シュートチップの声を聞け!
ポピー「oh!! なんなのだあいつ!」
開始と同時に、ポピーが口をあんぐりと開けてデンジャラス有本の変わり果てた姿を見つめる。
タク「なっ……汚い、なんて重装備なんだっ」
デンジャラス有本の手元に、子ども達から巻き上げた数多のシュートアイテムが装着されている。
デンジャラス有本「ひひゃひゃひゃひゃ! シュートチップの制限は言わなかったよなぁ! 灼熱ユート!」
全身をマグロスキンで覆ったデンジャラス有本が、ユートの姿を見て笑い始めた。ユートの手元にはただ一つのシュートガンのみしかセットされていない!
ユート「クソッ! 子ども達のチップを我が物顔で使いやがって! 気持ち悪いマグロ野郎め!」
デンジャラス有本「これが大人の力なんだよぉ!! くらえ! 鋼鉄軽トラ砲!」
デンジャラス有本のシュートガンから軽トラが現れてユートに突っ込んで来る。
ユート「うわぁ!」
防壁を打ち砕いて、飛び退いたユートの横を白の軽トラが過ぎ去って行った。
ユート「なんて威力なんだ! 防壁が崩れちまってる!」
デンジャラス有本「まだまだぁ! 猛進スーパーカブ!」
続けざまにデンジャラス有本が放ったスーパーカブ。そこに乗車した男がアクセルを捻る。
ユート「ぐわぁぁあ!!」
タク「ユート!」
ポピー「NO! ユート!」
まともに食らったユートは吹き飛ばされて宙を待った。そして彼の頭上に表示された3本のメーターの一つが消失する。
バトルシュートでは、3度攻撃を食らった者の敗北となるのだ。
デンジャラス有本「あっひゃひゃひゃ! 最高だぁ!
子ども達から巻き上げたバトルチップがあれば、俺に敗北はねぇ!!」
タク「立って、立つんだよユート!」
ユートは苦悶の表情をしたままに起き上がれない様子だ。
ポピー「ユート!」
デンジャラス有本「ザマァねぇな! 大人に歯向かった罰だぁあ!」
デンジャラス有本のマグロヘッドの口がパックリと開き、そこに光が凝縮されていく。
デンジャラス有本「終わりだぁ! マグロ熱線! オロロロロ!!」
マグロの口から放たれた高威力の熱線が、ユートの体を吹き飛ばしていた。
ユート「がぁぁあ!!」
タク「ユートぉお!!!」
熱に焦がされたユートの体力メーターが、早くも一つになっている。それに対してマグロ男の体力は全快のままだ。
デンジャラス有本「なんだぁ、バトルシュート少年チャンピオンの灼熱ユートってのはぁ、こんなに弱かったのか! あっひゃひゃひゃ!」
すっかりと掌で顔を覆ってしまったポピーであったが、その指の隙間からユートの掌が地を掴み始めたのに気付く。
ポピー「がんばれ、ユート!」
ユート「ぐ……ぅぅ、う」
デンジャラス有本は、立ち上がろうと藻搔くユートを見下ろして笑う。
デンジャラス有本「おいおい、そんなボロボロの体でまだ動けるのには驚きだが、立ってどうする? 立ち上がった所で、この大量のシュートチップの前ではお前は無力じゃないか!」
ユート「く……そ……」
少年A「がんばれ、ユート!」
ユート「――!」
――その時であった。デンジャラス有本にシュートチップを奪われた、数え切れない位の子ども達が公園に駆け付けていた。皆シュートスカウターを装着して、シュートバトルの様子を窺っている。
少年B「お願いだユート! 僕達の大切なチップを!」
ミナちゃん「お願いユートくん! 私達の思い出を、そのどうしようもないクズから取り返してっ」
ユート「ミナちゃん……ッ」
公園にユートにエールを送る大合唱が起き始めた。
ポピー「ス、スゴイ」
タク「町のみんなが、ユートの勝利を願っているんだ」
デンジャラス有本「ええい、なんだこのガキ共は!? 静かにしろぉ!」
視線を外したデンジャラス有本の胸を、炎の玉が貫いていた。
デンジャラス有本「うぎゃあ!!」
ふらふらと立ち上がったユートが、デンジャラス有本に一撃を喰らわせていた。
みんな「「ユート!!」」
怒り狂ったデンジャラス有本が、手元に下げた大量の武器をユートへと差し向ける。
デンジャラス有本「おのれ灼熱ユートめ! お前たちの言う思い出とやらを一斉に放って、一挙に終わらせてやる!!」
万事休すと思われたが、ユートは勝ち気にデンジャラス有本へとシュートガンを差し向けて言い放った!
ユート「みんなの……大切な思いが宿ったチップを……お前は扱えない」
デンジャラス有本「ぁあん!? 何言ってやがる!」
ユート「みんなの魂が宿ったシュートチップは! もうお前には従わないと言う事だぁ!」
デンジャラス有本「そんな訳があるかぁ!! くらえ鋼鉄軽トラ砲、猛進スーパーカブ!!」
デンジャラス有本の手元から、軽トラとスーパーカブが現れてエンジンを吹かし始めた!
デンジャラス有本「しね! ユート!」
ミナちゃん「ユート――――ッ!」