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魔力0の魔法使い  作者: bccbcd
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外に出るためには

 見ていると授業が終わり放課後になる。放課後になると書籍を買いに行こうと思っていたヴァイルは財布を取りに行くために一度ティエルと一緒に部屋に戻り、財布を手に部屋から出ようとしたが後ろからついて来ようとしているティエルの存在に気づいた。


 外に出る際、学校の制服を着ていくのは問題は無いかもしれないがこの学校は貴族の子息や息女が通う学校なのでそんな学校の制服を着て外に出ると委縮されてしまうかもしれない事と委縮されなかったとしても一人になりたくないティエルはほぼ必ずヴァイルについてくるだろう。


 ヴァイルが今いる学校がある国には奴隷制度があり、奴隷の首輪と言われる身に着けている人物の身分が奴隷であることを表している物の存在が知れ渡っている。そしてティエルノ首輪は本物だと言われればたとえそれが偽物であっても本物だと信じてしまうぐらいには奴隷の首輪に酷似している。

 身分が高いとされる貴族の息女が奴隷の首輪をつけている、これはどう見てもおかしなことでどうしたって人々の視線を集めてしまうだろう。


 視線があるまることがティエルにとって何も感じない事であるならヴァイルは何も気にすることは無かったのかもしれないが初日、同じクラスの生徒ほとんどから視線を向けられていて激しく体調を崩していたことを鑑みるととてもではないが何の対策もなしに外に出ていくことはできそうになかった。


 どうしようかと考えるヴァイルはとりあえずティエルに質問をしてみることにした。


「私服は何かお持ちになられていますか?」

「えっと……ちょっと待ってください。確認してきます」


 確認しないと私腹を持っているのかどうかわからないティエルに対して驚愕を覚えるがとりあえず待っていると一着服を持ってきた。


「それは……」

「私は、これぐらいしか……」


 そういってティエルがヴァイルに見せたのは社交界用と思われるドレスだった。


「……本当にそれだけですか?」

「……はい。これぐらい、ですね。もらった袋も持ってきた物の仲もみましたが、これぐらいでした」


 ティエルが外に出ていくときに着ていけそうな服が制服ぐらいしかないことが分かったが彼女に限っては制服すらも着ていけないので今日中に外に出かけるのは無理かもしれないと思ったヴァイルだったがもしやと思い、もらった麻袋を改めてヴァイルは漁ってみる。


 するとやはりと言うべきなのか体を殆ど完璧に隠すフード付きの麻製のローブを発見することができた。


「あいつ、一体どこまで見透かしてたんだ……」


 愚痴をこぼすヴァイルだったがあって困ることは無くむしろ助かったのでとりあえず麻のローブをティエルに渡す。


「これ、着れますか?」


 確認のためにティエルにローブを渡す。


「……これを服の上に、と言う事ですよね」

「はい」

「それなら大丈夫です」

「では、それを着て一緒に外に行きましょうか」

「そ、と……」

「何か思うことがあるのでしたら延期しますよ」


 ティエルが言い淀んだのでヴァイルはすぐに逃げ道を作った。


「いえ、そういう訳ではないのですが……」


 だがティエルの反応は外に対して恐怖もしくは外に関することでのトラウマを持っているわけではなさそうでどこか雲をつかもうとしているかのようだった。


「では外に出ること自体は問題がない、そういうことで良いでしょうか?」

「はい……途中ではぐれたりしなければ……」


 確かに街中ではぐれてしまうと簡単には再開できないかもしれないが町の人がいるため一人にはならないのではぐれることはそこまで意識しなくてもいいのではないかとヴァイルは思うがはぐれた後に探す手間を考えればはぐれないことがベストなので頷く。


「そうですね。はぐれそうになったら遠慮せずに袖を掴むなりなんなりしてください」

「はい。分かりました」

「では、ティエルさんは制服の上からローブを着てください。僕は制服から私服に着替えます」

「あ、う……」

「ティエルさんがローブをかぶって僕の方を見ないと約束してくれるのならこの部屋で着替えますが?」

「……すみません」


 ティエルは小さく謝罪の言葉を口にするとローブを着てヴァイルに背を向けた。


「では、いいと言うまでそうしていてください」

「はい」


 裸になるわけでもないので別に良いかと思ったヴァイルはティエルがこちらを見る様子が無いことを確認してから素早く制服を脱いで今までにも来たことのある無難で目立つことのない私服を身に纏った。


「いいですよ」


 ヴァイルがそういうとティエルは恐る恐るヴァイルの方を向いて、着替えていることを確認すると安堵のため息をついた。


 信頼が無いことを実感するが簡単に信用されるのは怖いのでほんの少しだが安心できたヴァイルだった。


「僕は自分の荷物に財布とお金が入っていましたがもしティエルさんも持っているもしくはもらっているのであれば持って行ってくださいね」

「はい、ちょっと確認してきます」


 ティエルは麻袋を見てからヴァイルのもとに帰ってくる。


「ありました」

「よかったです。ちなみにこの時間までには帰っておきたい、などは在りますか?」

「無いので気にしないでください」

「今回の目的地は洋服店と本屋ですね」

「わかりました」

「では、行きましょうか」


 ヴァイルとティエルはお互い近すぎないが遠すぎない絶妙な距離を保ちながら学校の外に出ていった。


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