森の中
依頼を受けることができたヴァイル達は冒険者ギルドを後にして、さっそくゴブリン退治をすることにした。
なぜそうなったかと言うと、それ以外にすることがないからだった。
休日、何かすることがあるかと言うと街の中を見て回るぐらいで本屋に行って書籍を購入するにしてもまだ読んでいない本が大量にあるにもかからわず次の書籍を買おうという気にもならずだからお言って部屋で書籍を読むのも味気ない。
ならゴブリン退治と言うことになったが装備を整えなかったのは装備を整えるほどのお金がなかったからだ。
なかった、と言うよりかは必要がなかった。
と言うのもヴァイルの戦闘方法は敵に接近するだけで武器は必要としないばかりか魔法が使えないせいで身体強化ができずわざわざ体を重くする防具を必要としない。
魔法が使えるティエルは防具をつけたほうがいいのかもしれないがティエルは身体強化をして近距離で魔物と戦うタイプではない。
ならば魔法の発動を助ける魔杖を装備すればいいと思うのかもしれないがティエルはそこら辺の魔杖を持っただけでは魔法の威力も消費魔力も大差はないとティエル自身が言っていた。
では、ティエルでも意味があるような魔杖はどうなのかと言うと外套を身に着けていたとしても見える奴隷の首輪が邪魔をする。
奴隷が魔杖が持っていると戦闘奴隷だと思われるのだろうが奴隷ですら武器を持っているのに主人が持っていないとなると金に物を言わせて戦える奴隷を買った戦えない成金のボンボンだと思われかねない。
そのため、二人は装備を整える必要がなかった。
外見だけでも整えようか、と考えたヴァイルだったがひとたび外に出るとそこは油断すれば死んでしまう環境にあるためたとえ私服のような恰好でヴァイルがいてもわざわざ声を掛ける冒険者なんていないだろうとヴァイルは判断した。
そうして街から出て魔物が出てくる森の中にヴァイル達は向かって行った。
森の中は木々が邪魔をしていて外は火の光に照らされ明るかったというのに森の中に入った瞬間にあたりが薄暗くなった。
「暗いですね」
「そうですね……魔法を使って明るくすることもできますけどどうしますか?」
「いえ、それはやめておきましょう。僕達の視界が良くなるのと同時に魔物たちにとっては僕たちに向かってくるための道しるべになってしまいますから」
「わかりました」
素直に頷いたティエルと一緒にヴァイルは森の中を散策していった。
しかしここがまだ森の浅いところだということもあり魔物は出てこなかった。
「魔物、いませんね?」
「ですね」
森の中を進んでいった二人はそろそろ魔物が出てきてもおかしくないぐらい森の奥にたどり着いたが魔物は一向に姿を現さなかった。
「これは、何が起こっているのでしょうか?」
「……魔物がいなくなる原因としてはいくつかあってすでにここに冒険者が着て魔物を根こそぎ狩っていった、何かしらの自然災害が起きたもしくは起きようとしている、もしくは強力なものの存在に怯えた、もしくは上位種に招集された、などが原因ですね。冒険者がやった、と言うのが一番助かる原因なのですが他のは大変なことになりますね。自然災害が原因だとする場合はやく森の中から出たほうがいいです。もし上位種に招集されたというのなら上位種を叩きに行くべきです。もし、強力なものの存在に怯えたのが原因だった場合、冒険者ギルドに伝える必要があります」
「なぜ、冒険者ギルドに向かう必要があるのですか? 他の原因の場合の対処は理解できたのですが……」
「最悪の場合森中の魔物が街に向かって大進行をしてきます」
「だ、大進行……」
「数は想定するだけで恐ろしいですがどれだけ少なく見積もってもこの森の中の魔物がすべて街に向かえば悲惨なことになりますね。生き残りが今の人口に対して一割残れば御の字なんじゃないでしょうか?」
「い、一割ですか!? この国にいったい何人の人が済んでいると……!!」
「あくまでも最悪の場合です。今現在の状況から考えて最悪が起こる可能性は今僕の頭に魔法が降ってきて僕を死なせるぐらいの確立です。まずありえません。また最悪の場合でなくても強力なものの存在に怯えた場合だと森の中の魔物がいくらかが森の中から飛び出してきます。飛び出す魔物はかなり多いですが四方八方に散っていくので街に向かってくる魔物の数は一万行くか行かないかぐらいです。死傷者を出さないためにも人手がいります」
「なる、ほど……ちなみに今魔物がいないのは、どの原因が当てはまるんですか?」
「上空を飛ぶ鳥の声は聞こえるので強力な物の存在に怯えたせいではないと思われます。確証はないのでできれば森の中を探りたいですね」
「わかりました、では行きましょう」
迷いなく森の中を散策することを決めたティエルを意外に思ったヴァイルだったがティエルの意思通り、森の中を探ることにした。




