ゴブリンキング討伐完了
ティエルは自分の攻撃がゴブリンキングには有効打には至らないため攻撃をヴァイルに任せて完全にサポートに回った。
ティエルがすることは、威力はさほど強くはないが規模がデカく目くらましに使えなくもない魔法だ。ティエルはそんな魔法をゴブリンキングに何発も放つがやはりと言うべきかゴブリンキングはその魔法を棍棒で叩き落し、威力がないことに気づくと防ぐことすらせず接近してきているヴァイルに向けて攻撃を仕掛けた。
魔物は棍棒を横に薙ぎ払う。ヴァイルがその攻撃を避けられるか避けられないかで言うと避けることができるはずもなく、腹部にクリーンヒット。踏ん張ることもできず棍棒が振るわれた時と同じぐらいの勢いで地面を転がっていく。
「ヴァイルさん!」
思わず声を張り上げたティエルは、自分の失敗に気づいた。
ここで黙っていれば、魔物はヴァイルのことを諦めティエルのことも見つけることだできず戦いが終わっていた可能性があったかもしれないと、考えてしまった。
しかし、声はもう上げてしまったし魔物はティエルのことを完全に目をつけている。
「戦わなきゃ……」
決意をあらわにするティエルは意味がないと分かっていても、魔法を使おうとする。
ティエルにとっての攻撃手段と言うのは魔法だけで他の手段が取れるかと言うと取れないというと取れないためだ。
ティエルが出せる最大威力の魔法をいくつも発現させ、魔物に向けて攻撃を開始する。
魔法は当然ながらゴブリンキングには届かなかったが魔法以外の抵抗手段を持たないティエルは絶えず魔法を放ち続ける。
魔物は魔法を打ち落としながらティエルに近づいていく。自分の全力が効果をなさない。
「……なん、で!」
どうしようにもない現実にティエルは悪態をつくが、諦めた先に気あるのは死だ。ティエルはあらがうしかなかった。
魔物とティエルとの距離が縮んでいくにつれてティエルは今まで頭部や腹部を狙っていたのに対して今は逃げるためにも脚部を狙っていたせいで魔法の衝撃から土煙が巻き上がり、魔物の姿が見え隠れしている。
そのせいで照準がつけにくくなってしまったために、一度放った魔法が叩き落された場所を中心にして広範囲魔法を雑に放つ。
それでも威力は確かなもので先ほどまでのスケルトンなら間違いなく一撃で沈めることのできる威力を持っていた。
しかしその魔法の威力は先ほどまで放っていた魔法一発一発と同様の威力しか持っておらずゴブリンキングがその魔法を防ぐことができず魔法に直撃したとしても、そもそもの威力が足りずゴブリンキングは無傷だった。
「…………どうすれば、いいの?」
懸命に頭を回し、打開策を考えるか思いつくのは魔法を使い魔物に攻撃することだけで他の手段は、なぜか思いつかなかった。
ティエルは身体強化魔法を使い、逃げ出すことをせずに再度魔法を使用しようとするが強烈な酩酊感を覚え膝をついてしまう。
「……あ……魔力、ぎれ……」
ここまで魔法を使う続けていたティエルは、魔力を切らしてしまっていた。
魔力切れを起こしたティエルは膝を震わせ立ち上がることもままならず視界もかすみ始めている。
意識はまだあるが、それもいつ意識を失ってしまうかもしれない。
「さすがですティエルさん」
そんな時、どこからかヴァイルの声が聞こえてきた。
ヴァイルはティエルの放った魔法によって巻き上げられた土煙に隠れて魔物に気づかれないようにして魔物に接近していた。
そして、魔物がヴァイルを発見し攻撃に転じるまでに魔物に触る。
魔物は体を大きく震わせるが鋭い目つきでヴァイルのことを捉え、棍棒を握りなおす。
ヴァイルは魔物が攻撃を仕掛けてくるまでに自分の折れて使い物にならなくなった腕を蹴り上げ、魔物に両腕をつける。
「ふぎゃ!?」
魔物は苦痛からくる悲鳴を上げ、意識を失い地面に倒れた。
「戦闘終了です」
ヴァイルは、いつも通り淡々と感情のない声で、そういった。




