よりどころ
次の日、休日から今日でようやっと四日目。あと一日学校に行けば休みだが今日はもちろん学校に行かないといけない。
「ティエルさん、大丈夫ですか?」
ヴァイルが心配するティエルは顔が暗く、体調も悪そうで今にも吐きそうな風貌だった。
「だ、大丈夫……です」
明らかに大丈夫ではそうなティエルは強がりを言うが全く説得力がないばかりかティエルはヴァイルに助けを求めるようなまなざしをしている。
「……怖いかもしれませんが、大丈夫ですよ。貴方は僕の奴隷なんですよ? 他の人からの魔法による虐待はもう起きません」
「それは、そうなのかもしれませんけど……ヴァイルさんに……」
「迷惑をかけるかもとか大変な目にが、とか思っているなら今更ですよ。別に貴方の身分を詮索する気は在りませんが貴方の身分は平民の僕なんかより全然高いのでしょう?」
「そ、れは……」
「僕はそこら辺のことも分かったうえで、貴方を奴隷にしたのですから、貴方が僕の心配をする必要はありません」
「……………………………………」
「あとは、貴方の心の問題です。自分のことだけを考えて、それでもつらいのなら今日も学校を休みましょう」
「……いえ、大丈夫です。頑張ります」
ヴァイルは、しっかりとティエルに逃げ道を用意して判断を丸投げするとティエルは気力を振り絞って、学校に行くことを決めた。
ティエルが学校に行くことを決めてからすぐに準備を始めて何とか学校の始業時間に間に合ったヴァイル達はヨルの授業を受けていた。
始業時間ギリギリに教室に入って来たために誰にも話しかけられずに授業が開始されたが、へばりつくような視線を向けられていることにヴァイルは気づいていた。
ティエルは気づいていないようだがそれも時間の問題だろう。
この時間中にティエルが気づくことは無いかもしれないが、それでも毎日必ず入っている魔法学の授業中には気づいてしまうだろう。
何か対処をしなければいけない、ヴァイルはそんなことを思った。変に首を突っ込むのはよくないのかもしれないがティエルはすでにヴァイルの奴隷でヴァイルの所有物だ。
その所有物が、自分の悲願を達成するために必要な物だとなれば所有物の状態を良好に保っておきたいとヴァイルは思っている。それに、ティエル本人には言えないが他人を支配するという事実に、愉悦感を覚えていた。
それに、”物”だと思っているからこそ、人に対して覚える慢性的な嫌悪感をティエルに対しては覚えていなかった。
「やっぱり、ひとは嫌いだ」
ぼそっと、ヴァイルは誰にも聞こえないようにぼやいた。
それからヨルの授業が終わるとまた別の授業が始まり、終わり、魔法学の時間が来てしまった。結局ヴァイルは何一つ対策をできなかった。
ヴァイルとティエルは一緒に魔法学を行う場所に向かう。
実のところ、ヴァイルとティエルは昨日からずっと一緒にいる。
それこそ入浴時でも、就寝時でも。
ヴァイルはティエルのことを物として見ている。それもただの”物”で愛玩道具なんて思っていないため物が一緒に入浴しようと言っても寝ようと言ってもなんとも思わなかった。
ティエルはティエルで、唯一信頼できるヴァイルと一緒にできるだけ一緒にいたいと思っていて、今まで常に不安に思っていただけに、安心できる存在と常に、多少恥ずかしくても一緒にいたいと思っていたた。
べったりとくっついているわけではなかったがそれでも離れている時間は少なかったために、ヴァイルは対策を取ることができなかった。
「ヴァイルさん、今日は別視点からのアプローチをしてみようと思います」
ティエルはヴァイルの想いを知ることなく、ヴァイルが魔法を使えるようになるためにどうすればいいのかを考えていた。




