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魔力0の魔法使い  作者: bccbcd
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変わらない戦況

 肉片ははじけ飛んだかと思えば急停止しヴァイルに向かって飛んでいった。

 ヴァイルは横に跳び出し何とか攻撃を避けるが、ヴァイルが避けたことによって地面に突き刺さった肉片たちは終結しねじれ槍のような形状をかたどり、ヴァイルに向かって飛んでいく。

 ヴァイルは自分の腕を盾にしてその攻撃を防ぐ。腕は一瞬の抵抗をしただけで簡単にはじけ飛んでしまうが、その一瞬を使って攻撃の起動をそらし胴体や脳みそと言った致命傷に至る箇所の破損を避けた。

「……後、どれぐらいたてば自然消滅するんだ? ……いや、攻撃したほうがいいのか? ヨルは、魔法が使えるとか言っていたしな。しかし、感じるってのは一体何なんだ? それに、何かを感じる隙もなさそうだしな……」

 そんなことを何の緊張感のなく、危機的状況化に置かれている、そんな風貌も見せないヴァイルは穴の開いた肉片をつぎはぎしたボールを避けることができず胴体に直撃させ吹っ飛んでいき、後方に控える闘技場の壁にめり込む。

「抜け出すも難しそうですね」

 壁に勢いよくめり込み、確実に骨がいくつか折れてしまっているがヴァイルは一切その風貌を見せない。

 ヴァイルを吹き飛ばした肉塊はまたしてもはじけ飛び平たい棒のような様なものが勢いよくヴァイルのもとに飛んでいく。

 しかし、ヴァイルにはそれらに当たることは無かったが壁にめり込んだ肉片はヴァイルを背中から捕食しようとした。

「……はあ……」

 ヴァイルは、ため息をつき壁から抜けられないために抵抗することができず肉塊に捕食される。

 肉塊の中身はオルスを取り込んでいた時とは違い口の中にびっしりと肉でできた鋭い歯のようなものが生えていた。

 ヴァイルはその歯に蹂躙させてしまうが痛みを感じないヴァイルはむしろ好都合だと判断した。

 あのまま平たい鋭い棒が頭部などに突き刺さり致命傷に至るより適度に怪我を与えられすぐに外に出る方が損傷が少なかった。

 外に出る方法としては、単純に口が完全に閉じられる前にある隙間に体を滑りこませて口の中から退避する。オルスを取り込んでいた時ならヴァイルは口の中から出ることができなかっただろうが今は、肉の量がかなり減っていたせいで簡単にヴァイルは外に出ることができた。

「さあ、ここからどうするべきだ?」

 ヴァイルは一人ぼやくがそれで答えが出るわけではなく何かしでかそうとしている肉塊と対峙しているだけだ。

「腕はないし、武器もない。……何か新しく感じるものもない。さあ、どうする?」

 ヴァイルは肉塊が果たしてもはじけ飛んだところを見てヴァイルは前方に駆け出す。今ヴァイルがいる場所はそれなりに壁から近くまたしても吹き飛ばされるようなことになった場合、壁に埋まってしまわないようにするためだ。

 それが対策になるとは思えないがそれでも何もしないよりかはましだとヴァイルは判断した。

 その策は成功、とまではいかなかったが確かな効果があった。

 肉塊は塊ではなくなり液状になり大きく幕が広がるようにヴァイルを包み込もうとした。

 思惑通りではなかったが壁から離れていたおかげで壁側から向かってくる肉塊を壁側に全力で走る。足辺りが肉塊に触れてしまうのではないかと思うぐらいすれすれで肉塊を回避した。

 しかも壁際にまたしても追い込まれてしまう。

「ああ、まずい」

 ヴァイルは、先ほどまでめり込んでいた穴辺りを触り、打開策を模索した。

 ヴァイルは自分がめり込み破壊された壁の破片を掴み、液状から再び固形になった肉塊に向けて投石する。

 投石は簡単に弾かれるが肉塊は一瞬動きを止めた。ヴァイルはその一瞬を見逃すことなく壁伝いに駆け出す。

 ぼたぼたと血が腕から垂れ流しているせいで闘技場内は所々が赤く染まっていて地面を染める赤色は人の人体から流れ出てはいけない量だった。

 ヴァイルはだんだんと視界が狭まっていくのを自覚しながら壁伝いに走るのをやめなかった。

 次第に足がもつれ始めその場で転んでしまうヴァイルは倒れたままに体を痙攣させるが次の瞬間何事もなかったかのように立ち上がり再び壁伝いに走り出した。

「……この状態にまで陥ったのは久方ぶりだな」

 ヴァイルはそんなことを言いながらぼたぼたと垂れる血液を無視しやはり壁際を走る。

 それはある種、肉塊を誘導する目的があっての行動だった。

 肉塊はその誘導に乗り、体を四散させ極細の針と槍の中間にあるぐらいの太さをした者に変形し、ねじれてヴァイルに向かってい飛来してくる。ヴァイルは最初に飛来してきたものを残っている腕で掴み勢いを殺さないためにも衝撃をその身に受けないようにするために遠心力を使って槍の進行方向を百八十度回転させすべての体を変形させていない肉塊に槍を投げ込む。

 ある程度威力を受け流すことはできたがそれでも筋力的にも実力的にも完全にとはいかずに、腕の筋肉がぶちぶちと音を立てながら千切れていくが、ヴァイルは痛みを感じていないために平然とした顔をしていた。


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