サボりの口実
「まあ、そういう訳なので」
「え、えっと、その……?」
納得はしたもののヴァイルの考えていることまでは分からなかったようなのでヴァイルは自分の思っていることを説明することにした。
「僕は魔法が使えるようになりたい、でも今のところそのために何をしていいのか自分ではわからないのでティエルさんに今後とも協力をお願いしたい、と言う事とその対価として僕がティエルさんを奴隷の首輪皮発せられる魔法を防ぐ、と言う事です」
「え、それ、は……いいんですか?」
ティエルは遠慮気味に返す。
「ええ、ティエルさんが嫌ではないのなら僕は構いません」
「なら、お願いします」
これでヴァイルは同居人を見捨てた、と言う罪悪感に襲われることは無くなった。返事ははいでもいいえでも構わなかったのだ。ただ、一度は手を差し伸べた、そういう事実を欲しただけだ。
本人のそこに同情や憐み、親切心はかけらも存在しておらずまたやらないといけないことが増えたと漠然と思っているだけだ。
「では、今日は何をしましょうか」
そのため、次に出てくる言葉は今日できた暇な時間をどうやって埋めるかの相談だ。
「え、いや。普通に学校に…………あれ、今何時ですか?」
「今は午前十時、すでに学校は始まっていますので今日はもう学校を休んでしまいましょう」
「で、ですが……」
「今から行ったところでどうにもなりません。魔法の練習は僕にはどうすることもできませんがほかの授業に関しては教えることができます。僕がするのでも良いですがヨルに頼んで授業をしてもらうという方法もあります」
「…………あなたにまで迷惑をかけてしまうかもしれません」
「今更ですね。気にしないでください……本当に今更なことを言いますね? ああ、気にしなくても大丈夫ですよ。それで、今日は何をします? 部屋の中でゆっくりしますか? それとも貴方をいじめる人間が学校にいる間に街に出向いてみますか?」
ヴァイルはいくつかの提案をするがティエルはその提案に対して賛成の姿勢を見せない。
「で、ですが……さぼるというのは、良くないと思います」
その台詞を文字に起こしただけなら彼女は優等生とか真面目とかそういう風に言えるのかもしれないが、ティエルの声は震えていて、どこか期待しているようでもあった。
「いえ、行きましょう。さあ。せっかくなので街のほうまで行きましょうか。部屋でゆっくりするのは休日でもできますからね」
「…………はい」
ティエルの返事はどこか安堵したような声だった。彼女は、自分から学校をさぼるとは言う事ができなかったが本心では学校なんて行きたくなかったのだろう、そういう風にヴァイルは思った。




