寝落ち
娯楽小説に目を通していると隣でドサッと重いものがベッドに倒れ込んだ音が聞こえてきた。
ヴァイルが音の鳴ったほうを確認するとそこにはベッドに転がるティエルがいた。
ベッドの近くの床にはティエルが先ほどまで呼んでいた小説が落ちている。
「ティエルさん?」
ヴァイルは声をかけてみるがティエルから反応は帰ってこない。
もういいのがれができないぐらいに寝落ちをしたティエルはスヤスヤと安らかな寝息を立てている。
寝落ちするようではちゃんと眠れていないのではないかと心配になるヴァイルはまた明日寝落ちには気を付けるように言う事を心に決めて自らも就寝することにした。
次の日の朝、ヴァイルが目を覚ましあたりを見渡しとすでに起きて昨日まで呼んでいた娯楽小説の続きを読んでいるティエルを発見する。
いまだに寝間着のままなので起きて身だしなみを整えたという訳ではなさそうだ。しかし昨日までよりも寝癖は小さくちゃんと髪の毛を乾かした効果が出ているようだ。
それにして起きてすぐに娯楽小説を読み始めことを考えると気に入ってもらって何よりだと思う一方、熱中しすぎるといろいろな面で悪影響が出ることを心配するヴァイルだったが取り合えずティエルに挨拶をする。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
小説から目を離してしっかりとヴァイルを見て挨拶を返したティエルはそのまま小説を閉じた。
ヴァイルは寝起きであることを気にせずにベッドから立ち上がりそのままキッチンに向かう。
キッチンで朝食を作り始めるヴァイルとそれを後ろで見守るティエル。
朝食ができるとティエルは自ら進んで料理を盛りつけた食器の配膳を始めヴァイルが持って行く食器の量を減らした。
二人そろって朝食を取り終えるとキッチンの流し台に使用済みの食器を持ってきてヴァイルは食器の洗浄に取り掛かる。
ティエルは浴室に向かい洗濯を始める。
部屋の位置関係的にティエルが浴室の出入り口付近にいるとヴァイルの存在を確認することができる。
ティエルがちらちらとこちらを確認していることを察しながらもヴァイルは食器の洗浄をさっさと済ませて昼食づくりをヴァイルは始めた。
そのころにはティエルの洗濯は終わっているのだが魔法が使えないしそのそも使いどころがない作業をしているヴァイルは速さを気にしない。
衛生面的な問題が出ないように、栄養バランスが偏らないように、などと各方面に気を使いながら作業をしていった。




