歴史
本を開き読み始めてみるがいきなりこの書物が正しい歴史を記入しているのか不安になってきてしまった。
と言うのも一番最初に書かれているのは壁画のような物しか描かれておらず事実に基づいた内容が一切記入されていなかったからだ。
「……ティエルさん、少しいいですか?」
「なんでしょうか?」
読んでいた娯楽小説を置いてティエルはヴァイルのもとに近づいていく。
近くに来たのでヴァイルは今自分が開いているページをティエルに見せる。
「これは一体どういう事なのですか?」
「これは……何なんでしょうね?」
「知らないんですか?」
「いえ、知っています。ただこれがどういうものなのかの説明はできない、と言うことです。魔法と同じような感覚ですね」
「と言うと?」
「これはこの国の起源を描いたものだと言われていますがその証拠となるものがほとんど存在していないからです」
「なぜそんなものが起源だと思われてこういった歴史の書物に書かれているんですか?」
「その理由を話すには少し遠回りする必要があります。私達が今いるこの国はいわゆる亡国でした。原因は魔物で周囲は酷いありさまになっていましたがなぜか国の中心に聳え立つ王城は健在でした。この国の王の祖先はあふれる魔物を討伐し残っていた王城を起点として国が築き上げられました。なのでこの国の起源や歴史を語るうえで今もなお使用されている王城の存在は必要不可欠なのですが、当初王城がどのようにして作られたのかどうして無傷だったのかが分からないままでしたが王城の宝物庫から今ヴァイルさんが開いているページに書かれている物が記された書物が見つかったんです。もちろんそれをすぐに信じいたわけではなくちゃんと内容を調査したうえでそれが王城が亡国となった理由だと判断されました。そこから数ページめくってみてください」
ヴァイルはティエルの言う通りに何ページかめくってみる。
「これは……」
思わず声を出してしまったヴァイルだったが開いたページに書かれている物を見ればそれも無理はなかった。
ページには、大量の”目”が書かれていたのだから。
「ほとんどの魔物には目がついていますのでこれは魔物が突如として大量発生してしまったのだと考えられています。原因はわかっていませんがこの場面は祖先が見た光景と一致しているのでこの巻物がかつて栄えていた国が滅んだ理由とされ、その本にも掲載されているのです」
「……なるほど……」
ヴァイルはページをめくりながら相槌を打つ。
「ですが、やはりいまだにこれは本当の出来事なのか、と疑う声も上がっています。一部分を切り取りそれが正し方からと言ってその書物自体が正しい根拠はなく書物の中には加筆された跡が至る所に存在していました虚偽ではないという人もいますがそのことにも証拠はなくただ今のところこの書物のみが過去を表しているということでそう言った書籍に内容が移されているんです」
「なる、ほど……ちなみにそれはこの本のどこに記されている内容なのですか?」
ヴァイルはティエルの話を聞いている時も堪えずページをめくっていた。しかしそれらしい内容が記してあるページは見当たらなかった。念のためにと目次も確認し、いくつかページをめくったがそれでも見つけることができていなかった。
「あ、えっと……」
すぐに答えればそれで済むがティエルは何故か回答を口籠ってしまう。
「この本には書かれていない内容でしたか?」
ティエルが特殊な事象を抱えていることは本物の奴隷の首輪をつけているのに学校に来れているという時点で分かっているため助け舟を出した。
「そ、そうなんです。すみません……」
すぐにその船に乗ったティエルの声は消沈していってしまう。
「いえ、新しいことを知れてよかったです」
軽くフォローをしてヴァイルは歴史について書かれている本を読み進めていった。




