共通点
ギルドを出た二人は明日から学校であることと昨日色々あったことから部屋でゆっくりすることになった。ティエルは娯楽小説を読み、ヴァイルは読み切ったはずの歴史について書かれている本を読んだり、娯楽小説の一部分だけを呼んだりととっかえひっかえで本を読んでいた。
「ヴァイルさん、先ほどから何をしてるんですか?」
「ああ……少し調べ物のようなものを……」
「調べもの? 娯楽小説を使ってですか?」
「ような物、ですから。真面目に調べ物をしているわけではありません。娯楽小説はやはり虚偽でしかありません。多少なりとも真実が混じっていたとしてもそこにあるのは嘘ばかりです。この点だけは歴史の本にも書かれているような嘘か本当かわからない内容と似ていると思いませんか? 実際にそれで何が分かるとかそういうのは無いんですけど構想が似ているのならそこから新たな発想が得られるかもしれない、そんなことを思ってこんなことをしているんです」
ヴァイルはそう言いながら、歴史について書き記してある書物と、娯楽小説のとあるページを開く。
「例えば、この歴史の書物において一番の重要点だと思われるこの大量の目が書いてあるこのページとこの小説の部分、内容としては今までに関わって来た人間から裏切られ敵意というか大量の視線を向けられるシーンなのですがこのシーンと歴史のこの部分の状況には大量の目に見られているという共通点があります。本来あり得ない二つの物をつなげることで新たな発想を得られるかもしれない、そんなことを思って歴史の書物と娯楽小説を交互に見ているんです」
「なるほど……何か新たな発想は得られましたか?」
「ありませんでした。まあ、暇つぶし程度の感覚でやっているので」
「暇、なんですか?」
「今のところ差し迫って何かしなければいけないことは無いので暇ですね」
「……何か、私にできることはありますか?」
「ティエルさんはティエルさんのしたいことをしてください。気を使われると何かしなければいけないと思ってしまうので」
「わかりました……今ヴァイルさんが持っている小説を読んでみたいんですけど……」
「どうぞ」
ヴァイルは惜しげもなくティエルに本を渡してヴァイルは別の、ヴァイルでも読んだことがない小説を読み始めた。




