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(二)-4
僕は別に中学受験なんかしなくてもいい、普通の公立学校でもいいと思っていた。しかしママはそう思っていなかった。
だから中学校では、部活に入ることができなかった。委員会にも入らなかった。放課後はピアノの練習か、受験勉強しかしなかった。この頃から、僕はピアノを弾くことは楽しくなくなっていった。
だから僕は、ママにピアノをやめたいと何度か言ったことがあった。しかしママの答えはいつも同じだった。
「他にやりたいことがあるって、それはなんなの? ないんでしょ、だったらピアノを弾きなさい」
(続く)