遭遇
二人は何が起きてもいいように警戒しながら森の中に探りを入れている。
ヴァイルは周囲に目を向ける、と言うよりかは地面に目を向け、ティエルは魔法を定期的に発動させ嗅覚を強化し、人間や血の匂いが無いかを確かめながら魔法を発動していない時は森の中を見渡していた。
匂いは風に吹かれればティエルが魔法を使って嗅覚でとらえられる範囲内から消えてしまう可能性があるが鋭利な物で切られた植物や木々の後や足跡は簡単には消えないためヴァイルは地面に目を向けていた。
そうして森の中を散策していくと、ティエルの魔法に反応があった。
「……ヴァイルさん、金属音があっちから聞こえてきます。距離にして二百ぐらいだと思います」
「聴覚の強化も行っていたんですか……魔力は大丈夫ですか?」
「はい、まだまだいけます」
「わかりました。ですが移動中は魔法を切っておいてください。二百進んで冒険者もその痕跡も見つからなかった場合、再度魔法の仕様を再開してください」
「はい」
ティエルの返事を聞いてからヴァイルはティエルがさした方向に向かって行く。
しばらく向かうと確かに金属音が聞こえてきてさらにそこから慎重になりながら音のする方向に近づいていくと、そこにはスケルトンがいた。
しかしそのスケルトンは人型で冒険者のような質素だが使い込まれた装備を身に着けていた。
そんなスケルトンと相対するのは生きている人間の冒険者だ。
魔法使いはいないみたいでスケルトンに対して接近し攻撃を行っているみたいだがスケルトンの技量の方が高く有効だが一向に与えられていないみたいだ。
「ひ、人型……!?」
ティエルは人型のスケルトンに驚愕しているようだったがヴァイルは一切驚いていない。
「森の中から魔物がいなくなったのはあのスケルトンが原因かもしれませんね」
冷静に分析するぐらいの余裕を持っているばかりか魔物のもとに向かおうとするティエルを止めることもできていた。
「な、なんで止めるんですか!?」
ティエルは小声で、それでも切羽詰まった様子でヴァイルに訴えかける。
「冷静に考えてください。私は貴方の身分なんて気にしていませんがあの冒険者は貴方のことを知っているかもしれませんしそもそも今隠れているのは不意に姿を現して冒険者達の集中を書いてしまわないようにするためと得物の横取りだと勘違いされないためです」
「よ、横取りなんて!」
「ティエルさんにそのつもりが無くても相手がそういう風に受け取ってしまうかもしれません。冒険者側が負傷しているのなら横取りなんて思われないかもしれませんが冒険者は怪我を負っていません。今出て行っても横取りだと間違われるかもしれません」
「……分かりました、しばらく隠れています」
「そうしましょう」
そうしてヴァイルとティエルは冒険者達に気づかれないがそれでも瞬時に助けに入れる位置に隠れて冒険者達の戦いを見守ることにした。




