肉の塊
「ヴァイルさん大丈夫ですか!?」
苦しさや吐き気を何とか抑え、ティエルは自分を突き飛ばし攻撃から守ってくれた人物の名前を呼ぶ。
「………………」
回避行動をとったティエルは赤く染まったヴァイルのもとに駆け寄るが、ヴァイルからの返答は一切ない。
「ヴァイルさん?」
ティエルが再度呼びかけると、ヴァイルはゆっくりと後ろを向いた。後ろを向いてティエルにヴァイルの顔が見えるようにはなったがティエルはヴァイルの顔を見ることができなかった。
どういうことかと言うと、顔全体に赤黒い液体がへばりつき鼻が出ていることぐらいしかわからないぐらいだったからだ。
「え、え、え」
あまりの光景に言葉を失っているとヴァイルは自分の指を顔に持って行き、口と鼻と目を指さした。
ティエルはそれが何を示しているのか一瞬わからなかったが次いで胸辺りを時計回りにくるくると指で撫で回したために、ヴァイルが何を言わんとしているのかが理解できた、
ティエルは魔法を使いヴァイルの顔にへばりついている赤黒い液体を流す。
顔全体に軽く水魔法で流すが簡単には落ちない、ティエルは若干出力を高めて水魔法をヴァイルにぶつける。すると少しずつではあるが赤黒い液体はヴァイルの顔から離れていった。
ティエルはさらに魔法の出力を高め素早くヴァイルの顔から赤黒い液体をはがしていく。
これはヴァイルだからこそできることで今の魔法の威力は人の顔ぐらいなら簡単に切り裂けるほどで下手すれば相手のことを殺してしまうかもしれないというぐらいには威力のある魔法だった。
逆に言えばそうでもしないとなかなか落ちない赤ぐらい液体がただの液体でないということが分かる。
やがて顔にへばりつく赤い液体がっ全て流れたヴァイルは、ティエルにお礼を言った。
「助かりました。まさか窒息死を狙って攻撃をしてくるとは思っても見ませんでした」
「体に異常は?」
「ありません、それより今はあの肉塊をから彼を救出しなくては」
「どうやってですか?」
「回避を」
ヴァイルは、ティエルに答えることなく、回避を促す。
ティエルは身体強化魔法を維持したままだったためヴァイルを抱えてその場から右斜め前にダッシュ。吐き気等が収まるのを感じながらも先ほどまでいた場所を確認するとそこには短剣ほどの長さの赤黒い液体が固形化したものが地面を割り突き刺さっていた。
あれが直撃したときのことを考え悪寒が走るティエルのもとに再度ヴァイルが声を掛ける。
「後ろに」
ティエルは何の疑いもなく後ろに跳んだ。すると目の前、あと数ミリでも前だったなら頬に突き刺さっている位置に、全体的に白く鋭利な槍のようなものが迫ってきていた。
「これ、どうするんですか!?」
ティエルはヴァイルに何か言われる前に肉スライムが接近してきていることに気づきそ回避行動をとる。
肉スライムはティエル達に噛みつこうとしていたみたいで肉スライムは口を大きく開けいつの間にか獣のようにとがっている歯をむき出しにしていた。
「一番安全で確実な方法は中の人間が死ぬまであれを放置しておくことです。ですがそれをすると決闘に負けてしまうので取るべき手段はあれを倒すことです」
「どうやってっっですか」
何とか肉スライムの攻撃を避けながらティエルはヴァイルに聞いた。
「方法としては魔法を打ち込んであれの外殻を剥いでいけばいいんです」
「外殻、ですか」
「はい。それとあれを倒すためには時間制限があります。肉塊の攻撃方法は中にいる彼の血や肉、骨を使います。先ほどの攻撃もそうでした。なので中にいる彼が大量出血などで死んでしまわないうちに倒す必要があります」
「……どうなったとしても、彼の自業自得ですね」
「その通りではあります」
そしてティエルはいまだ続いているという決闘に負けてしまわないために何のためらいもなく水魔法を放った。
これからは気分が乗れば投稿していきます。第一章は書き終えているので第一章完結までは絶対に投稿したいと考えていますが保証はありません。




