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プロローグ
ここは戦国の世。
才溢れる者が天下を求め、争いを繰り広げる群雄割拠の世――の、はずだった。
「うおおおおおお!」
「止まるな! 進めーっ!」
兵士たちが一斉に声を上げる。
鎧を着込み、槍や刀を持った侍たちが敵に向かっていった。相手はほとんど武器を手にしていなかったが、丸腰だとしてもそいつらは凶暴すぎる。素手でも臆することを知らず向かってくる敵を迎撃し、少しずつ軍は進んでいった。
高く掲げられた旗印を見て、兵士たちは己を奮い立たせる。
その軍勢の中にいる俺は、敵を見据え、碌に扱えやしない刀を握りしめていた。
敵は、かつて人間であった化け物――ゾンビだった。
タイムスリップした俺は、もしかしたらちょっとぐらい歴史を変えられるのかと思っていたが、既に戦国の歴史は大きく歪んでしまっていた。
とんだ時代に来てしまったものだと思いはしたが、帰る手段がない以上生き残るしかない。幸い、チート能力はないがゾンビ知識なら人並み以上にあった。
仲間と共にゾンビの蔓延る戦国を生き抜くため、俺たちは戦う!