小さな気遣い
ヴァイルが本を読んでほどなくするとティエルが浴室から火照った体と湿った髪の毛をそのままに浴室から出てきた。
今日は昨日までは無かった本があるため寝落ちのようなことをしないかもしれないがそれでも髪の毛が湿ったままと言うのは気になってしまうヴァイルはティエルに声をかける。
「ティエルさん、髪の毛はしっかりと乾かしておいた方がいいですよ」
「……そうです、よね。気を付けます」
ティエルの声からは反省の色が見られ本人も気にしていたのではないか、とヴァイルに考えさせた。
気にしていたのなら髪の毛ぐらい魔法ですぐに乾かせばそれでいいだろうと思うが何か事情があったのだとヴァイルがてきとうに解釈しティエルが髪の毛を魔法で乾かし始めたのを確認してから浴室に向かった。
入浴を済ませて浴室から出てきたヴァイルはいまだに起きて購入した娯楽小説を読んでいるティエルを目にする。
ティエルは娯楽小説を純粋な読み物として楽しめているようで今までのような暗い表情を一切浮かべていない。
案外こういった庶民的なものがティエルの精神衛生にいいかもしれないと思いヴァイルも歴史ついて書かれている本ではなく購入した娯楽小説の内いまだに呼んだことのない作品に目を通していった。
読んでみてティエルに影響があるような内容が書かれていないかを確認するためだ。
ちなみにだが購入した娯楽小説の内半分以上はヴァイルがすでに読んだことのあるもので内容が貴族や権力等に関わらない内容の物だった。




