28/91
起床
次の日の朝、ティエルはわずかな頭痛と右腕にある優しいぬくもりを感じながら目を覚ました。
「おはようございます」
寝起きでまだ意識のはっきりしないティエルに向かって声をかけたのは同居人のヴァイル。
ヴァイルの声を聴いて昨日何かあったような気がしたが何があったのかティエルは思い出せない。
「……おはよう、ございます……」
ティエルはゆっくりと返す。ヴァイルの声が意外と近かったため寝ころんだままではよくないと思い、体を起こす。
ヴァイルが自分のベッドの近くに座っていて目を見張ったティエルはヴァイルの手が自分の方に向いていることに気づく。
自分の方に伸びている手を見るとその手は、自分の手と繋がれていた。
一体何がどうなっているのかティエルがわからなくなっていると、それを見越してかヴァイルから口を開いた。
「体の方は大丈夫でしょうか?」
体、と聞いてティエルは昨日自分の身に何が起きたのかを思い出した。そして、顔が青ざめる。
ただ、叫び出すことは無く繋がれている手を握り返す。
「大丈夫、です……あの、昨日のことについて、聞いてほしいことがあるんです」
ティエルは一歩、ヴァイルに歩み寄った。
「とりあえず、服を着ましょうか」
「え、あ……」
ティエルは自分が衣服を着ていないことにようやく気付いた。




