分担作業
しばらくすると、ティエルは眠そうな声をあげながら状態を起こした。
昨日髪の毛は湿ったままだったのが影響して寝癖が酷い。
「おはようございます」
「………………」
まだ眠いのだろうが二度寝はしようとせず欠伸を噛み殺すティエルは反応を見せない。
反応を見せないティエルを気にせずヴァイルは念のためにティエルに聞く。
「朝食、作りましょうか?」
「……………………お願いします……」
ヴァイルが聞くとなぜかティエルはヴァイルの顔を数秒間凝視してからあふれ出る何かを抑えるように息をのんでから答えた。
ティエルが感じたものは何だったのか気になったヴァイルだったが今気にしたところでどうにもならない気がしたためとりあえずと言った様子で立ち上がりキッチンに向かった。
キッチンに立ち朝食の準備を始めるがキッチンの出入り口付近にティエルがいてヴァイルを見詰めていいたたまれなくなるがぐっと我慢して二人分の朝食をさっと作り、机まで運んで二人で一緒に朝食を取った。
朝食が終わるとヴァイルは使用した調理器具や食器を洗った後、ティエルが目を離しているうちに制服に袖を通した。
今まで来ていたのはいわば私服で、ティエルに今日の学校の予定を言われるまで学校があることをヴァイルが忘れてしまっていた。
今までの生活の癖が抜けてないヴァイルは学校のことを完全に忘れていたという事実を前に危機感を覚え始めた。
そのため今までしたことがなかった洗濯物を自分で洗濯しようと思い浴室に向かうが浴室の籠の蓋を開けて、中に入っている物を取り出し洗剤などを用意して……などと洗濯に必要な手順や道具を確認していると急に嫌気がさしてきてしまい、ヴァイルはそっと籠の蓋を閉じてしまった。
一人になりたくないティエルはヴァイルについて言っていてヴァイルは籠の蓋を開けて少ししてから蓋を閉じた様子を見てから自分で考え迷った後にヴァイルに提案した。
「洗濯は、私がしましょう、か?」
「お願いします」
ヴァイルはティエルノ提案に対して少々食い気味に即答する。
「わ、分かりました」
ティエルは了承の返事を返しさっそく洗濯に取り掛かった。
「洗剤がどこに、あるのでしょうか?」
「洗剤などは洗面台のしたの収納スペースに入っています」
「……ありがとうございます」
収納スペースを確認して洗剤を手にしたティエルはお礼を口にしながらも洗濯の準備を続ける。
ティエルは浴室内に魔法を使用し風で力場を作った後その中に再度魔法で水を入れたかと思うと籠からヴァイルの洗濯物を取り出し水が含まれている風の力場に放り込みその後洗剤を投入し数分放置してから魔法で風の力場から今中にある水を排水溝に流してから新たに水を追加して数分間放置した後水をまた排水溝に流し今度は水を追加させることなく洗濯物を風の力場に放置してから力場を解いて洗濯物を自分の手元に持ってきてすべてを受け取ってからヴァイルに手に持っている洗濯物をすべて渡す。
「どうぞ」
「助かります。やはり便利ですね、魔法と言うものは」
「えっと……」
魔法が便利だというヴァイルにどう返したらいいのかわからないティエルを見てヴァイルは気づく。
「ああ、そういえば伝えていませんでしたね」
ヴァイルは一拍おいてから平然と言う。
「僕は魔法が使えないんです」
「ま、魔法が使えないって言うのはどういう……」
「そのままですよ。僕は魔法を使うことができなかったんです」
「な、なんで……」
「気になるのもわかりますがそろそろ着替えてください。本当に気になるのでしたら学校で聞いてください」
「わかり、ました……あ、の」
「私はどこにいれば?」
「扉の近くにいてもらえると……」
「分かりました」
ティエルの要望通りヴァイルはティエルを一人にしないように扉の近くにいることを約束しティエルが制服に着替えるまで待ってから学校に向かった。




