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(二)-9
でも「このコンクールで入賞できないって……」とか「ちゃんと練習してるのかな?」とか「演奏聞いたけど、イマイチ」などと変わっていった。直接言われたことはないけど、ある楽器メーカー主催のコンクールの帰りに、こっそり彼らだけで話しているのを聞いてしまったことがあるのだ。
僕にはピアノの才能がないのかもしれない。その時そう思った。もうダメなのかもしれない……。
僕はアパートに戻った。部屋には誰も居ない。夕日も落ちて外は真っ暗だったので、玄関ドアを開けても中は真っ暗だった。ママは仕事に行った。ママと二人で暮らしている僕は、コンビニで買ってきたお弁当を一人で食べて、学校の宿題をやって、風呂に入って、明日の準備をして寝るだけだ。
(続く)




