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6章ー4 旅の目的地へ

新たに -CREATOR SKY- という小説を書いてみました。

気が向けば読んでいただけると嬉しいです!!



勝手ながら、思うところがあり今回で終了とさせていただきます。

ありがとうございました。



 ─守人(もりひと)の里─

 

 「気になってたんだけど、ユーナはどうして殺されなかったのかしら・・。」

 ジルは傷ついた動物達に与える回復薬(ポーション)を製作するための薬草を仕分けながらユーナに尋ねた。


 「なんでも私には悪意が感じられないということらしいで。それに私の特殊能力(スキル) 錬金術師(アルケミスト)の事も何故か知っていて、先程のおじいさんにここへ連れてこられたんです。」

 「でも目隠しをされていたので、実際にはここへ来るまで何が起きたのかよく分かっていなかったんですけどね・・。」

 ヴゥゥゥゥゥン・・。 ユーナはジルに笑みを浮かべるながら答えると、薬草から抽出した溶液に魔力を込め回復薬(ポーション)を作り出す。


 「ふぅ・・。これだけあれば足りそうですね。」


 「そうね。でもあんな生き物がいるなんてまだ信じられないわ・・。」


 ジルは後ろに視線を移し、動植物の世話をする大小様々な木の巨人を見つめた。


 リーナは既に肩に上って遊んでるけどね・・・。

 どうやら自我もあるみたいだし、一体どうやって生まれたのか・・。


 「あちらの動物の怪我の手当て終わりました。他に何かお手伝いすることはありますか??」

 ジルの元にミスティルが空の容器を持って近づいてくる。


 「・・・そうね、それじゃあもう向こうに行ってくれるかしら?」

 

 「ちょっ、ジル様?? なにもそんな邪険にしなくても・・」


 「分かってるのユーナ?! この男はあなたをアスティロン帝国に連れて行こうとしていたのよ? ルード・アスティロンのことよ? 魔族なんてひどい目にあってたかもしれないのに・・!」

 ジルはユーナの言葉に感情を爆発させる。


 「・・確かにまだ許したわけではありません。でも、ヴィンデル様が助けた命です。私はこの人が助けられたことには何か意味があると信じているので・・。」

 ユーナは笑みを浮かべると、ミスティルに新たな回復薬(ポーション)を手渡した。


 「それじゃあ、あっちの子に回復薬(ポーション)を与えてくれますか?」


 「も、もちろんだ。 あんたには悪いことしたと思ってる。少しでも役に立てるならこれ位お安いごようだ!」

 ミスティルは回復薬(ポーション)を受け取ると、急いで動物達の方へと走っていった。


 「・・全く、本当にお人好しなんだから・・。」


 「そんなこと百も承知ですよ。」

 ふふふふ・・。二人はしばらく見つめ合った後、笑いあった。


 「それにしてもヴィンデル様遅いですね。」


 「ええ、そうね。そろそろ戻ってくるとは思うけど・・。」


 ブォォォォォォ・・。 ジル達が作業を再開した後、しばらくすると広間の中心に風が吹き、舞い上がった木の葉が晴れると、そこには老人と優一(ゆういち)の姿があった。






 「ヴィンデル様ー! おかえりなさい!!」

 優一(ゆういち)を見つけたルミリアが飛びつく。


 「る、ルミリアさん?! 何を・・!」


 「だって寂しかったんですもん。」


 だからって抱き着くことないだろ・・!

 しかもこういう時っていつも・・・、はっ!!


 優一(ゆういち)が恐る恐る振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべるジルの姿があった。


 「ゴ、ゴホンッ! さぁ離れてくださいルミリアさん。」


 「えっ、あーー。」

 ルミリアは優一(ゆういち)の目配せに気づいたクシュナ―によって引き離される。


 「はははははは! お主も隅に置けんのぉ!」


 「あんたまでなにを言ってるんだ・・。」

 老人は優一(ゆういち)の表情を見て、さらに大きく笑い声を上げた。


 「すまん、すまん。それでお主達はこれからどうするのじゃ? 探し人は見つかったようじゃし、この森にはもう用はないであろう?」


 「ああ。でも俺達はアーリントン王国方面には戻らない。このまま反対側の岩窟族(ドワーフ)の国に向かおうと思う。」


 「・・何じゃと、岩窟族(ドワーフ)の国と言ったか?? そう言えばお主達の仲間には岩窟族(ドワーフ)が一人おるようじゃな・・。」

 老人は先ほどまでと違い表情を強張らせると、パロへと鋭い眼光を向けた。


 な、なんだ・・・? 

 岩窟族(ドワーフ)の話題が出た瞬間、明らかに雰囲気が変わった・・。

 何か問題でもあるのか??


 「・・まぁお主の仲間じゃ、悪い者ではないであろうが・・。」


 「・・岩窟族(ドワーフ)との間に何かあったのか??」

 ふぅ・・。老人は一度大きく息を吐くと、優一(ゆういち)達に何があったのかを話始める。


 「奴ら、こともあろうに我がローエンの森林の木々を伐採し始めよってな・・。守人も何体か犠牲になっておる。」

 「儂が見回るようになってからは流石に表立っては手を出さなくなってきたがな・・。」


 「そ、そんな!! このローエンの森林は岩窟族(ドワーフ)にとっても神聖な場所です! いくらなんでもそのような事をするとは・・。」

 パロが老人の話を聞き終えると同時に声を荒げる。

  

 「まぁ、儂がここで何か言うよりも自分の目で確認した方がいいであろう。岩窟族(ドワーフ)の国には守人に案内させよう。」


 「・・・しかしあなたの話が本当だとして、どうしてそんな事をしたんだ? 岩窟族(ドワーフ)にもあなたの伝説位あるだろう・・?」

 うむ・・。優一(ゆういち)の言葉に老人はしばらく考え込むと、一つの仮説を導き出した。


 「・・恐らくアーガストの木が目的なのじゃろう。あれだけの巨木、燃やせばかなりの燃料になるだろう。それだけの木が必要なほど火を起こす必要があることと言えば・・。」


 「・・製鉄か!!」

 優一(ゆういち)の言葉に老人はゆっくりと頷いた。


 製鉄・・。となると考えられるのは武器や鎧の製造。

 つまり戦争の準備を始めている可能性が高いってことか・・!!


 優一(ゆういち)は後ろで言葉を失うパロを見つめる。


 パロさんもそのことが分かったみたいだ。

 言葉が出ないのも無理はない。


 「・・それでもお主は岩窟族(ドワーフ)の国へ参るのか?」


 「・・・ああ、それが今回の旅の最初からの目的だからな。」


 「・・よかろう、お主がそう申すならこれ以上は何も言うまい。」

 老人は小さく笑みを浮かべると、数体の守人をこちらへと呼んだ。


 「・・お呼びでしょうか?」


 「お前達はこの者達を岩窟族(ドワーフ)の国へ案内せよ。案内もなしに森を歩けば必ず道を見失うからのぉ・・。」


 「承知いたしました。」

 守人は頭を下げると、その巨体を岩窟族(ドワーフ)の国の方向へと動かし始める。


 「あの者達についていけば今日中には到着するだろう・・。」


 「世話になったな・・。ありがとう。」


 「なぁに、儂らの仲ではないか。」

 老人は大きく笑いながら答える。


 いや、どんな仲だよ!! まぁ、同じ転生者ではあるけど・・。


 「っと、そうじゃ! お主にはこいつを同行させよう。」

 老人は地面を小さく数度足で鳴らすと、そこから白い球体の様なものが姿を現した。

 

 「こやつは森の精、ミルトリアじゃ。こやつを通せばこの世界の植物を伝い、どこにいても儂と話すことが出来る。連れて行くがよい。」


 「お役に立ちますぞ、新たなご主人様! 私のことはミルとお呼びください!!」

 白い球体から手足と顔が出てくると、ゆっくりと浮かびながら優一(ゆういち)の肩に止まった。


 「か、可愛い!! ヴィンデル様! この子私が世話します!!」


 「うっ!! は、離すのじゃぁー・・! ご主人様、助けて・・。」

 その姿を見たリーナがミルを力いっぱい抱きしめる。


 「ははは、じゃあ頼むよリーナ。 こいつはありがたく貰っていくよ。」


 「うむ、では達者でな。」

 優一(ゆういち)が右手を差し出すと、老人もその意味に気づき握手に応じる。


 「それじゃあ、出発するぞ!!」


 『はい!!』 

 優一(ゆういち)達は鳥獣(ラムセル)に飛び乗ると、守人に続き里を後にしていく。


 「夢魔(サキュバス)の娘! 動物達の怪我の手当ての礼を言っておらんかったな。」


 「い、いえ。私の方こそ助けていただき感謝の言葉もありません。お役に立てたのなら良かったです。」

 

 「そうかそうか! ではもう二度と捕まるではないぞ!」


 「はい!!!」

 ユーナは老人に笑みを浮かべながら頭を下ると、リーナの操る鳥獣(ラムセル)へと飛び乗った。




 ヴィンデル・ロ・ウードよ・・。お主の進む道は困難となるであろう・・。

 だがそれこそが〔彼ら〕がお主に与えた役割なのかも知れんのぉ・・。


 ふっ・・。老人は小さく笑うと、里を後にする優一(ゆういち)達の背中をしばらくの間見つめ続けた。










 岩窟族(ドワーフ)の国 王都 ガスティアドロス


 「それで、いまだパロを始め第一軍の行方は掴めぬのか?」


 「は、はい。恐らく魔族の捕虜となっていると思われますが・・、ぐあぁ!!」

 ブシュッ!!岩窟族(ドワーフ)の王 ニーラは目の前の兵士を一刀に切り伏せる。


 「・・こいつをこの場から放り出すのだ!! お前達は引き続きパロの行方を追え。もし見つからなければ・・、分かっているな・・?」

 ゴクリッ・・。 他の兵士達は部屋から運び出される血まみれの兵士に目をやり、頭を下げるやすぐさま部屋を後にした。


 「・・陛下、私からも報告がございます。」

 剣に付いた血を拭うニーラの側に一人の白髪の男が近づく。


 「なんだ、オルファン。」


 「はい・・。アスティロン帝国から頼まれた剣と鎧などの武具の調達が何とか完了できそうです。」


 「おぉ! そうか、流石はオルファンだ!!!」

 ハハハハハッ!! ニーラは大きく笑い声を上げると、部屋の中央に置かれているソファーに腰かける。


 ローエンの森林では何者かの邪魔が入り、思ったより木材を調達できなかったからな・・。

 兵士達は伝説の化け物が出たなどとほざいておったが、そのようなことはある訳がない!


 しかしなんとか武具が調達できた・・。 皇帝陛下にも喜んでいただけるぞ・・!


 「それともう一つ、あちらの準備も・・。」


 「そうか、完了したか!! 命令通り選定したのだろうな??」


 「勿論でございます。 ご命令通り、陛下に反抗的な者達を選んでおります・・。」

 オルファンは不気味な笑みを浮かべながら頭を下げる。


 「ハハハハハッ!! そうか!!!」

 「これで皇帝陛下にも喜ばれ、なおかつ反乱分子とその一族の排除も一度に成しえることが出来る!!」

 ニーラは大きく笑いながら立ち上がると、部屋にあるバルコニーから外を見下ろす。


 これで我が王国の繁栄は約束された・・!

 あとは、軍部の拠り所であるパロさえ抹殺すれば・・・。


 「・・ハハハハハハハハハッ!!!」


 ニーラが見つめるその先には、多くの岩窟族(ドワーフ)が男女、子供を問わず鎖に繋がれ、洞窟を利用した収容所へと連行されている光景が広がっていた。  



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