脱出
誰にも言えないような秘密を抱えたティエルとその原因となるヴァイルは、動かなくなった冒険者をどうするかの判断に迷ったがこれ以上森の中を散策しても魔物に遭遇できるかもわからなかったため拘束した冒険者を連れて森の外を目指した。
ティエルは真っ直ぐ森の外、通って来た石壁のある場所まで迎えるみたいだったがもしかしたら冒険者達にあの建物の扉を開く何かがあるかもしれないと予想したヴァイルは見つけた建物によってから石壁を目指した。
来た道を戻り、誰もいない建物に着いたヴァイル達だっがた建物に変化はなく冒険者達も目を覚ます雰囲気はなくそのまま石壁を目差すことになった。
ちなみに、冒険者達を運搬しているのはヴァイル、ではなくてティエルだ。
最初はヴァイルが運んでいたのだが、建物に着くまでに重そうに冒険者を運ぶヴァイルを見てティエルは身体強化系の魔法があることをヴァイルに教え、自分が冒険者を運ぶと言ったため今はティエルが冒険者を運んでいる。
冒険者の運び方は拘束したときにも使った植物を使い冒険者を引きずっている。
そのため冒険者達は植物や土砂にまみれてしまっているがヴァイルもティエルも気にしていない。
むしろ感謝してほしいとまで思っていた。
今はまだヴァイル達は魔物に在っていないがあのままあそこに放置していれば間違いなく魔物に襲われて死んでしまっているだろうから。
今回の争いは間違いなく相手が吹っ掛けてきたもので吹っ掛けられた側が相手のことを気にする必要はなかったのだが放っておいても連れて行っても特にデメリットがあるわけではないのでメリットがる方を選んだ。
こういった正当な理由もなく襲ってきた冒険者をギルドに突き出すと治安維持に貢献したとして賞金をもらえることがあるからだ。この賞金は襲った冒険者に課せられた罰金の内の一部から捻出されている。
「まあわざとらしく僕が喧嘩を買ったのは申し訳ないとは思っているのですが……」
「でも初めてあった時から相手側は私達に敵意を向けていたので仕方がないと言えば仕方がないと思いますけどね」
「ですかね……ティエルさん、運ぶのがつらくなったら教えてくださいね」
「大丈夫ですよ。一応学校基準で考えると私の実力は……偉そうなことを言いますと一番上だと思いますから」
「それは頼もしいですね」
ヴァイル達はその後も一向に目を覚まさない冒険者達を引きずって行き石壁までたどり着いた。
「……さてと、これからどうしましょうか?」
「……呼びかければ向こう側にいる門番は開けてくれますかね?」
「とりあえず呼びかけてみましょうか」
「ですね」
「すみませーん! 開けてもらえると助かるのですがー!!」
ヴァイルが声を上げると、近くの壁が開いて、石壁を通ってきた時と同じ門番がこちら側を除いていた。
「お前たちか……無事だったんだな? ……あとその後ろで伸びている冒険者はどうしたんだ? と言うか怪我もしていないようだし、なんで自分達で開けなかったんだ? 鍵を落としたのか?」
「この冒険者は僕達に攻撃しようとしていたので反撃に出てこんなことになりました。あと、鍵は落としました」
「そうか……とりあえず無事に生きて帰ってこれてよかった。鍵はまた再発行すればいいさ。再発行は冒険者ギルドにでも行けばできるさ。何事も命第一だ。そこにいる冒険者も連れて帰ってきてくれて助かった」
「いえ、あとこの冒険者達を任してもよろしいでしょうか?」
「ああ、あとでギルドに賞金をお前たちに渡すように伝えておく。それで、君たちの冒険者名かパーティー名を教えてくれ」
「それは必要ありません。僕達が挑発したみたいなところもありますから」
「君たちがそういうのなら、そういう風にしよう」
「お願いします」
門番たちはやはりヴァイル達は冒険者だと思っていたようだ。
何とかごまかせたことに安堵しつつもティエルを連れてその場を離れていった。
「……何とかなりましたね」
「ですね。今度からはちゃんと行く先々の情報は集めたほうがいいですね」
一歩間違えれば問題になっていたであろう行動をとっていたヴァイル達は今日の行いを反省し、対策しないといけないことを認識した。




