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魔力0の魔法使い  作者: bccbcd
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冒険者のお約束

 店を出た後、休日だというのにこのまま寮に帰ってしまうのはよくないとヴァイルは黙っていればばれないだろうということで冒険者ギルドに向かい、冒険者登録をして冒険者カードをもらいに行くことにした。


 冒険者カードは身分証明書としてかなり有能で、一度でも冒険者ギルドの斡旋する依頼を達成すれば冒険者カードははく奪されることなく効果が切れることも期限が切れることも無い。


 商業ギルドの場合はそうはいかないみたいだが冒険者はそう言ったことができない人が多く集まるのでかなり簡略化されている。商業ギルドも冒険者ギルドと同じような仕組みでカードを発行すればいいとヴァイルは思うが商業ギルドの場合カードの発行がある種の試験のようなものらしい。


 そんなことを考えながらも冒険者ギルドに向かう途中で昼食を取ったのちに冒険者ギルドにたどり着いたヴァイル達はその服装で冒険者達に絡まれてしまった。


 仕方がないと言えば、仕方がないだろう。ヴァイル達の服装はお店にはいった時と変わらず私服に外套を身に纏ったただの奴隷なのだから。


しかも、歳は見た目からもわかるぐらいに若く若いうちから冒険者として活動してきたかのような貫禄も何もないただの一般人のような見た目だ。


 冒険者は死と隣り合わせだ。まるでただの一般人かのような風貌で冒険者ギルドを訪れるというのは冒険者を馬鹿にしている、そんな風に思われても仕方がない。


「おい、お前ら。ここに何しに来たんだ? ここはお前みたいなガキが来る場所じゃねえぞ」


 その証拠に、若干強面の冒険者がヴァイル達に話しかけに来た。


「少々他国に用事があるのですが、そのための身分証明をするために冒険者カードを利用しようと思って、ここを訪ねました。気に障ったのなら申し訳ない」


 ヴァイルは、冒険者に対して丁寧に目的を話した。


資材置き場の中で出会った冒険者は明らかな害意をもって接触してきたためああいう態度を取ったヴァイルだったが話しかけてきた冒険者には今すぐにでも攻撃をしようとする意思は感じ取れなかったため、こうした態度をとっている。


 もし相手がヴァイル達に難癖付けて暴行を加えようなんて思って近づいてきた時には話しかけてきた冒険者の意識はすでにヴァイルによって刈り取られているはずだ。


「はっ身分証明書のためだと? 冒険者を舐めているのか?」


「いいえ。断じてそのようなことは――」


「言い訳なんていらねえ! ちょっそした試験をくぐり抜けられたのなら、お前たちは冒険者にふさわしく、身分証明のために冒険者ギルドを利用することも許可してやる」


 ヴァイルの言葉を遮って話した冒険者はヴァイル達を見て嗜虐的な笑みを浮かべた。


その顔を見て、相手が一体何を狙っているのかが大体はよそうで来たヴァイルは何の警告もなしに冒険者に似れて、意識を刈り取った。


 意識を刈り取られた冒険者はヴァイル達に対して若干前のめりで話していたのでそのまま顔面から倒れる。


「てめぇ! 何しやがった!」


 それを見ていた冒険者達が怒声を上げるがヴァイルは一切気にせず受付に向かおうとするが、途中で邪魔が入る。


「おい! 聞いてんのかよガキ!」


 ヴァイルは無視して受付に向かおうとするが、冒険者が無理矢理ヴァイルの肩を掴み、そして失神する。


 これは勝手に触れてきた相手が悪いとヴァイルは思うが冒険者達からすると悪いのは完全にヴァイルだ。しかもこれで二人目。


さらにヴァイルは二人の冒険者に手を掛けたにも関わらう平然とした態度で受付に向かっている。


 それは冒険者の怒りを買い、武器を取り出し攻撃を仕掛けるのには十分だった。


 冒険者達は自前の武器を手に取り、ヴァイルに近づいていった。


しかし、それは逆上していても一気に距離を詰めてくるのではなくゆっくりとゆっくりとヴァイルを囲むようにして近づいてきていた。


 だが、ヴァイルはそれらのことを気にかけず受付のもとに向かっている。その余裕綽々な態度は一体全体どうしたら出てくるんだ、と冒険者だけではなくティエルすら思い始めた。


 そんな緊迫しているようでなんだか抜けている雰囲気の中でヴァイルは周囲を、睨みつけた。


「手を出したのも、私服でここに来たことも申し訳ないとは思いますが身分証明のためにカードを作りに私服でここを訪れた人なんてたくさんいたんでしょうし先に手を出したのも僕ではなくあなた達です。これ以上粗相をするようなら、全員、先ほどの冒険者のようにしますよ」


 ヴァイルは、ティエルがいつも聞いていると同じ声で周りの冒険者に話した。


ティエルはヴァイルの右斜め後ろにいるためヴァイルの目に調節的に睨まれたわけではなかったが、森の中で味わったあのヘドロがのどに詰まったかのような感覚を一度味わったティエルは身震いをした。


 睨みつけられた冒険者達は手に持っている武器を、ゆっくりと下ろし戦意を喪失させていった。

 そんな冒険者の間をヴァイル達は通り抜けていき、受付まで向かった。


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