表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/72

他人(ヒト)の身体で、勝手に結婚するってのはアリですか!? 【30】

 (わたくし)は、またも入れ替わってしまったリナの代わりに、「チュウカンテスト」と呼ばれる試験を受けることとなった。

 今まで学んだことを、どれだけ認識しているのか。それをためす試験なのだと、アキトから聞いた。

 …(わたくし)に、出来るのかしら!?

 不安が心を占める。

 けれど、ここにリナがいない以上、(わたくし)がリナである以上、試験を受けるのは、(わたくし)しかいない。

 「僕も、出来る限りお手伝いしますよ」

 そうアキトが請け負ってくれた。

 彼だって、同じ試験を受けなくてはいけない身なのに。(わたくし)のことより、自分も勉学に励みたいでしょうに。

 「ヒトに教えると、自分でも理解が深まるからいいんです」

 アキトがニッコリ笑う。

 …彼、本当に優しいわ。

 実際、自分一人で臨むには厳しい部分もあったので、彼に教えを請えることは、とてもありがたかった。

 アキトは、毎日、夜遅くまで(わたくし)につき合ってくれた。 

 語学、歴史、算術、化学…。

 語学はまだどうにかなりそうだったけれど、問題は歴史だった。

 この世界の歴史を、(わたくし)は知らない。

 教本の文字を目で追うことは出来ても、その内容を理解し、出来事を把握するのは、かなり難しかった。

 「フランク王国」「シャルルマーニュ」「トゥール=ポワティエ間の戦い」「イスラム教」「正統カリフ」「十字軍」「リチャード1世」「ハールーン・アッラシード」…。

 知らない単語が次々と現れる。そのたびに、アキトは(わたくし)に、細かく説明してくれた。

 「この世界でも、戦争は行われていたのね…」

 勉強のさなか、(わたくし)はそんなことを口にした。

 この世界の歴史は、私たちの世界の歴史に似ている。戦い、滅び、征服され、そして文化が交わり、新しいものが生み出される。

 宗教、権力、国家、文化。それらがぶつかり、歴史を紡いでいく。

 平和に見えたこの世界にも、そのような歴史があったことに、軽く驚きを覚えた。

 「セフィアさんの世界にも、似たようなことがあるんですか!?」

 「ええ。(わたくし)の故郷、ルティアナ王国は、嫁ぐ予定だったローレンシア王国と過去に何度か戦火を交えているわ」

 「よければ、詳しく教えてもらえませんか!?」

 興味深げに尋ねるアキトに、(わたくし)は、知っている限りのことを話した。

 ルティアナ王国は、その昔、ローレンシア皇国の一部であったこと。その後の歴史で独立し、王国と名乗るようになったこと。ローレンシアは時代とともに領土を失くし、王国となってしまったこと。近年は、新興国のヴァイセンに領土を侵される身となり、過去のわだかまりを捨て、共に手を取り合うようになったこと。(わたくし)と殿下の結婚は、そのためにあること。

 (わたくし)のつたない説明でも、アキトは嫌がらずに聞いてくれた。

 「…マリー=アントワネットみたいですね」

 誰!?

 「こちらの世界でも、いがみ合っていた国同士が新たな共通の敵に立ち向かうために、政略結婚した、という事例があるんです」

 「それが、マリー=アントワネット…」

 どのような、女性なのかしら。

 (わたくし)と似たような境遇にあった女性がいたのなら。その方の人生を、人となりを知りたいわ。

 「その方は…」

 問いかけて、口をつぐむ。

 「なんでもありません…」

 アキトが怪訝な顔をしたけれど、質問を止め、勉強に戻る。

 聞きたかったことは、ノドの奥に詰まったように引っかかって出てこれなかった。

 飲み込むことも出来ずに、胸に大きくつっかえる。

 アキトも、それ以上、(わたくし)に問いただすこともなく、また元のように勉学に戻っていった。


 ―――その方は、どのような運命を辿られたのですか!? 

 ―――その方は、夫となった方に、愛されたのでしょうか。幸せだったのでしょうか。


     ⇔     ⇔     ⇔     ⇔


 そして、また条件もわからないまま。

 おかえり、私。ただいま、私。

 私は元の、普通の高校生だった自分に戻る。

 ああ、なつかしの私の身体。

 ペタペタと、自分の身体を触りたくる。

 そうよ、これこれ、この感触。

 肩にかかるかどうかの寝癖がつきやすい、ちょっと硬めの髪。

 若いってハリがあっていいわねー程度の、日焼けた肌。

 スラッとか、シラウオなんて無縁の指。

 スカートを留めることが出来る程度に存在するくびれ。

 揉めば、手のほうが余るサイズの胸。

 …あ。

 最後の2つは、言ってて悲しくなるぞ!?

 まあ、それはそれとして。

 「なんだ。姉ちゃん、戻ってきたのか」

 なんて言う夏樹の反応もムシしておいて。(ハラ立つけど)

 久しぶりに足を運ぶことになった学校に、私はビクビクしていた。

 暁斗とのヘンな噂ももちろんだけど、それ以上に、テストの結果がコワい。

 だって、私、一回もテスト受けてない。

 帰ってきたら、テスト、終わってるんだもん。

 病気で受けられなかった場合は、追試という救済策があるけど、「入れ替わり」で本人不在の時は、誰も助けてなんてくれない。

 セフィア姫の出した結果を、私が受けることになる。モロに。

 「セフィアさんなら、大丈夫だよ。いっぱい勉強してたし」

 そう言って、暁斗が慰めてくれた。テストのために、暁斗が姫さまに勉強を教えたんだって。

 そうか、そうか。暁斗、優しいな。

 でも、いくら頑張っても、異世界の姫がテスト、大丈夫なわけ…。

 

 ええええええええっっ!!


 返ってきた答案に、私は、目ン玉がビヨヨ~ンッとなりそうなほど驚く。

 古典、89点。数ⅡB、77点。化学、82点。英Ⅱ、93点。そして、世界史、95点。

 ウソでしょ!?

 私が一度も取ったことない点数がズラズラと並ぶ。

 マジで!? ありえない。

 セフィア姫、美人なだけでなく、メッチャ頭良かったんだ。

 信じられない思いで答案を見る私に、友達から質問が飛ぶ。

 「どんなウマいカンニング方法見つけたのよ」

 …それ、ヒドくない!?

 カンニングなんてチートなことはしてないわ。入れ替わってもらってただけだよ。

 これからは、テストのたびに姫さまに入れ替わってもらおうかな♪

 そうすりゃ、大学受験も楽勝♪ 楽勝♪

 …これぞまさしく替え玉受験!?

 評価、ブクマをつけてくださった方、閲覧していただいた方。皆さま、本当にありがとうございます。

 とうとう、30回目!!ですよっ!! パチパチパチパチ(拍手)

 長く続いたなあ~、たくさん読んでいただけたなあ~、うれしいなあ~と思っております。総合ポイントがUPした時は、毎度ニマニマしております。

 ここまで続けられたのも、皆さまのおかげ。閲覧、ブクマ、評価がつかなくても、オール0でもめげずに毎日投稿を目指す!!と自分で公約を掲げていますが、気持ちがヘタれることなくここまでこれたのは、やっぱり皆さまのお力です。

 これからも、どうかよろしくお願いいたします。m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ