再契約
次の日、ヴァイル達はまたしても学校を休み奴隷商人のもとに向かっていた。
無断で二日も学校を休むのには少し気が引けてしまうティエルだったがヴァイルがじゃあ誰にどのように伝えるのか、と聞かれてしまって何も返せなかった。
ティエルによると奴隷商人は表立った場所にはおらず少し薄暗い裏道に店を構えているらしいので ヴァイル達は裏道を中心に虱潰しのように探していった。
虱潰しに店を探しているとかなり早く奴隷商人の構える店が見つかったため店内に入る。
場所がそもそも薄暗い場所にあるからかもしれないが店内も薄暗い。照明は設置されていたが明るい色ではなく周囲をほんのりと明るくする程度の明かりだった。
そのせいで店番に立つ店員の顔がヴァイル達には見えないようになっていた。
「いらっしゃい。今日はどのような御用で?」
「再契約だ」
「さようでございますか。では右手にある扉から奥にお進みください」
「料金はいくらだ?」
「……金貨十枚ですかね」
「高いな」
「お客様の奴隷、ずいぶんと上物ではありませんか?」
「わかるか?」
「ええ、それはもちろん。私共は認識阻害の眼鏡をかけているため詳しくはわかりませんが認識阻害の眼鏡の上からでもわかるきめ細やかな肌に目を引く体の凹凸。立ち居振る舞いからも気品を感じられますよ」
「だろう? 自慢の奴隷だ」
「ええ。ええ。夜の営みは極上なものなのでしょう?」
「勿論だ。全ての衣服を強引に剥ぎあらわになった乳房を強引に掴み吸い付くような感触を楽しみながらも悲鳴を上げる女を強引に組み伏せベッドの上で盛大に泣かせるのは想像以上に甘美なものだぞ?」
「うらやましい限りです。そんな上物の再契約ともなれば値が多少張ってしまうのも、ご理解いただけないでしょうか?」
「それもそうだな……しかしそこまで値が張るとは考えて居なくてな金貨八枚程度なら持ち歩いていたのだが……」
「では、今回はその八枚だけでも問題は在りません」
「そうか……奴隷と一夜を過ごさせてやるから金貨五枚にならないか?」
「い、いえ。そのようなことをしていただく必要はありません……特例ですが今回は金貨五枚で再契約を承ります」
「助かる」
一通りの話が済んだヴァイルは店員に金貨五枚を渡し右手にある扉から店の奥に進んでいった。
扉を開けると一本道の通路ありその先にまた扉があった。ヴァイルはティエルと一緒に通路を通り扉を開けた。
扉の先には一つの部屋があり他のその部屋から他の部屋に向かうための扉は見られず部屋の中央には大人が二人並べれそうなぐらい大きな机が置かれていた。
その机の上にはヴァイルが見たことも無い魔道具のようなものが置かれていたが部屋の中には誰もいなかった。
「後ろから失礼いたします。再契約はこの私がさせてもらいます」
そういってきたのは先ほど話していた店員だった。
「お前か……賢い対応をしろよ?」
「ッ! も、もちろんですとも」
変に動揺する店員はそそくさと部屋に入り机の上に置かれていた魔道具ようなものを右手でとり手だりての上に何か乗せてヴァイル達に手渡した。
渡されたのは先の鋭い針だ。ヴァイルは渡された針の表面を触り、何も塗られていないことを確認した。
「針は一本なのか?」
「も、申し訳ないです」
「いいさ、二人でこの針を使えばいい」
「そういってもらえると助かります。では、この魔道具に見える二つ結晶に互いの血を垂らしてください。結晶が血液に反応し特殊な溶液を生成します。その溶液を奴隷の首輪に塗ればそれで再契約は完了いたします」
ヴァイル達は店員の言う通りに針で自分の指をさして一つの結晶に血を垂らした。
ティエル同じようにして結晶に血液を垂らすとい血は土にしみこむ水のように結晶に溶け込んでいった。
そして結晶から水のような透明度の高い液体が染み出てきて結晶の下にある板の上に落ちる。
板は斜めっているため液体は板の表面を滑り落ちで行き別々の結晶からしみだしてきた液体を一つにした。
ヴァイルはできた溶液を針を刺したほうではないほうの指で直に液体を掬い取りティエルの奴隷の首輪に塗った。
「これで契約の再登録は終わりました」
「助かった」
「またのお越しをお待ちしております」
ヴァイル達が部屋から出ようとしている時に店員は深々と礼をしていた。
ヴァイル達は奴隷商人の店を出てからは無言で大通りを目指し歩いていた。しばらく裏道を進み、大通りに出るとヴァイルはティエル向かって頭を下げた。
「すみませんでした」
「えっと?」
「事前に打ち合わせをしていたとはいえあのような発言を……」
「いえ……実際にされると、少し怖いですが貴方の物になったという実感が得られたので、私は大丈夫です」
「……僕はそう言ったことに全くの興味がないですからそんなことを言っても問題ないかもしれませんが人間は変わる生き物です。今後そういった危うい発言はしない方向でお願いします」
「あ、はい。すみませんでした」
発言に危うさを感じたヴァイルはちゃんと注意をしておいた。




