提案
そんなわけで街の外に出向いたヴァイル達だったが急な通り雨にさらされびしょ濡れで寮の自分たちの部屋に帰ってきていた。
寮に戻る途中、学校の教員に見つかってしまったが見つかった教員と言うのがヨルだったため問題にはならなかった。
「いや、一応今授業中じゃなかったか?」
「知らん」
と言う事らしい。知らんと突っぱねてしまうあたりヨルは在んな感じだったな、と一人で納得したヴァイルだった。
それはそうとびしょびしょに濡れてしまったヴァイル達は速やかに着替えもしくは入浴が要求されるがここで消えてしまいそうな声で細々とティエルは言った。
「い、一緒にお風呂に……」
まあ、無理もいかなとヴァイルは思っていたのでそれを引き受けティエルと一緒にお風呂に入ることにした。
「え、えと、その……」
もちろん、ヴァイルはティエルの裸を見ないようにはしている。
お互いの体にタオルをまとって最低限の対策はしている。いきなりの雨で帰ってきたため湯船にお湯がたまっている筈もなかったのでとりあえず今はシャワーになる。
ヴァイルは一緒に浴槽に入ったとはいえティエルからシャワーを浴びせようとしていたのだが本人からの希望でヴァイルが先にシャワーを浴びることになった。
タオルを巻いているとはいえそれは完全な対策になっていないから。
体を近づけることもあまりよろしくはないのでヴァイルとティエルの距離が離れているのでシャワーから出てくる温水を二人で一緒に浴びるのは不可能なのでできるだけ早くティエルに変わるためにもシャワーを浴び始めたヴァイルだったがいきなり、後ろから抱き着かれた。
「……下手くそだな」
ヴァイルがそうぼそっと言うと、ヴァイルに後ろから抱き着いていたティエルの体はビクッと震わせた。
「別に責めたり怒ろうとしているわけではありません。まあ普通の男性に対してならそのアプローチは最高の物でしたでしょう。貴方の発育はよく顔も良い。ですが私はそう言うのは興味ありませんしあなたにとっても体のつながりを基礎とした付き合いなんてしたくないでしょう?」
「それは……そうです……ですが……私は、このつながりを、失いたくないんです」
「そこまで深刻にならなくてもいいのではないでしょうか。一応僕たちは協力関係にあるのですから」
「……魔法を使える人なんて、何人でもいます。私でなくても貴方に魔法を教えようとしてくれる人はいると思います。でも、私は、私の首輪が奴隷の首輪だと気づいても暴力を振るわれなかったのは、貴方が、初めてなんです」
「なるほど、それでこのようなことを……とりあえず離れてもらえますか? 身動きが取れません」
「……すみませんでした」
ティエルは謝りながらヴァイルから離れた。
「できれば僕のことは信頼してほしいのですが……難しいのなら別の方法を考えましょう。そうですね、僕の奴隷になりますか?」
「え……?」
ティエルはヴァイルの口から出てきた言葉が信じられず気の抜けた声を漏らした。




