温度のない瞳
ヴァイルは、ティエルに不躾な視線を送っている人たちを睨みつけた。
ティエルのことを見ているのならそのそばにいるヴァイルのことも視界に入るためティエルを見ている人たちは睨まれていることが分かる。
睨まれている、つまり自分が視線を送っていることがばれていることに気づいた人たちの半分はさっとティエルから目線を外して行く。
だがいまだに外さずにティエルを視界にとらえている人もいた。
だがヴァイルの行動は変わらずひたすらに睨めつけるだけだった。
しかし、その睨めつけるヴァイルの顔は一切の変化を見せない。瞼を閉じることも無ければ体が揺れることも無い。
まるで人形のようにただただジッと相手を睨み続けている。
そうしていると顔を青ざめて一人、また一人とティエルから視線を外していきしまいにはティエルのことを見ている人はいなくなった。
いなくなったことを確認し、正面を向くとティエルがメニュー表をこちらに差し出そうとしている姿勢のまま動きを止めていた。
「ティエルさん?」
「……あ、すみません……その、ちょっと顔が怖くて……」
ティエルが自分の顔を見てしまう前に睨み顔をやめるつもりだったヴァイルだが失敗してしまったようだ。
「すみません」
「謝ってもらう事でもないです。ただ……私は先ほどのような視線を向けられるのは慣れていますから、気にしないでください」
少し低い声でティエルは答えながらもメニュー表をヴァイルに渡した。
休日に学校の外に来ているのに気持ちを落ち込ませたままではよくないと思ったためメニュー表を受け取ったヴァイルはすぐに頼むものを決めて店員を呼び止めて注文を行った。




