帰還
「ティエルさん、怪我は在りませんか?」
魔物がもう動くことが無いことを確認したヴァイルは闘っていたティエルに怪我がないかを確認する。
ヴァイルが見る限りでは怪我をしている様子はなかったがわかりにくい怪我をした可能性は捨てきれない。
「私は、大丈夫です」
息を少し切らしながらもそういったティエルはただの骨と化したスケルトンに近づいていく。
「……ただの骨、ですね。先ほどまで動いていたのは不思議なぐらいです……やはり、ヴァイルさんのその力は特異ですね。魔法が使えない原因はそこにあると確定しても良いぐらいだと思います」
「そうですか。ならこの力を使わない方法を見つけないといけませんね」
「……あと、このスケルトン。やっぱりさっきほどのスケルトンと骨格や骨の形が似ているような気がします」
「では、どうしますか? ギルドに持ち帰って調べてもらっても良いですが放置してゴブリン討伐の依頼を続けても構いません」
「…………骨をいくつか持って移動することはできませんか?」
「できます」
「この森の中に先ほどのようなスケルトンがまだいるかもしれないので証拠を集めながら他のスケルトンを探し、遭遇したら討伐してサンプルを増やして、その中でゴブリンを見つけたら、それも討伐……と言う流れで探索を継続したいのですが……」
「わかりました。そのようにしましょう」
「…………ありがとうございます」
申し訳なさそうにお礼を言ったティエルとそれらを全く気にしていないヴァイルは骨をいくつか回収し、森の中の探索を続けた。
探索を続けたが人型のスケルトンも、魔物もヴァイル達の前に姿を現すことは無く、そろそろ帰路に付かなければいけない時間が差し迫ってきていた。
「そろそろ帰らないと門限を過ぎますよ」
「……門限なんてあるんですか?」
「あるみたいです。と言ってもかなりあいまいなもので日が落ちて辺りが真っ暗になった時、ぐらいのものです。なので日をまたぐ数時間前に帰っていれば問題は無いと思います」
「もう、そんな時間なんですか?」
「ここに来るまでにかけた時間と同じぐらいの時間をかけないといけませんからね。それに道中でここまで魔物がいなかった原因となる魔物と出会わない確証は在りません。出会って無事で済む前提でもそこに時間を取られるかもしれないのでぎりぎりを責めるようなことはしたくありません」
「……分かりました」
ティエルはヴァイルの言う通りに今日はもう帰ることに同意した。しかしティエルは明日もこの森に行きたいと考えていた。それがヴァイルに受け入れられうかは、ティエルにはわからなかったが。




