ギルドカードを作るためには
冒険者達を通り抜けて受付にたどり着いたヴァイル達は、受付で佇む受付嬢に話しかけた。
「身分証明のために冒険者カードを作りたいのですが、できますか?」
「はい、問題ありません。ですが一か月以内にどのランクの依頼でもいいので冒険者ギルドの斡旋する依頼を達成してください。そうすれば冒険者カードは失効することは無くなります。冒険者カードについての説明はこれぐらいですね。では、これより冒険者カードの発行をします。必要な道具を用意をするので少しの間ここで待っていてください」
そう言うと受付嬢は受付の奥の方に行き、ヴァイル達はその場に残されることになった。
ヴァイル達の後ろにいる冒険者は下ろした武器を修めそれまでしてたことを再開したようだ。ある冒険者は席に着き食べかけの料理に手を付けたりおしゃべりを再開するなどしていた。
そんな中、ティエルは中立を貫く冒険者ギルドに不満を持っていた。
冒険者ギルドが中立を保っているというのは知っていたけど、まだ冒険者ではないヴァイルのことを守ってくれてもいいのではないかと思ってしまう。
現状ティエルはヴァイルの奴隷だ。ティエルがどういう立場の奴隷だったとしても、気軽に話していい物ではないだろう。
こうして再度、冒険者に絡まれたことで思い出したが森の中であったあの冒険者達にティエルは戦闘奴隷と言われていた。ティエルは奴隷の基本的なことは知っているし奴隷としてはしてはいけないことをヴァイルからも教えてもらっていたので下手なことはしないが自分がヴァイルのどういう奴隷として認知されるのかは知っておきたいと、ティエルは思った。
「お待たせいたしました。ではカード発行のために魔力を記録しますのでこちらの機会に触れて下さい。それと、奴隷がすでに冒険者登録をすましているのであればカードの再発行をすることができますが、いかがなさいますか?」
「登録はすましてあるのか?」
ヴァイルは振り返ることも無くティエルに尋ねる。
「いいえ」
「では、新たに発行することもできますがその場合、奴隷落ちした原因をカードに書き込まなければいけませんのでご注意ください」
「ふむ……」
ヴァイルは、確認を取るためにもティエルのことを見る。
二人は一瞬目が合ったが、ティエルが一方的に目をそらしたことで、目は合わなくなってしまった。
「なら、大丈夫だ。奴隷は主人と一緒ならそれで身分証明になるだろ?」
「はい。主人が身分証明書を持っていれば問題は在りません。ただ奴隷個人でちゃんと身分証明ができないといけない場合もありますからお気をつけてください」
「わかった。じゃあ依頼を受けさせてくれ。装備は後で整える」
「承りました。では、簡単なものをいくつか見繕ってきますのでその中からご自分で依頼を決めてください」
「ああ」
受付嬢はヴァイルの返事を聞いて引き出しから何枚かの用紙を持ち出し、ヴァイル達に提示した。
「これが今受付している依頼の中で最も難易度の低いものとなります。ゴブリン退治から薬草の採取や運び屋として上級冒険者の倒した魔物の素材をギルドに持ち運ぶ仕事など様々ありますよ?」
「では、ゴブリン退治で」
ヴァイルは迷うことなく即決した。
「その、大丈夫ですか? ゴブリン退治は確かに難易度の低い物ですが二人となると何が起きてもおかしくは在りませんよ?」
「問題ない」
「了解いたしました。では、そのように手続きしておきます。依頼には基本的に期限なんてものは在りませんが今回の依頼は期限がありますのでできるだけ早く達成してくださいね」
「ちなみに、期限はいつまでだ?」
「三日後となります」
「わかった。三日後までにはゴブリンの討伐をしてギルドに来る」
「是非お持ちしています。無事に帰ってきてくださいね」




