資材置き場の中へ
「あの、冒険者って言われたんですけど……」
「観光気分できてしましましたが危ないところなのかもしれません。気を引き締めていきましょう」
「わ、分かりました……危険な場所だったでしょうか……?」
「ここに来たことが?」
「はい。子供のころに遊びに来ていた場所……だったと思います。かなり前のことなので確証はないです。ですが、あの石壁を抜けて先にあるのが今目の前にある森と同じだった気がするんです」
「年月が経てば土地の利用方法も変わっているかもしれませんね」
「かもしれませんね」
そんな会話をしていると、ガサガサっと植物の葉が何かに擦れる音がした。
「僕の後ろに」
魔法が使えないにも関わらずヴァイルはティエルの一歩前に出る。
魔法が使える自分の方が戦いにおいて有利だ、と言うことをヴァイルに伝えようとしたティエルだったがその前に脅威と対峙することになってしまった。
「ゴーレムですか」
ヴァイル達の目の前に現れたのは木製のゴーレムだ。
木製ではあるが相手は魔物だ。
木製であっても燃えないかもしれないし石材とは違いある程度の柔軟性を持つ木材の特性を増加させゴーレムの主な攻撃手段である拳や脚を使った攻撃が挑戦的な物だけではなく人間のようにしなやかな蹴りを放ってくるかもしれない。
油断すれば待っているのは死のみだ。
「私が戦います!」
ティエルはヴァイルに向けてそう声を掛けるがヴァイルは聞く耳を持たず魔物に対して肉薄していった。
ゴーレムはヴァイルに反応して拳を前に突きだすが、突き出されたゴーレムの拳は急速に力を失い、その場で崩れ落ちてただの木材となった。
ヴァイルはそのまま魔物に接近していく。ゴーレムは残っている腕をヴァイルに向けるがそれよりも先にヴァイルがゴーレムの胸部に触れた。
「死ね」
その短い発音の中に、一体どんな意味があったのかが分からないが死ね、の二文字を発し終わるころにはゴーレムが崩れ落ちただの木材と化していた。
「……戦闘終了ですね。お怪我は在りませんか」
そしていつも通りの生気を感じ取れない、やる気のなさそうな瞳でティエルの安全を確認した。




