資金不足
その日も同じベッドで睡眠をとったヴァイル達は休日を迎えた。
ヴァイルは昨日買おうと思っていた入浴剤を購入しようと思って学校の寮を出る前に自分の財布の中身を確認した。まだ金貨は残っているがティエルの再契約でかなりお金を使ってしまったのでいつかしなければいけなくなるお金の補充を考えた。
ヴァイルが考えて思いつくのは冒険者となって魔物を倒し、その素材を冒険者ギルドに売ることだった。
もともとヴァイルが身分証明書などのために冒険者カードを作りたいと考えていた。
ヴァイル自身はまだ冒険者カードを持っていないがこの学校に入学するためにこの国に来る最中に一緒にいた人が冒険者でまじかで冒険者カードの便利さを知っている。
しかし、もしかしたら在学中に冒険者カードを作ってはいけないなんて言う校則があるかもしれないし暗黙の了解で冒険者にはならない事、なんてこともあるかもしれないので迂闊に行動を起こせなかった。
冒険者になるのはどうなのか、と言うのは次学校がある日にヨルに聞くとして、その日は買い物に出かけた。
街に出て、まず最初に向かったのは本屋だ。ヴァイルが個人的に欲する書物が中の確認とティエルが合間合間に本を読んでいるせいで少なくなってきた書籍の補充をするためだ。
ヴァイルは今いる国の出身ではないため他の国に置いてある書籍の内容もある程度知っているが置いてある本の内容は一部を除いてほとんど変わっている。
変わっていない一部の本は、恋愛系の物だ。
これはとある一国の改革によって流行したもので人気のあるものだと本屋には大体おいてあり恋愛系の本を大量に読まされたヴァイルはここにある恋愛系の書籍の内容をほとんど知っている。
そのおかげでティエルが呼んでも問題のなさそうなものを選ぶことはできているが、最近のティエルの様子を見ているとそんなことをする必要もないのではないか、とは思い始めているヴァイルだった。
書籍を購入した後、ヴァイル達が向かったのは貴族御用達のお店だ。
購入しに来たのは入浴剤だ。
なぜ入浴剤を買うために貴族御用達のお店に来たのかと言うと個人で浴槽を所有することは基本的に貴族でもない限りしないからだ。
貴族等の身分の高い人間の子供が通う学校ですら個人の浴槽は無く全員が一度で入る大浴場が一つ設置されているだけだというのはそう言うところが理由だったりする。
そして、個人で浴槽を所持している人の殆どは貴族で大浴場などになると使うとなってもお店に買いに来るなんてことはしない。
そのため、入浴剤が売ってあるい店は貴族御用達のお店ぐらいになってしまう。
このこあたりのことはティエルも知っていたみたいでヴァイルが入浴剤を買いに行くというとティエルは顔を強張らせたがヴァイルが持ってきた外套を見せるとティエルはそれを着てなら問題がないと言ってくれたため貴族御用達のお店に来れている。
見せの中はきらびやかで間違ってもヴァイル達が入る場所ではなかった。ヴァイルはオシャレでも何でもないくたびれてはいないが高くもない普段着でティエルに至っては外套を身に纏っていて外套の上からでも奴隷の首輪をつけていることが分かるから。
しかし、そんな服装をしているヴァイル達が店から出ろともなんとも言われないのはお店がある場所が関係している。
ここは、別に貴族が多い地域という訳ではなく平民もいる死犯罪も普通に起こっている。
しかし、なぜそんな場所に貴族御用達のお店があるのかと言うとこの場所にあるお店は貴族はもちろん冒険者や商人に向けた商売を行っているからだ。
個人で浴槽所有することは基本的に貴族でない限りしないが常識が当てはまらないぐらいに稼いでいる人が一定数いてその中から風呂が好きな人が何人かいる。
そんな人たちに向けて商売をしているこのお店は冒険者相手にも商売をしないといけないのでいちいち服装のことなんて言ってられないのだ。
お店の場所的が関係しているのかお店の中には貴族はおらず、他の人もいなかった。
なのでヴァイルはティエルに気を使う必要が無いわけだが、望んでいるお湯を濁すような入浴剤は一か月分で金貨十枚。手持ちが足りないばかりか定期購入なんてことはできそうになかった。
「足りませんね」
「これを、買いたいんですか?」
一人でぼやいてみると、ティエルが反応を返してきた。
ティエルの持っている分の金貨も使えばこれも変えるのかもしれないがこれはヴァイルが勝手にやっていることなのでティエルのお金は使えなかった。
「ヴァイルさん、私の再契約のためにお金を使ってしまったので足りないのではないですか?」
「まあ、そうですね。ですが、今は気にしないでください」
「で、ですが……」
「買えるものも無いので、店を出ましょうか。長居するのもよくないでしょうから」
「……わかりました」
ティエルを説得し、ヴァイルは店から出た。




