういないと考えた方がいい」
AD佑は言った。
「はぁーーーーッ!!
はぁーーッ!!
なんだよ・・何だよそれは・・・
それじゃあ 俺達はここで死ねと言うのかーーーッ!!
何だよそれは・・・・・」
運転手の山下は 黒川の方を見て睨む
「 そもそも
あんただよな・・・
あんたが武具屋に行くって言わなければ
こんな事に巻き込まれなくて良かったのによ・・・」
山下は 黒川の胸ぐらを掴み叫ぶ。
《山下さん落ち着いて・・・
落ち着いて下さい・・・》
慶次は 山下の手を掴み黒川から引き離す。
「落ち着けだ・・・
この状況下で落ち着くなんて無理だろうが・・・
滝川さん あんた馬鹿なのか・・・
落ち目の役者が偉そうに言うな!!・」
冷静に対応する慶次に代わり なぜか黒川が切れる。
「慶さんは関係ないだろう・・・慶さんは・・
よおおーーーーーーつ」
今度は黒川が 山下の胸ぐらに掴み掛かり
拳を顔面に叩きつけた。
ドゴツ!!
山下は吹き飛び 腰から通路に倒れ込み動かなくなった。
どうやら失神KOしたらしい。
スーハァー スーハァー・・
「慶さんは・・慶さんは
落ち目なんかじゃない・・・
世間の見る目がないだけよ・・・」
黒川は肩で息をしながら たおれる山下を見下ろした。
《黒川さん落ち着いて・・》
慶次は 運転手の山下から黒川を遠ざけ
《斎藤さん・・山下さんをお願いします。》
『あっ・・はい・・・』
斎藤は 何度も頷き 戸惑いながら 山下の元に行き
声掛けをしながら介抱化する
《黒川さん・・・私なら大丈夫ですから・・・
今は揉め事はやめましょう・・》
慶次は 黒川を宥める。
「慶さん・・わかってるわ・・
私も やりすぎたと反省してるわ・・
でも・・・慶さんの事をあんな風に言われたら・・・」
黒川は俯き 両手で顔を覆いながら泣き出した。
カイリは 黒川を見て怯えていた。




