練習開始
学校に着き自分の教室の自分の席に座る。
午前中の授業は全て座学になっているらしい。
座学ですることを待ち時間の間にティエルに聞くと歴史学や数学、他国言語や植物に関してだったりかなり幅広く勉強をするみたいだ。
今日の内容は歴史学と数学と植物学と言語学を行う様だ。
念のためにヴァイルは全ての教科をまじめに受けてみたが目新しいものは無かった。と言うのもヴァイルは学校に入学する前に知識を詰め込んでいたからだ。
ヴァイルがこの学校に入学したのは魔法を使えるようになりたいからであって座学をしたいわけではない。
座学に時間を取られてしまい魔法を使うための練習時間が減ってしまっては元も子もないからだ。
そのため目新しいものは無かった授業ではあったが言語学を担当している教員がヨルだったためどこか飲食ができて誰もいないような場所を聞くことができた。
場所として提案されたのはいくつかあるがその中でも一番近かったのはこの教室だった。
確かにこの教室は昼時になると全員が食堂に向かうためがら空きになるだろう。
誰かが戻ってくる可能性はあったがその時はその時と割り切りヴァイル達は昼食を教室でとった。
次の授業は実習で魔法の練習を昨日と同じような感じでするようだがやはり一度教室に全員集まるらしく生徒が戻ってくるかもしれないとヴァイルは思っていたが一番最初に教室に戻って来た生徒でも授業の始まる十五分前で昼休憩に入ってから三十分近経っていたので今後生徒たちの行動が大きく変わるようなことが無ければなんの問題もないだろう。
昼食も終えて始まった午後の授業。内容は魔法の練習なのだが魔法学とよばれるものらしい。
全員が教室に集まった後教員が教室に入ってきてそのままグラウンドに移動して魔法の練習を始めるがヴァイルとティエルはほかの生徒たちから離れていたて孤立していた。
魔法を使いたいヴァイルにとってはいろいろな人に話を聞きに行くのが望ましいがほかの人のもとに行こうとするとティエルが袖を掴んでくるので他の人のもとに行こうとしてもなかなかいけなかった。
ティエルはヴァイルがほかの人のもとに行きたがっていることは分かっていたのでティエルは懺悔するかのように、すがるように言う。
「私が魔法を使えるようにしますから……」
在学中に一度でも魔法が使えればいいと思っているヴァイルなのでここまでするティエルにとりあえず付き合ってあげることにした。
「わかりました。では、よろしくお願いします」
容認されると思っていなかったのかティエルは聞き返す。
「ほ、本当にいいんですか?」
「はい、ティエルさんがそういうのなら」
ティエルは驚愕に満ちた顔を見せたがすぐに切り替えて真剣な表情でヴァイルを見る。
「私に任せてください」
何とも自身に満ち溢れるティエルの言葉に彼女なりの覚悟をヴァイルは感じた。
「では、まずですがヴァイルさんは魔法と言う言葉が省略されている言葉だということは、ご存じでしょうか」
「魔法が、略語?」
「そうなんです。魔法、と言う言葉は魔力を用いる方法を略したものなんです」
「それは初耳ですね」
「です、よね……とにかく魔法とは魔力を用いる方法を略したものなのでヴァイルさんが魔力を感じることができれば魔法も使えるようになると思うんです」
「なるほど……ではその方法とは何でしょうか」
「魔法は魔力が用いられているので実際に私が発言させた魔法に触れれば感じられると思います」
「……試す価値はありそうですね。さっそくお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい、少し待ってください」
そういうとティエルは目を閉じて集中し、昨日洗濯をすた時と同じようなサイズの水球を作った。
「できるだけ魔力をその水球に詰めれたと思いますのでこれに触ってみてください」
「わかりました」
ヴァイルは慎重に、その水球に指を触れさせてからゆっくりと手首までを水球の中に入れた。
「どうですか? いつも感じないようなものを感じますか?」
「…………よく、分かりませんね」
しかしこれと言って何も感じられなかった。
「そう、ですか……ですがいつな何かを感じられるかもしれないのでこれは定期的にしましょう」
「わかりました。継続は力なりと言いますからね」
「はい、あとほかに試してみたいことがあるんですが、いいでしょうか?」
「構いませんよ」
「ありがとうございます」
ティエルは水球を消すとまだ濡れているヴァイルの片手を両手で握る。そして水球を発言させた時のように目を閉じた。
しかし何かが起こるわけではなくただただティエルがヴァイルの手を握っているだけの時間が流れていく。
「ティエルさん?」
変化が見られないためヴァイルは呼びかけてみるが集中しているのかティエルから反応は帰ってこない。
もうしばらく待っているとティエルの首元にある不格好な首輪にほのかな光が灯り、ティエルの顔色が悪くなり始めた。さすがにまずいと思ったヴァイルは握られていないほうの手を使ってティエルノ肩を叩く。
「ティエルさん。もういいです」
ティエルは肩をビクッと震わせた後慌ててヴァイルから手を離した。
「す、すみません。何も、できませんでした」
「それよりも、大丈夫ですか?顔色もよくありません」
「だ、大丈夫です。心配かけてしまってすみませんでした」
首元を見ると首輪はもう光を失っていたがティエルの顔色は悪いままだ。
「その、何か感じましたか?」
「申し訳ありませんが、何も」
「……では、もう一度しましょう」
「いえ、結構です。今日はもうやめておきましょう。ティエルさんの体調が心配です」
「……お役に立てず申し訳ありません」
「気負わないでください。最悪、私は学校を卒業するまでに魔法が使えればそれでいいので。焦って協力者が体調を崩してしまうのはあまり喜ばしいことではありませんから」
「そう、ですね。気を付けます」
同意を得られたヴァイルは近くにベンチなどの座れる場所を探し周囲に人がいないベンチを見つけたのでティエルに声をかけて二人でベンチに座りほかの生徒たちが魔法の練習をしているところを見ていた。




