表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力0の魔法使い  作者: bccbcd
3/91

共同生活への第一歩

 ヴァイルはティエルノ首元についている物をどこかで見たことがある気がして黒い金属の凝視していると、思い出すことができた。


「…………」


 思い出したものの名前を口にしそうになったが何とかこらえ、心の中で呟く。


 奴隷の首輪、と。


 そして続けてありえない、と。


 ここは間違っても奴隷が来れるような場所ではないからだ。


 自分が場違いなことはヴァイルにもわかってはいるが奴隷はそういう話ではなく奴隷には人権と呼ばれるものは無く首輪に魔力を注ぐことで首を締めあげたり電流を流し込んだしのどを焼いてみたりと、何でもできる。


 しかもそれは奴隷の主人に限った話ではなく誰であっても奴隷に対して攻撃を食らわせることができるのだ。


 そんな奴隷がここにいるのは考えられなかった。


 もしかしたら奴隷の首輪ではないのかもしれないとヴァイルは思うが見た目は完全に奴隷の首輪で勘違いされるようなものを首に着けるというのは、ありえない。


 だが、ありえないとはヴァイルは思っているが教室でティエルに話しかけた時に向けられた視線やいまだにここに立ち続けていることを鑑みるともしかして、そういう気持ちになってくる。


「ティエル、部屋の中に入れ、これは命令です」


 確認するためにヴァイルはティエルに命令を下す。


 ほとんどの場合、奴隷にとって命令とは守らなくてはいけないもので命令に従わなかった奴隷に対して主人はたいていの場合バツとして首輪に魔力を流し奴隷を躾ける。


 ヴァイルは奴隷の主人になったつもりはないがもしティエルが首元に着けている物が本物なら常識なんてものは当てはまらないためこういう確認は必要だとヴァイルは判断した。


 話しかけても扉を開けたままでも部屋に入らなかったティエルのことを考えるとこんなことを言ったとしても首輪が本物でもない限り今回もティエルは部屋には入らないだろう。


 ヴァイルは動くな、と心の中で念じるがそれもむなしくティエルは歩き出し、部屋の中に入っていってしまった。


「………………」


 面倒ごとに巻き込まれた、いや巻き込まされたヴァイルだったが、嫌な顔一つ見せずにティエルの後を追って部屋に入り扉を閉めた。


 ここまでヴァイルは何度かティエルに話しかけていたしヨルとも話していたが声に抑揚はなかった。


 ヴァイルは長くも短くもない黒髪でぼさぼさではないが整ってもおらず筋肉質な体でもなく痩せているわけでもない。


 そして目に生気は宿っておらずどこか抜けているようにも見える無表情でこれといった特徴のない、そんな容姿をしていた。


 ティエルとともに部屋に入ったヴァイルは部屋の中で通行の邪魔にならない場所に立っていたので近くまで行き、新たに命令を出す。


「ティエル、今後僕に命令しなくても動きなさい。いちいち命令するのは面倒です。自分で考えて行動してください」

「自分、で?」

「はい、酷なことかもしれませんが僕はそういうのが苦手です」

「わかり、ました」


 最初教室で出会った時よりしっかりとした声で話せているのできっとあの教室、と言うよりかは周りにいる生徒たちに何か原因があることを悟ったヴァイルだがティエルのことを全く知らないヴァイルにはどうしようもない。


 これからどうしていこうか考え始めるヴァイルとは別に自分で考えて動けと命令されたティエルは少し考えるそぶりを見せた後部屋の奥の方に進んでいき二つあるベッドの内一つに腰掛けた。


 ベッドに腰掛けたティエルを尻目にヴァイルは時計を確認し昼食をとる時間が近づいてきていることを知る。


 ティエルはベッドに腰掛けると船を漕いでいたので声をかけることなく昼食の準備に向かう。


 キッチンに立ち昼食と言うこともありそこまで手の込んだものではなく簡単なものを一人分だけ作っておく。


 ティエルがいらないと言ってもいいように。


 料理を作るときに一部食材を焼いたためその時の音でティエルが起きてしまい一人用の昼食が完成するころにティエルはキッチンのある部屋の扉を開き中の様子を覗いていた。


「ティエルさん、昼食ができましたがどうしますか?」

 話しかけられると思っていなかったのか後方からガタッと何かにぶつかる音が聞こえた。

「え……と、私……は」


 何とか自分の考えで行動をしようとしているティエルにヴァイルは手助けをする。


 ヴァイルは扉を開きティエルを中に入れて自分が作ったものを見せる。


「かなり質素で簡素なものなのでが食べたくないというのならそういってもらってもかまいません。その場合私がこれを食べるだけですから。こんなのでもいいのなら持って行ってください。確かどこかにちょうどいい机があったはずですから。」

「あ……い、いり、ます」

「わかりました。ではどうぞ」

「あ、ありが、とう、ござい、ます」


 たどたどしくはあるがちゃんとお礼を言ってヴァイルから昼食を受け取ったティエルはキッチンから出ていきちょうどいい机に持って行ったものを置いた音が聞こえてきた。


 それを聞いた後ヴァイルはティエルに渡したものと同じ自分用の昼食を作り完成した後ティエルと同じ席に着き食事を始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ