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他人(ヒト)の身体で、勝手に結婚するってのはアリですか!? 【34】

 急遽(きゅうきょ)、王子の分の食器まで用意され、アデライードさんとの女子会が、ただのティータイムになってしまった。

 はたから見れば、美人と美人とイケメンのお茶会。けど中身は違う。平凡(くやしけど私のこと)と、真性美人と、表面だけイケメンのお茶会。

 …くそう。王子め。

 心のなかで毒づいて、ズズッと紅茶をすすり上げる。

 王子が参入してきたことで、入れ替わりのことを話しそびれちゃったし、アデライードさんも、王子を差し置いて私とばかり話すわけにはいかなくなってる。

 「では、殿下は女性でも、男性と同じように活躍しても構わないというお考えでいらっしゃるのですね」

 「ええ。この国には、過去何人かの女王が存在します。歴代の王妃だって、夫である国王が不在の時は代わりに剣を取った。私は、そんな彼女たちのように、女性であってもドンドン前に出ても構わないと思っているのですよ」

 「そうなのですの…」

 「まあ、姫に剣を取れ、などと恐ろしいことはさせませんけどね」

 「あら」

 「そんなことにならないように、私が彼女を守りますから」

 うわー、何そのセリフ。砂の代わりに飲んだ紅茶をダバーッて吐きそう。

 「あらあら…。愛されておいでですのね、姫さま」

 真に受けないでよ、アデライードさ~ん。

 「ええ。姫は、私の得た、人生で最高の宝ものですよ」

 グイッと肩を引き寄せられた。

 うわ、うわ、うわ、うわ。

 アデライードさんが目をまん丸にしている。いや、これ絶対演技だから、ウソだから。

 信じなくていいから~。信じないでえ~。

 「理解ある上に、おやさしい。姫さま、とてもステキな方に愛されておいでですのね」

 「アデライードさん…」

 「私も、姫さまのように、ステキな殿方に愛されたいものですわ」

 「おや、クラインハルト嬢。あなたになら、男は誰でも騎士となって心を捧げるでしょうに」

 「そんな、私になど…。今のところ、そのような殿方はいらっしゃいませんわ」

 王子のお世辞に、アデライードさんがうつむき、頬を赤らめた。

 ………ん!? 

 「そうでしょうか。私なら、あなたのような女性を、崇める騎士となるのに、なんの躊躇もありませんよ。…と。これは失礼」

 …王子。お世辞じゃなくって、本気!?

 「いえ…。私も、殿下のような方に愛されたら…。ああ、ごめんなさい。姫さまの前で、このようなこと。でも、ついうらやましくって」

 頬を上気させたまま、アデライードさんがそっと王子を上目遣いに見つめた。

 まあ、王子の容姿、悪くないしね。見とれるのもわかる。

 けど王子は…。

 このムッツリスケベ!! 女ったらしっ!! 浮気者っ!! スケコマシめっ!!

 私ってものがありながら…、じゃない。姫ってものがありながらっ!!

 アンタ、セフィア姫を愛してるんじゃないの!?

 姫がいないことをいいことに、アデライードさんにもちょっかいを出すなら、こっちにも考えってもんがあるんだからねっ!!

 そうだな。あっちの世界に戻ったときにでも、姫の日記に王子の悪行っぷりを書いて、チクってやろうかな。王子は知らないだろうけど、私、別ルートで姫さまとつながる手段を持ってるんだからねっ!!

 そして。姫のためにも、アデライードさんのためにも。

 この入れ替わりを終わらせる方法を見つけ出さなきゃ。

 王子の好きなようになんて、させてあげないんだから!!

 王子に肩を抱かれたまま、アデライードさんと王子の視線の間に挟まれたまま、私はそう決意した。


 けど、アデライードさんは、あの王子の発言に気をよくしたのか、惑わされたのか。毎日のように王宮に遊びに来てくれては、王子に会うことを楽しみにするようになっていた。

 だって。

 私とお茶しに来たのに、

 「今日は、殿下をお見かけしませんわね」

 とか、

 「あのような素晴らしい殿方は、ほかにはおりませんわ姫さま」

 なんて、王子をベタ褒めするんだよ。

 どうすんのさ、王子。

 こんな純粋な女性をたぶらかしてっ!!

 んで、王子も王子で、私たちがお茶してると、必ず現れるんだよね。

 しれっとお茶仲間に入ってきてさ。

 「また、お会いできて光栄ですよ、クラインハルト嬢」

 とか、なんとか言い出すのよ!! このスケベッ!!

 姫がいないことをいいことに、好き勝手してくれちゃって!!

 姫が戻るまで、私が王子を見張らなきゃ。そしてアデライードさんを王子の毒牙から守らなきゃ。

 私しか、その辺りの事情を知ってる人はいないんだから。

 

 王子がアデライードさんと仲良くいるもんで、あんましよくない噂も出てきている。

 「殿下もやはり、同じ国の女性のほうがよいのだろう」

 「セフィアさまは、こう言ってはなんだが、その、なあ…」

 「お美しいとは、思うが、なあ…」

 …なによ。「なあ…」って。「なあ…」ってなにさ。

 なんかハラ立つんだけど。

 ホンモノの姫さまなら、「なあ…」なんて言わせないんだから。

 まあ、噂のなかの私にかかる部分は、ほっといて。

 王子とアデライードさんは、正直な話、仲がいい。

 メイドさんたちの間でも、かなり噂になっているらしく、その噂を聞きつけたアンナさんに、思いっきり泣かれた。こういうたぐいの噂って、面白半分に広がるの、速いよね。

 「姫さま、お気をお強くお持ちくださいましね」

 おいおい、さめざめと泣かれてしまう。

 いやー。悲しんだりはしてないんだけど、私。

 むしろ、怒ってる。

 「最近の姫さまが、少し落ち着かれないからって、殿下もあまりにひどうございますよ」

 …ゴメン。

 落ち着かれないって、かなりオブラートに包んだ発言してくれたけど。

 それって、私が姫らしくないってことだよね。

 ちょっと複雑な気分になりながら。

 それでも私は怒っていた。

 噂に、ではなく。

 アデライードさんにデレッデレに王子に。

 王子、アンタ、どういうつもりよっ!!

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