気遣い
ティエル本人にとってはデザインも問題ないらしくそのまま店員が持ってきたものを購入する流れになった。
だが、店員が思う立場からすればティエルが金銭を持っているのは不思議な話で、どうして奴隷がお金を持っているのか支払おうとしているのかと聞かれるかもしれない。
聞かれるとヴァイルがティエルのことを奴隷扱いしてこの場所にいることが本人にばれてしまうので結構強引にヴァイルが衣服の料金を払った。
また、ティエル自身首輪を見られたくないと思っているのか洋服店で着替えた服を着ているにもかかわらずローブを身に纏った。
なぜローブを着るのか、その必要はないのではないか、と聴けば彼女は首輪が気になるからもしくはこれが本物であまり人に見せたくないからだ、と言うだろうがそこら辺のことはティエルが必要だと判断して自主的に話してくれるまでは触れないでおくことに決めた。
そしてヴァイルがもともと行きたがっていた本屋に足を運んだ。
本屋にはいろいろと置かれていたが目を引く娯楽小説がいくつかあったのでそれらを購入し、ほかのも今ヴァイルがいる国の歴史や自分も知らなさそうな薬草学などの自分が知らないようなことが学習できるような書物をいくつか購入した。
購入したほんの数はニ十冊にも及び持ち帰るためにティエルに協力してもらった。
寮の自分たちの部屋に戻ったヴァイル達はまず荷物を置いて部屋着に着替えてから荷物の整理を始める。
ヴァイルは購入した本をいつの間にか設置されていた棚に並べ、ティエルは容量が増えていたクローゼットに今日購入した衣類を収納していった。
「あいつ、一体誰の許可を得て部屋に入ってきているんだ……」
まず間違いなくヨルの仕業だと判断したヴァイルは荒い言葉を使って愚痴をこぼしてしまう。
幸いなことにティエルには聞かれていなかったようだが今後、ヨルが勝手に部屋に入ってこないようにしないといけないと思った。
「……それにしても、どうしてこんな必要なものをピンポイントで用意できているんだ?」
ヴァイルはヨルに今日はここに行く、なんてことを言っていないにもかかわらず必要な物を用意できているヨルのことを不思議に思った。
部屋に帰ってきたがティエルとヴァイルの間に会話は生まれにくく聞かれたことを簡潔に必要なことを伝えるぐらいの会話しか起きていなかった。
今までは会話が無ければ特にすることも無かったが書籍をいくらかかってきたのでヴァイルはそれを読むことにした。
ヴァイルは購入した娯楽小説の中からティエルでもトラウマを呼び起こすことが内容なものを含みそうにない内容なものを選びそれを読むかどうかを聞いた。
ティエルは頷いたのでそのまま娯楽小説をティエルに手渡してヴァイルは購入した書物の内、今いる国の歴史について書かれている物を手に取った。




