授業
とりあえず授業は終り休憩時間に入る。
休憩時間になるまで自分のそばから離れようとしないヴァイルのことが信用できたのかティエルは制服の袖から手を離している。
休み時間ではあるがいまだに魔法を使っている人もいれば何もせずに地面に座っている人や寝そべっている人、水分補給やトイレなどでグラウンドから離れていく人たちとそれぞれだった。
ヴァイルは体力を使うようなことをしていないので水分補給の必要はなく授業が再開されるまで待っていた。
休み時間が終わると授業が再開される。
今日の午前中はずっと魔法の練習をするらしい。
だが練習をティエルの隣でずっと見ていると授業中にも関わらず地面に寝そべったりグラウンドから出ていく生徒が見受けられた。
「ティエルさん、あれは大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫、ですよ。魔法は連続で使用し続けると体内に保有する魔力が減っていき、残量を気にせずに魔法を使い続けると体調不良に見舞われたりめまいや立ち眩みが起こります。それを無視して魔法を使い続けるようなら気絶してしまいます。なので適度な休息はもちろん教員に言えば一時的にグラウンドから出ることも許可されてします」
「なるほど……ちなみに魔力とはどういったものなのですか?」
「魔法の源となる力、です。保有量は人によってそれぞれですが実際に魔法を使ってみないと実感はわきずらいと、思います」
「つまり、イメージとして魔力は誰にも見えない容器の中に入っていて、実際にその容器から魔力を取り出してみないと残量も魔力と言う存在も感じにくい、そう言う事ですね」
「……はい」
ティエルは申し訳なさそうに頷くがヴァイルにとっては魔力とはどういう存在なのかを知れたので一歩目標に近づいたと、そう思っている。
「いえ、魔力について知れただけでもありがたいですね」
「……………………ヴァイルさんは、どうしてこの学校に? この学校は、魔法が使えないと辛いと思います」
お互い、何も言葉を交わさない時間が流れたと思えばティエルは一歩踏み込んだ質問を、ヴァイルに向けた。
一歩踏み込んだ質問ではあったが前後のつながりが感じられなかったヴァイルだったがこの質問に答えることで何か新しい情報が自分のもとに入ってくることを期待して、応える。
「僕は魔法を使ってみたくてこの学校に来ました。ほかにもいろいろとありますが、この学校に入学するきっかけとなったのは魔法を使いたい、使えるようになりたいと思う気持ちです」
ヴァイルは素直に、そして真摯に答える。そこに嘘偽りは感じられず本意であることを示している。
正直なことを言うとヴァイルは包み隠さづ自分をティエルに見せることでティエルのことを篩にかけることが本当の目的だった。
それもこれもティエルの態度が常軌を逸するからだ。
初日はとりあえずティエルはつらいことがあって心のよりどころを求めている、と言う解釈を自分の中でしたヴァイルだったがその解釈を続けるのには何か確証めいたものが欲しかった。
もしティエルが本当に心のよりどころを求めているのであればよりどころにしてもらう分には問題ないがそうでない可能性もありそうでなかった場合無駄な労力や気遣いをするのが酷く面倒だから。
「そう……ですか……」
ゆっくりと頷いたシュナはそれから何も言わなくなってしまったのでヴァイルも特に何も言うことなく、魔法の練習をしている生徒たちを眺めていた。
グラウンドには教師もいたが初回の授業からさぼり始めるヴァイルになんといっていいのかわからなかったのか、もしくはティエルに話しかけたくなかったのかはわからないが近くによって来ることも無い午前中だった。
魔法の練習が終わると昼休みに入る。昼休みになるとほとんどの生徒は食堂に向かうのだがヨルから食堂を使うなと言われているヴァイルとティエルは時間はかかるが一度部屋まで戻り、ヴァイルが昼食を二人分作りそれを一緒に食べた。
そして午後からは座学をするらしくヴァイル達は教室に向かい教室について少しすると授業が開始された。
昼休が昼食をとるだけで潰れてしまったのでヴァイルは何か対策をしなければいけない、などと思いながら授業を受けているといつの間にか放課後になっていたのでヴァイル達はまた部屋まで戻った。
部屋に戻ったところで何もすることは無かったがヴァイルはとりあえず夕食の献立を考えて時間を潰し、日も落ちてきたころに夕食を作り一緒に食べて湯船にお湯を溜め始めた。
昨日と同じように湯船にお湯がたまるとまず最初にティエルに湯船につかってもらい、ヴァイルは後から入ろうとした。
ティエルが入浴している間も手持無沙汰なヴァイルは明日の放課後、書籍等何かするものを買いに行こうというのを決めティエルが浴室から出るのを待ち浴室から火照った体と湿った髪の毛をそのままに出てきたティエルと入れ替わりにヴァイルは浴室に向かった。
自身の入浴が終わり部屋に戻ったヴァイルはやはり寝落ちにしてしまったようにしか見えないティエルを目にして一度注意をした方がいいのだろうかと真剣に悩みながらもその日のうちにしておきたいことやしたいことがなかったのでそのままベッドに入り寝てしまうことにした。
次の日、ヴァイル達はほとんど同じ時間に目を覚ましヴァイルは着替えてから朝食の準備をしてティエルも着替えてから衣服などの洗濯に取り掛かった。
洗濯するの物の中には下着も含まれていてそれを見たくないのなら別の場所に分けてあとで自分で洗うことをティエルに提案したが大丈夫だと言われたのでヴァイルはすべての洗濯をティエルみ任している。
その代わり、と言うと変な感じだが今日は弁当を作ることにした。
昨日は部屋に戻ってきて作って食べるだけで結構な時間を消費してしまったため学校で昼食が取れるようにしたかったからだ。
ヴァイルは朝食を終えた後昼食のための弁当を作り始めたいた。
作ったものを手ごろな容器に入れそれを手ごろな箸を用意し、手ごろな包でそれらを包装した。ちなみにこれらの手ごろなものは『男』と書かれた麻袋に入っていた物だ。
用意周到だな、と思いつつヴァイルは弁当を自分の鞄に入れた後にティエルに弁当を手渡した。
弁当なんてもの身分の高い人間は知らないのか首をかしげながら弁当を見ていたのでヴァイルはティエルにとりあえず鞄の中に入れておくように、と言う。
ティエルは素直にうなずき弁当を鞄の中に入れた。そのころには結構いい時間になっていたので二人一緒に部屋を出て学校に向かった。




