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魔力0の魔法使い  作者: bccbcd
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一対一


 それから何時間か森の中を移動している時、またしても人型のスケルトンに襲われた。


 このスケルトンも関節部に筋肉らしきものがついていて俊敏な動きでティエルを翻弄した。


 ヴァイルは自分の足の速さでは魔物に追いつけないと悟りティエルに魔物の拘束を任せたのでティエルが頑張って魔物の拘束をしようとしているところを見ているだけだった。


 先ほどのスケルトンはヴァイルに意識を向けていたためにティエルは魔物を拘束することができたがこのスケルトンは動きのないヴァイルではなくティエルに意識を向けているため魔法の発動を魔力から察知して魔法の有効範囲から逃れる。


 しかし、ティエルと魔物との間に相性の問題から実力差があることに魔物が気づいているのかそれとも先ほどの魔物が臆病だったのか今戦っているスケルトンは逃げることは無くティエルと戦っていた。


 今のところ遠距離から魔法を使って攻撃しているティエルの方が有利ではあったが魔物はティエルの魔法に慣れ始めているのかそれとも動きが滑らかになって来たのか少しずつティエルに余裕がなくなって来た。


 ティエルはすでに拘束魔法を使い魔物を捉えることを諦めていて攻撃で魔物の足でも折って行動できないようとしていた。


 ティエルは両手を真っ直ぐに伸ばし大きく開かれた手のひらから石礫をいくつも放っていた。


 その勢いも数もまるで雨のようだったが魔物はそれらをすべて回避している。


たまに回避できない石礫が魔物に向かうのだが魔物はそれを武器の柄で叩き落している。


「くっ……! このスケルトンやっぱりおかしいです! 動きも、考え方もまるで人間……!」


「元が人間ですからね」


 焦りを隠せないティエルに冷静に答えるヴァイルは腕を組んで静観している。


「そうかもしれませんけど!」


 そういってティエルは接近してきた魔物に向けて風刃を叩きつけるようにして放つ。


 魔物は風刃を綺麗なスライディングでかわし、さらに距離を詰めてくる。


「ここまで強い人がこんな場所で死んでいるとは思えません!」


 距離を詰めてくる魔物から身を守るためにティエルが言い切るのと同時に土壁を地面から生やす。


 魔物はその土壁に対して武器を突き立てたようで土壁から武器の一部が見えている。


「それに!」


 武器が見える土壁が盛大な音を立てて破壊される。


飛び散る土の破片から見えるのはスケルトンだ。武器から手を離して拳を前に突き出した姿勢でいるのが見えるので壁を殴って壁を壊したのだろう。


「装備とか骨格とかがかなり似通っています!」


 壁を破壊したため宙に舞った武器をキャッチしたスケルトンはその剣先をヴァイル達に向けた。まるでこれからお前たちを倒す、そんな宣言でもしているかのようだ。


「こんな偶然があるのでしょうか?」


「わかりませんね。ですがこの場において僕達にできることは魔物を倒すことです。もしどうにかしたいというのなら倒した後骨なりなんなりを持ち帰ればいいんです。先ほどのスケルトンは冒険者達がギルドに持ち帰っていますので確認しようと思えば比較的簡単に確認できると思います」


 ヴァイルがそんなことを言っている間にも戦闘は続いていて近づいてくるヴァイル達に向けた剣先をそのままに頭蓋骨の横で武器を構え、ヴァイル達に突撃してくる。


 ティエルは魔物を止めるために魔物を中心にしてスパークを発生させる。


発生させたタイミングから魔物が魔法を避けることはかなわなかった。


 ティエルは魔法が直撃したことを受け魔物を倒せたと考えたが魔物は動きを少し止めたが骨から煙を上げつつもティエルに向かって突撃した。

 まさか動くとは思っていなかったティエルは反応が遅れてしまう。魔法を発動させようとはして居るみたいだが魔物が接近してきてティエルに攻撃する方が速いだろう。


「ティエルさん、僕の後ろに」


 そのため、ヴァイルはティエルを庇うように前に出る。


逃げられないかを危惧していたが魔物は逃げるそぶりを見せずヴァイルに突っ込んでいって、ヴァイルから少し離れたところで、ただの骨と化した。


 そこに衝撃も威力もなくそれまでの勢いのままに骨や武器、装備が乾いた音を立てながらヴァイルのもとに転がっていくが何一つとしてヴァイルに触れることは無かった。


「………………」


 魔物が再度動き出すことが無いことをヴァイルは黙って確認していた。

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